もし刑務所にブチ込まれている間、
具合が悪くなったらどうなる？話を続けています。
マニアックな話、数回で終わりと思っていたら、ネタがボロボロ出て来ました。
急病、医務回診、クスリ…そろそろ飽きられてきたかもしれません。
が、しかし、もうちょっと「病気ネタ」に、お付き合いくださいませ。
まだ
「お腹を壊す」という、基本中の基本の「急病話」をしていませんでした。
食中毒？ストレス？…
刑務所での腹痛・下痢の原因はちょっとオカシイんですよ・・・
1．刑務所では食中毒はない!?
集団生活で「お腹を壊す」と言えば、
真っ先に思い浮かぶのが「食中毒」
資料を調べてみると、刑務所でも
規模の大きい食中毒は、起きているんですねぇ。
全国に80ヶ所近くある施設のどこかで、
年に１回程度のペースで起きています。
が、そこは刑務所。規模の小さい食中毒は闇に葬り去られているでしょう。
むしろ、公表されている事案があることに驚きました（
隠し通せなかっただけでしょ）
言っちゃ悪いが、
刑務官様は「自分達の非は絶対に認めない」人種ですから・・・
「ムショで食中毒を喰らった！」なんて、絶好のネタですが、ウソはつけません。
実は
私、刑務所ではまったく食中毒らしきものに当たりませんでした。
ホント、
心底ガッカリしています。
なぜか？
①「食中毒が大規模に発生」→刑務所内で対処しきれず、保健所に通報。
↓
②保健所が刑務所の炊場(厨房のこと)や食事を調査。
↓
③食中毒と認定されると、炊場は３～５日間の使用停止。
↓
④自分たちで自分たちのメシを作っている刑務所では、メシを出せなくなる！
↓
⑤外部の業者に「弁当」を発注するしかない。
この「弁当」が、懲役たちにとっては死ぬほど恋しいんです。
シャバの味が楽しめる、願ってもない大チャンス！
たとえ食中毒で具合が悪くなっても、シャバの弁当が食えるなら「大歓迎」
遠い昔の記憶となった、あの俵型の
「銀シャリ」
肉々しく、脂っこい揚げ物をはじめとする
「多彩なオカズ」
そして何より、刑務所にはない
「濃い味付け」が楽しめるんです。
何とも夢のような世界ではありませんかっ！
麦メシ＆粗食＆薄い味付けの地獄のコンボから、逃れられるんですよっ！
不謹慎ですが、ずーっと
「食中毒起きねぇかなぁ」と日々祈っていました。
しかし「都合の良い不幸話」は起きないのが、世の中のお約束。
「北海道や東北の刑務所では起きているのに、なぜウチは起きないんだっ！」
隣国の将軍様が我が炊場にミサイルをブチ込んでくれないか、本気で考えていました。
一方で、コレは
刑務所側にとっては、一大事の大打撃。
施設としての管理能力が問われる
「恥」であり、外部から叩かれそうです。
一番の問題は、刑務官様がコッソリ言うには
「予算のやりくりがキツい」とのこと。
業者へ発注する
弁当は１食400円として…（留置場の弁当がこの額）
1人当たり1日1,200円の食費。中規模の刑務所なら、およそ1,000人。
弁当は５日間と想定すると、総額600万円の臨時出費なワケです。
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2．生モノが一切ないムショめし
私がいた刑務所は、なぜ集団食中毒が起きなかったのでしょうか？
炊場のみなさんの日々の努力もありますが、
メシそのものに原因があると言えます。
まぁ、
食中毒になりそうなメニューが出ないこと、出ないこと。
刑務所の食事は
「生モノ」が一切出ないんです。
サラダに出る野菜は、すべて
「ゆで野菜」ですし、
刺身などの生魚、生卵・・・出ません。
「生」で食べられるモノは、リンゴ・みかんの果物だけでした。
「食中毒に対して、鉄壁の守り。これじゃあ、食中毒は起きないわ…」
しかし、そこは刑務所。
「集団でお腹を壊す」というコトは結構あったんです。
3．お腹が刑務所モードの懲役たち
最後まで「集団食中毒→シャバの弁当を食う」野望は果たせず、ガッカリでしたが
懲役生活では、
何度となく仲間と一緒に「腹痛・下痢」にはなりました。
同じモノを食う刑務所では「腹を壊すのも同時」なので、ホント困ります。
生モノが出ないだけではなく、
お腹に優しい食材ばかりが出るのがムショめし。
煮物中心、味付けも薄く、アブラ少なめ、激辛などありえません。
こんな刺激のない食事を何年も続けていると、胃腸が「ヘタレ」になります。
どれだけ「ヘタレ」になっているかと言いますと・・・
市販のお菓子、市販のジュースで、お腹を壊してしまうんです！
実は刑務所でも、マジメにやっていれば、お菓子を食べるチャンスはあります。
それは月に１回の
「集会」。問題起こさず半年以上つとめれば、誰でも参加可能です。
優遇区分というランクが３類に上がると、食えるようになります（
もちろん自費）。
350～500円相当のお菓子を食いながら、みんなで映画を見る「ハレの日」です。
この集会では、
菓子２品程度とジュース１本が定番の組み合わせ。
コンビニやスーパーで手に入るような
「日持ちするモノ」がほとんど。
どうすればお腹を壊すのか、まったく理解できないのですが、壊すんです。
お腹を壊す定番は２つ
①チョコレート菓子
②カロリーゼロの炭酸飲料
チョコレートは、なぜか板チョコでは大丈夫。
チョコパイ、チョコフレーク…などチョコを使ったお菓子だとダメなんです。
その日の夜には、半数近くがお腹を壊し、便所に駆け込むことになります。
「まったく、いい歳こいたオッサンが、チョコくらいで情けねぇ」
と、バカにしていましたが、私も洗礼を受けました。
シンガポール製のパチ物「お徳用」チョコパイが出た時は、ヒドかった！
そして、
人工甘味料でカロリーゼロ表示のサイダー、コーラもダメなんです。
刑務所側は「少しでもカラダに良いものを出そう」という親心かもしれませんが…
たしかに小さい字で
「大量に飲むと、お腹がユルくなることがあります」って！
とは言うものの、チョコもサイダーも、子どもでも大丈夫なモノなのに・・・
チョコの脂肪分、人工甘味料、これらにすっかり対応できない「ヘタレ腹」
まぁ、食中毒ではないので心配はしませんが、雑居ではホント困ります。
同じような「症状」で、便所に駆け込もうとする者が同時に現れるからです。
雑居には便所は１つ。「自分の好きな時に、好きなだけ」大便できません。
そして
先輩に便所をゆずる「気づかい」も求められます。
「チョコやサイダーにも耐えられない、こんな生活はイヤだ！」と思いつつ
「雑居でウ◯コを漏らしたら、大変なことになる」と、ガクブルです。
お腹を壊す、ではないものの、
まだ「弱くなったモノ」はあります。
少数の受刑者ではありますが、
コーヒーもダメになった人がいました。
刑務所ではコーヒーなんて高級なモノは出ません。
出るのは
月１回程度のコーヒーゼリーか粉のミルクコーヒー。
どちらも
「似非コーヒー」で、
そんなにカフェインの刺激は強くないハズ。
それでも
「昨日の夜、眠れなくてさぁ」と言うオッサンたちがいるんです。
まったく、
コーヒーゼリーで眠れないって、小学生かよ！
こんなことで、
シャバに出てから大丈夫か？と不安でたまりません。
次回は、医務「診察」のお話をしたいと思います。
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こんばんわ。
黒羽では私が出所したあとに食中毒が発生し、
しばらくは外部業者の弁当生活だったそうです。
不謹慎ながら、
「なんで俺がいる間に起こってくれなかったんだ！」
と思ってしまいました。
塀の中にいながらメインの食事で娑婆を味わえるなんてチャンスは滅多にあることじゃないですしね。
出所してるくせに、妙に羨ましくなったことを憶えています。
by 1852番 (2016-04-22 21:54)
1852番さん、こんばんは♪
コメントをくださりありがとうございます。m(__)m
いやぁ、わかっていただけて、うれしいです。
シャバの弁当を食べたいがために、不謹慎ながら食中毒が発生することを期待してしまうという……
別に高級なモノが食べたいのではなく、銀シャリ、濃い味付け、脂っこいモノ…それらが恋しいのです。
いまだにコンビニなどで弁当がズラリと並んでいるのを見ると、コーフンしてしまいます。
またコメントをお待ちしております。
いつもお読みくださり、感謝です。
by きりたんぽ (2016-04-23 03:19)
はじめましてアニと申します。
先日は訪問＆nice!ありがとうございました。
これからお邪魔させていただきますので、
どうぞよろしくお願いいたします(*ゝ∀・*)ﾉ
by アニ (2016-04-24 17:33)
未経験で何も分からなくて恐縮ながら、シャバの弁当というのはそんなに魅力なのでしょうかね？
現状の不満もありましょうけども、それほど猛烈な変化を欲するのが懲役生活なのでしょうか？
逆に言えば、そういう描写や受刑者の吐露が拡散すれば犯罪抑止力になろうかと思いますので、今後も盛ること無く懲役生活の凄まじさをお伝え下さるようにお願い申し上げます。
懲役生活に恐れを抱いてる者は犯罪を犯すなといってスローガンでも社会秩序に寄与するのかと思います。
by マーチン・ターシロ・マサシ (2016-04-24 19:55)
アニさん、はじめまして(^o^)
こちらこそ、ご訪問ありがとうございます。
しょーもない、マニアックなブログですが、これからもお付き合いのほどよろしくお願いいたします。
by きりたんぽ (2016-04-25 01:41)
マーチンさん、こんばんは(^o^)
コメントをくださり、ありがとうございます。
はい、シャバの弁当はとても魅力です。
コレばかりは経験してみないとわからない（経験したくないでしょうが）と思います。
恐らく、私だけでなく、懲役経験者であれば同意してくださるでしょう。
外界と隔絶され、自由がなく、変化もなく、満足できるものはない、そんな生活をしているとちょっとした変化がとてもうれしいモノです。
「犯罪抑止力」というコトバが出ましたが、私はそのような大仰なコトを世に問うつもりもありません。
自分の経験を分かち合いさせてもらうことで、少しでも楽しんでもらえたり、何かの役に立てれば、それだけで満足です。
もちろん、話は盛ることはこれからも考えていません(笑)。
またコメントをお待ちしています。
いつもお読みくださり、感謝です。
by きりたんぽ (2016-04-25 01:49)
娑婆の弁当って言いますけど
それって留置所時代に支給されていた弁当と同じようなものじゃないんですか？
確かお世辞にもおいしくないとか仰せになられていたと思うんですけど、それでも味付け的には恋しい物なのでしょうか
by クライヴ (2016-04-25 11:16)
ここまで詳細なブログは素晴らしいと思います。作家に転向されると良いと思います。時折、「部屋から追い出される」というフレーズがありますが、どのように追い出されるのですか。そして、追い出された後はどうなるのですか??
by 谷風 (2016-04-25 14:30)
こんにちは。
映画「刑務所の中」で描かれていた集会では
コーラとアルフォートを食べながら
映画を見ていたのですが、
あぁいう物でもお腹を壊すんですかね？
しかし上のコメントにもありますが、
最近このブログが本にして
お金を取れるレベルに思えます…
by お名前（必須） (2016-04-25 15:15)
クライヴさん、こんにちは(^o^)
留置場の弁当は、マズいとまでは言いませんが、オイシクないです。
ここで言う「シャバの弁当」とはコンビニ弁当、ホカ弁をイメージしていただければ、と思います。
とにかく成人刑務所の食事の味付けはうすいんですよ。
オイシクないモノでも、味付けがしっかりしている濃い味のモノならばゴハンが進みますが、マズい味付けの上にうす味ですから、腹が減っているのにハシが進まないということになります。
コンビニ弁当や外食で思うのは「シャバの味付けは、濃い！」ということです。
懲役にとってはそれだけでも、満足なんですね。
by きりたんぽ (2016-04-25 16:21)
谷風さん、こんにちは(^o^)
お褒めのコトバをいただき、恐縮です。
この程度のへぼブログでは、出版などおこがましいです。
しかし、とてもうれしく思います。
「部屋から追い出される」には、よくあるパターンとして2つあります。（そのうち記事にしようと思っていたので、カンタンでお許しください）
1つ目は、部屋長をはじめ部屋のメンバーに「オメェ出て行けよ」とイヤがらせ、イジメを受け続け、弱った本人が「他の舎房に転房をお願いします」と担当の刑務官様に”自主的に”申し出させるやり方。
ヒドイものになると、耐えきれず作業拒否⇒懲罰を”自主的に”迫られる場合があります。
2つ目は、部屋長が担当の刑務官様に「アイツ、集団生活できません。うちの部屋から転房させてください」とチンコロするパターン。
この場合、部屋長と担当の刑務官様は良くも悪くもなれ合いの関係なので、部屋長の言うことをほぼ「うのみ」にします。
本人がホントに迷惑をかけているかは問題にされません。
そういうワケで、あっさりと「部屋を追い出されて」しまうのです。
追い出される＝他の舎房に転房、がほとんどのパターンです。工場内では「アイツは部屋を追い出されたデキないヤツ、問題児」というミソがついてしまうため、見下されたり、何かと生活しにくくなります。
キビシイしきたりの工場では、そうして転房した者は、雑居ではサラ(下っ端)からやり直しをさせられます。
年寄りばかりの工場では、こうしたことがあまりなく、割と平和ですが、若い者が多い工場ではこの傾向が強くなり、キビシイです(笑)。
またコメントをお待ちしています。
by きりたんぽ (2016-04-25 16:36)
こんにちは(^o^)
お褒めのコトバをいただき、恐縮です。
少しは楽しんでいただけたでしょうか？
普通のコーラではお腹は壊しませんでした。ダイエットコーラのような人工甘味料を使ったものだと、お腹を壊す（ユルくなる）者が多いようでした。
アルフォートでもお腹は壊しませんでしたねぇ。
さすがメイドイン・ジャパン、質がいいのでしょうか？(笑)
壊したのは、輸入物の「質より量」のチョコレート菓子。
記事でも申し上げましたが、外国製のエセ・チョコパイ、チョコフレーク、チョコ菓子でヤラれる者が多かったです。
使用している油脂の関係でしょうかね？
ムショ生活が長くなると、お腹もちょっとした刺激にすぐ反応したり、消化できないようになります。
またコメントをお待ちしています。
by きりたんぽ (2016-04-25 16:43)
最近刑務所などの関連本を読んで、このブログに興味をもちました。
Ａ級、Ｂ級、Ｌ級などで刑務所内での扱われ方も違ってくるんですかね。
本で読んだところによると、Ａ級でも自称ヤクザで威張り散らす輩もいるとかいう事ですが、あまりそんな人と関わらないようになっていくもんなんでしょうかね？
さて、人工甘味料などは人体に吸収されにくかったり、吸収されてもすぐ排出される性質のものがあります。
アスパルテームが有名ですかね。
そして、一般の人も大量に摂取すると一時的にお腹が緩くなるという事は、刑務所の中ではほとんど摂取する機会がないので、たまに摂取すると一気に緩くなるのかなと思います。
身体の働きとしてはとても正常（むしろ一般の人が添加物多すぎ？）なのかもしれませんが、刑務所という自由のない特殊な場所では困った事にもなりかねないんですね。
変な話、これで刑務所に行かないようにしたいと思いました（笑）
by 忍者福島 (2016-05-01 01:59)
忍者福島さん、こんばんは
興味をお持ちくださり、ありがとうございます。
以前の記事でも書きましたが、初犯/累犯・長期/短期では扱いも違ってきます。コレは仕方のないことだと思います。
どこの刑務所でも共通する大事なことは「他人のことに首を突っ込まない」ことです。
シャバとはちょっと違い、他人には無関心でいることが大切かつ無事に出所するカンタンな方法だと思います。
by きりたんぽ (2016-05-02 03:04)