刑務所の医療とはどの程度のモノか？というマニアックな話を続けています。
すぐに病院には行けず、治療もうけられない、刑務所の医療とはそんなモノです。
だから
具合が悪くなったら、一大事。深刻でないことを祈るしかありません。
シャバのような医療は望めないので、割り切った考えで臨むべきでしょう。
「出所するまで、悪化しなければいい」・・・コレでいいと思います。
ところで「具合が悪い」というのは
自己申告制。
目に見える症状がある病気ならば、医務の刑務官様にも信じてもらえますが…
受刑者は
「仮病・詐病」を訴える者も多く、なかなか信じてもらえません。
とくに
「目に見えにくい」メンタル、精神科の病気ならば、大変なんです。
今回は刑務所での
「精神科系の病気の扱い」について、ご紹介します。
ますますマニアックな話題にて、読んでいただけるのか不安です。
しかし、初犯の刑務所だと
メンタルを「病んでしまう」者はけっこういるんです。
1．メンタルの訴えは信じてもらえず
「眠れないから睡眠薬をくれ」というのは、ありふれた訴えです。
その場でクスリの処方が決定して、終了。
単なる不眠症ならコレでいいですが・・・
診察やそれ以上の治療は望めません。刑務所では精神を病むとかなり厄介なんです。
診察・治療はなかなか受けられないのが刑務所ですが、
精神科は特にキビシイ。
そもそも
精神科の専門医は刑務所なんかにはいません。
診察にたどり着いても、
せいぜい他の専門科の医者が、テキトーに処方して終わり。
「どうせ作業したくないから、文句を言っているんだろ」
「どうせ刑務所にクレームをつけて、自分の処遇を良くしようとねらってんだろ」
メンタルの不調の訴えを、刑務官様はホントに聴いてくれません。
ですから、
うつ病なんかにホントになってしまったら、最悪。
「ヤル気のないヤツ」と周りからは思われて、ヘタしたら
イジメられるでしょう。
たとえ診察⇒治療となっても、
古いタイプの抗うつ薬を処方されてオシマイです。
それで具合が良くなってくれればいいのですが・・・
心の状態は本人にしかわかりませんが、見るからにツラそうな人もいましたね。
そんな人は、
たびたび診察や処方の変更を求めて、医務回診の際、モメます。
「幻聴が聞こえて、うるさいんですよ！」
「クスリのせいで、手の震えがヒドイんですよ！」
ハタから聞いていると、もうヤバい人、壊れた人にしか思えない訴えですが・・・
本人はいたって大マジメに、刑務官様に文句を言っているのです。
作業もマジメにやるし、とくにイジメられているワケでもない、なぜ？
長い刑務所生活で頭がイカレたか？それとも刑務所へのモンスタークレーマーか？
「一度、ちゃんと精神科の診察を受けさせてくださいよ！」
「クスリのせいですよ！クスリを変えてください！」
たしかにもっともな訴えです。幻聴が聞こえるようではヤバいですからね。
いくら受刑者だからと言って、このくらいはお願いしてもバチは当たらないハズ。
でも、ココは刑務所。
やはり甘かった。
そして
メンタル、精神科系の病気にはキビシかった。
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2．精神科系の病気の扱いはテキトー
幻聴、手の震え・・・立派な症状であり、診察や治療の対象になっていいハズ。
が、やはり
メンタルの訴えについては、刑務官様は雑な扱いをします。
というか、メンタルの訴えはリアルでもっともでも、
信用しないようなんです。
「あぁん？少しは眠れるんだろう？もう少し様子を見ろよ」
「ウチでは精神科の専門的な診察はムリだ。出所してから行ってくれ」
「幻聴？手の震え？そんなの気にしすぎなんじゃねぇのか？」
経過観察の放置プレイ、出所までおあずけ、オマエの気のせい・・・うーん。
早い話が
「何もしない」ということ。
そして結局落ち着くところは・・・
「じゃあ、今のクスリをやめちまえ」
おっと、クスリを変更するとか、クスリを増やすという選択肢はないのね!?
幻聴や手の震えが、ホントにクスリの副作用が原因ならいいけれど、大丈夫？
念のため言っておきますが、
この判断は医者ではありません。
准看護師の資格を持っているという、
医務の刑務官様の判断に過ぎません。
准看護師という、精神科の治療は
「ほぼシロウト」が判断して、大丈夫なの？
シロウトが見ても、うつ病など「病んでいる」のは間違いないのに・・・
医務回診の際、
刑務官様が「大したことない」と判断されれば、それまで。
医務の刑務官様の判断で、クスリを始める、やめるが決まってしまいます。怖えぇ。
ちなみに、クスリをやめるとメンタルが
さらに悪化するのは半数の印象。
悪化して、医療刑務所に送られたり、養護工場に異動になった者もいましたね。
そこまでヒドくならなくても、
半分廃人みたいな者は工場に一人くらいはいます。
そして不思議なのが、
施設や刑務官様によっては、睡眠薬はバンバン出すんです。
もちろん、なかなか処方しない施設や刑務官様の方が多数派ではあります。
しかし、
なぜか「睡眠薬」に関しては、他のクスリよりハードルが低い。
モンスタークレーマーばりに、
不眠をしつこく訴える者には必ず処方されます。
また
「シャバで睡眠薬を飲んでいた者」にも、カンタンに処方します。
「元々シャブ中毒で、調子が悪い者」にも、あっさり処方する傾向です。
ワケありのヤツ、うるさいヤツには、メンドくさいから処方しておけ、という感じ。
そして、割とカンタンに睡眠薬を増量しちゃったりもします。
どうして、治療をしぶり、投薬をケチる刑務所で、
睡眠薬だけは違うんだろうか？
まさかとは思うものの、
刑務所の策略に思えてならないが、どうなのか？
「飲ませておけば、日中もボーッとして、扱いやすくなるだろ」
そうなんです。
睡眠薬、精神薬の飲み過ぎで、ポンコツが結構いるんです。
まだ若いのに、口はいつも半開き、日中もボーッとしていて、覇気はゼロ。
しゃべれば口角からヨダレが垂れてしまったり、しまりがない。
懲役たちの間では、こんな状態を
「ヨレた」と呼んでいました。
これから刑務所に行く予定がある方は、くれぐれも心の健康に気をつけて。
刑務所では、
いったん精神を病んでしまうと、回復はかなりムズカシイです。
診察、治療、投薬はまるで期待できませんので、悪しからず。
その上、睡眠薬でヨレてしまうこともあり、注意が必要です。
ひょっとしたら
刑務所の思うツボで、コントロールされるのかもしれません。
まぁ、私も含め、元から精神が病んでる者は多いところですけれど。
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2016-05-07 15:00
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コメント(11)
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共通テーマ：日記・雑感
ただただ怖いです。
睡眠薬は一度の大量に飲むと、死に至る事もあるのに…。
最終的にはそれでもいいのかって思ってしまいます。
薬の量って、本当に難しいと思います。
糖尿病を患っていたりしたら、薬の効きも悪くなると
効きましたので、健康でないといられない
場所なのだなと思いました。
by youzi (2016-05-08 21:10)
『これから刑務所に行く予定がある方・・・』(爆
お帰りを待つ方は見てるだろうけど、行く前に余裕かまして見る様な方・・・限られますね。^^
by 亀仙人 タカヨシ (2016-05-08 23:55)
きりたんぽさん、こんにちは(^^)
例の刑務所の知り合いと手紙のやりとりをしているんですが、眠剤は飲んでるとありました。
依存性が高いものから弱いものに変えて貰ったらしいです。
工場で足を引っ張る人は居ないか？舎坊で意地悪する先輩はいないか？挑発はされないか？の私からの質問に、『嘘でも強がりでもなく部屋はハッキリ言って一番偉そうにさせて貰ってます。流石に作業中は班長が居るのでそんな訳にも行きませんが、班長も俺には滅茶気を使ってくれてます。(因みに班長は独居です)一目置かれていますが逆に言えば目立つ存在なので担当さんや警備さんに目もつけられ易いです。此処は刑務所です理不尽が当然なので開き直ればどうって事ないです。俺を挑発して来る奴は今の所は居ません。』
とありました。
こんなサラもいるんですね笑
私も彼がいじめられたりペコペコしてるのはホント想像つかなかったので流石だなと変に関心してしまいました。
by まろん (2016-05-09 12:34)
youziさん、こんにちは
コメントをくださり、ありがとうございます。
おっしゃるように、精神科系は薬の種類によってはあっさり出してくれたり、量がいい加減だったりします。
内科系のクスリは新しいモノは出ないし、そもそも出してくれなかったりと、コチラは厳しいです。
やはり健康でなければマズい、病気になったら治してもらおうなんていう考えは甘いですね。
またコメントをお待ちしています。
by きりたんぽ (2016-05-09 13:38)
亀仙人さん、コメントありがとうございます。
自分で書いていて「オカシイな」と思うのですが、以前にもそのような複数の方から真剣・深刻なご相談を何度も受けているんですよ…
意外にも「ブチ込まれる前」にご覧になっている方はいるようです。
少しでも役に立つのであれば本望ですが…
みなさんの無事を祈ります。
またコメントをお待ちしています。
by きりたんぽ (2016-05-09 13:42)
まろんさん、こんにちは(^o^)
コメントをくださり、ありがとうございます。
相変わらずブッ飛んだ方ですね(笑)。
「俺を挑発してくる奴は今のところいません」って、カッコいい？ことを言うのに、眠剤飲んでいるって、なんだかなぁって思っちゃいます（ごめんなさい）。
経験者としては、デカいことを言うなら、薬に頼るなよ～（それも官のカネ）って思うんですよね。
おそらく、少年刑務所ではなく成人刑務所だから、周りのみなさんが大人なのでモメごとを避けようとしてくれているんでしょう。
「ヘタにからんで、こちらまで懲罰にアガったらかなわねぇ」という感じでしょうか。
それを「気をつかってくれている」と感じるのは、幸せな人です。
周りとモメごとを起こすことなく、無事平和に出所できるよう、お祈りしております。
またコメントをお待ちしています。
いつもお読みくださり、感謝です。
by きりたんぽ (2016-05-09 13:52)
きりたんぽさん、なかなか痛烈なご意見有難うございます(^^)
確かに～って笑っちゃいました！
ホント何で眠剤飲んでるんですかね？
悪い薬の後遺症？かなんかなのか笑
今度聞いておきます！
その人、最近偶然知ったマンガの主人公『花山薫』に似てます笑
オーラや目力が半端ないんです。
花山薫は実在した伝説のヤクザがモデルなんだとか…。
話ずれましたね笑
by まろん (2016-05-09 14:41)
まろんさん、コメントをくださりありがとうございます。
自分も昔は同じ懲役だったクセに、キツイことを申して失礼しました。
サラでも周りがむしろ気をつかってくれる、遠慮されるその風貌というか立場に、小心者の私は嫉妬しているんです。
男の嫉妬、あ～みっともない…
私はイジメられるようなことはありませんでしたが(笑)、周りとトラブルを起こさないよう、思わぬところで足を引っ張られないよう、毎日細心の注意を払って生活していましたから、知人の方の様子はうらやましい！
というワケで、何卒失礼なコメントをお許しください。
by きりたんぽ (2016-05-09 15:19)
ご訪問nice!コメント有難うございます。
刑務所に精神科の先生がいないなんて驚きです。
又伺います。
by lamer (2016-05-09 16:17)
こんばんは。行って参りました。弟の面会
場所は大分刑務所、思っていたより街中に近くて意外に思いました。
さて、中の様子ですが雨の日の15時過ぎと言うせいかほかの面会の方は居なく流行ってない個人病院のような待合室でした。
10分もかからず面会が出来ました。
ユルい部屋なのか刑務所自体がユルい雰囲気なのか『ようこそ。刑務所体験ツアーへ』なんて言われたそうです。
満期日が10月26日なんで、本当にリハビリや体験合宿レベルです。
ただ、刑務官のコトを『オヤジ』って言ってたのを聞いて、ヤッパリ中の人になったんだなぁと実感しました。
後、売店で差し入れられる物が意外と種類豊富で驚きました。
石鹸でも薬用石鹸が置いてあり、これで恐怖の水虫対策も少しはマシなんじゃないかと思いました。
ただ、外の世界と違ってインフレの嵐ですね(笑)思わず職員さんの目の前で『高っ?』言ってしまい苦笑されました。
本人の様子は思ってた以上に元気で(カラ元気かも知れませんが)安心しました。
中での刑務も身体を使う作業で(主に清掃作業のようです)自分に合ってると言ってました。
また、機会を作って面会に行こうと思います。
ここでの記事やアドバイスが本当に参考になりました。
ありがとうございました。
by ちい (2016-05-09 22:18)
ちいさん、こんばんは
コメントをくださり、ありがとうございます。m(__)m
面会お疲れさまでした。
少しはお役に立てたでしょうか？
大分は本来、初犯の長期刑の施設なので、刑の短い人に対して「ようこそ体験ツアーへ」なんて言われたのでしょうね。
刑期が短いことが、不幸中の幸いです。
差し入れの物品が定価というか、割高というか、デフレの時代にありえない値段だというのはわかっていただけたかと思います。
その差額が施設や運営に生かされればいいのですが、どうも刑務所はそうではないようです。
弟さんはお元気そうですし、作業も恵まれたようですから、あとは一日も早い出所をお祈りします。
長期刑の受刑者に足を引っ張られませんように…
施設によって、細かい規則が異なりますので、教えていただけるととても勉強になります。
またコメントをお待ちしています。
by きりたんぽ (2016-05-09 23:48)