刑務所で着る
「衣類」について、お話ししています。
懲役生活では
工場着、舎房着、パジャマの3種しか着ることはありません。
お古ばかりでサイズも合わないことが多いですが、刑務所ゆえ、それは仕方ない。
キツイのは、どれもペラっと1枚の綿の衣類ゆえ、この時期はホントに寒いこと。
そして、雑居のオキテにより
「パジャマのたたみ方」が異常にこまかいこと。
前回は
「パジャマがきちんとたためないと、生き残れない」お話をしました。
(
刑務所の衣服・服装(3)・・・毎朝が生き残りをかけた「折りたたみ試験」)
刑務所らしいのは
「たたみ方」だけではありません。
たたむ時間の余裕が全然ないんです!
起床後10分で、フトンを片づけ、着替えて、洗面まで済ませないとダメ。
その上で、
パジャマを「弁当箱のように」たたまないとダメ。
できなければやり直し。そして毎日練習。練習してもモタつけば、イジメ決定。
今回は「パジャマたたみ」の続き。「刑務所あるある」な話をご紹介します。
5.練習してもウマくたためない!
前回、起床後10分の時間では、サラ(新入り)の多くは間に合わない、と話しました。
「オメェ何やってんだよ!ちゃんと練習しとけよ!」
毎日怒鳴られ、
夜の余暇時間は、説教⇒たたみの練習です。
さすがに何日かパジャマをたたむ練習をしていれば、キレイに速く折りたためます。
ただ、刑務所のパジャマが
メンドくさいのは、1枚1枚に「クセ」があること。
まず、
ゴワゴワした綿地なので、ピシッと折りづらい。
そして、パジャマ自体を作っているのが、懲役たち自身の
「自家製」。
だから、
縫い方もキレイではないんです。
お尻のラインがゆがんでいたり、縫い目のラインが曲がっているのは当たり前。
折り紙のように、ハシとハシをそろえればキレイにたためるモノではないんです!
そんなワケで、
自分のパジャマの「クセ」を把握して、折り方を覚えないとダメ。
でも毎日練習してりゃ、折りたためるようになるのは当たり前、と思うでしょ?
ところが、それでもモタついて、間に合わないことが結構あるんですよ!
朝起きて、昨日練習した通りにパジャマを折りたたもうとすると・・・
「あれっ?できないっ!」練習通りにやろうとしても、できないんです。
一晩着て、寝ているうちにシワや、ゆがみがすっかりついてしまい・・・
とくにズボンは折り曲げるので、
昨日練習した時とは別の状態になっているワケ。
「パジャマがオカシイんです!」って思わず叫んでしまうのです。
紙ならば、一度「折り目」を付けてしまえば、次回から一発なんですが・・・
「オメェ、ここに来てから何日経ってんだよ!ヤル気ねぇなら出てけよ!」
先輩からメチャクチャ怒鳴られるのは、もうお約束のパターン。
「昨日やった時は、ウマくできたのに!」
3日に1回は、練習通りに折りたためず、パニックになるのは
「懲役あるある」
ハイ、
これで今日も夜は、説教⇒たたみの練習が決定。TV見られません。
「クセ」をつかんで、速く折りたためるようになっても、まだ油断できません。
それは
「洗たく」によってリセットされてしまうから!
パジャマは洗たくの際、乾燥機で強烈に乾かされてきます。
刑務所のことですから、柔軟剤など使うワケがありません。
そんな質の悪い綿のパジャマを熱風で乾かせば、エライことになります。
「ゴワゴワ、クシャクシャ」に大変身。
せっかくパジャマの「クセ」をつかんだのに、完全リセット状態です。
ゴワゴワ、クシャクシャなので、まずキレイに折りたたむことで一苦労。
シワを伸ばし、折りやすいよう「クセ」を何度もつけて、やり直します。
サラ(新入り)の頃は、パジャマが洗たくになると、ゆううつでした。
「クセがリセットされるくらいなら、洗たくに出したくない」と本気で思います。
ハイ、
これで今日の夜の余暇時間も、パジャマたたみの練習。TV見られません。
いつになったらTVを見られる日が来るのでしょうか?
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