もしも
「刑務所で具合が悪くなったら」という困ったお話を続けています。
前回まで
「具合が悪くなった時の対応・治療」について、ご紹介しました。
まだまだくだらない話はあるのですが、肝心なことを話すのを忘れていました。
刑務所では
「クスリはどんな扱いなのか」という話をしなければなりません。
カゼ薬などは比較的カンタンにもらえる話は、以前の記事でお話ししました。
(「
刑務所で具合が悪くなったら(3)・・・熱を出したら、どうなるの?」)
しかし、刑務所できめ細かいクスリが処方されるとは思えません。
そもそも、薬物依存の受刑者もいるのに
「クスリを持たせて大丈夫なのか」とか
「シャバで飲んでいたクスリは処方されるのか」とか、心配になります。
キチンと処方してもらえないと、悪化する持病を持つ受刑者だって、もちろんいます。
1.シャバで病院に行っておいて!
結論から先に言えば、シャバで飲んでいた薬は、刑務所でも処方してもらえます。
しかし
刑務所の医務で「必要だ」認められなければダメ。
大したことない、持病ではない、と判断されれば、
あっさり切られます。
そして
シャバと同じ薬とは限りません。
基本、ジェネリック医薬品です。これは経費節減のため仕方ない。
困るのは
「ダウングレードする」可能性が結構あるということ。
シャバの病院で処方される「最新鋭」のクスリは、まず処方されないでしょう。
「ココではそんなモン、ない」と一蹴。
ふた昔前の時代遅れの「代替薬」を処方される恐れが高いのです。
文句を言ってもムダ。
ないものはない。
「処方してもらえるだけ、ありがたいと思え」と言われますしね。
治療薬は一応処方されているので、文句も言いにくい。ただ効果は疑問。
そして一番注意しなければならないのは、
新規での処方はムズカシイということ。
「シャバから具合悪いから、クスリを出してもらおう」というのがキビシイ。
新たに何かしてもらおうと、期待してはダメですからね!
そもそも具合が悪くなっても、診察・検査にたどり着くまでがムズカシイ。
その上、刑務所の医者・診察・検査、どれをとっても
「?」なんです。
保釈などでシャバにいられる人は、
今のうちに病院に行っておいてください。
また、シャバでは「診察⇒薬の処方」が基本の流れですが、これも期待できません。
医務の刑務官様が、シャバでの薬をチェックして、処方してオシマイ。
診察してもらって、クスリの再検討や調節をしてもらえると思うのは甘いです。
もう一度、言います。
どうか入る前に、病院に行っておいてください。
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2.刑務所流「クスリのオキテ」
「刑務所の常識は、シャバの非常識」というコトバ通り、
薬にも「お作法」があります。
その理由を考えれば仕方ないモノなんですが、かなり異様な「お作法」も。
薬の入っていたパッケージ(カラ)は、ゴミですが、
勝手に捨ててはダメ。
全部のみ終わったら、
袋と一緒に返却しないと「懲罰」になります。
そもそもカラと交換という形で、次の週の薬が継続される仕組みなんです。
しかし、何と言っても
「クスリの飲み方」が一番ヘンでしょう。
自分のモノは自分で管理するのが大原則の刑務所ですが、クスリはちと違います。
持病の血圧の薬などは
「本人所持薬」と言い、渡されますが、これは一部に過ぎない。
受刑者が「悪さをしそうなクスリ」は本人に持たせないのです。
精神の薬をはじめ
「一度に大量に飲む」とマズい薬。
乱用だけでなく
「ワザと飲まない」という問題。
イジメやゴマすりで
「他人に譲渡する」という恐れもあります。
こんな心配のある薬や受刑者には、自分の薬だけれども、持たせないんです。
刑務官様に管理されます。まさにお子ちゃま扱いですが、仕方ない。
食事後などに
その都度、刑務官様から渡されて、その場で飲むことになるのですが・・・
刑
「ハイ、投薬ぅ~~」
懲
「594番、◯△です」
刑
「オゥ、コレだな(クスリの袋を渡す)
」
懲
(ゴックン)「んあぁ~、えぇ~」
刑
「オゥ、よしっ!」
こんな流れで
毎回「クスリを飲むところ」を刑務官様に見せないとダメ。
あらかじめ自分でコップに水を用意しておいて・・・
①飲む前にクスリをチェックしてもらい
②口に入れたクスリを、口を開いて見せて
③クスリを飲んで、ハイ、ゴックン!
④ホントに飲んだと示すために、口を開いて見せ
⑤どこにも残っていないと、ベロを出して見せる
こんなアホなことを、毎回毎回刑務官様の前でやるのです。
どうです?シャバでは絶対にこんなことはないでしょ?
幼稚園児のお子様だって、こんなことしません。
一見、しつこすぎるくらいのカンペキな服用チェックですが、
まだ甘い!
コレを見事に
「飲んだフリ」をしてゴマかすヤツがいるんです!!
「オマエはマジシャンかっ!」
私のような凡人には理解できないスゴ技を使い、
クスリを手元に残すのです。
「クスリをくれ!」とフツーは必死に要求するのに、飲まないってどういうこと?
それは、
とくに「睡眠薬」で起こるようです。
理由は色々あるようですが、主に3つの理由が考えられます。
①飲まずに、他人に譲渡して、ゴマすりの道具にする
②飲まないことで「効き目がない」ことを見せつけ、クスリの増量をねらう
③貯めておいて、一気に飲み、ラリった気分を味わう
この「睡眠薬」にまつわる話はいくつかあるので、後日お話しします。
部屋長や古株などが、ロコツに「睡眠薬をよこせ」と要求することもあります。
まったく「自分のために飲むハズ」のクスリまで、不正の道具に使うなんて……
まさに「想像のナナメ上を行く」懲役生活の一例です。
次回は睡眠薬にまつわるお話を少ししてみたいと思います。
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きりたんぽさん、こんばんは!
拘置所でも薬は同様でした。
基本シャバでもらってた薬は引き続きでました。
私糖尿病なのですが、最新藥は「ない」の一言。
次にメジャーな薬はジェネリックに変えられました。
で、これから入る可能性のある方。
欲しい薬は最初の問診で強く請求すると処方されましたよ。
歯が痛みだしたのでバファリンと、喘息持ちなので咳止めは
自己管理で処方されました。
1シート10錠飲みきると、
医務の受付(東京拘置所は週2回)の時に袋を出して
また1シートもらってました。
これが歯が痛んだ時に役に立ちました。
歯の痛みは1錠じゃ効かないのです。3錠必要でした。
でもシャバでもらってた薬と問診で請求した薬以外は
医務の受付で3個もしくは3包しかもらえないのです。
薬は最初が肝心なので、ダメ元でも主張しましょう。
私も眠剤は飲んでましたので、
次のブログを楽しみにしています!
by きなこ (2016-03-23 19:22)
きなこさん、こんばんは(^^)/
コメントをくださり、ありがとうございます。m(__)m
きなこさんが話してくださったことと、ほぼ一致するのは「やはりそうなんだ」と確信する反面、「どこもヒドいな」と切なくなります……
糖尿病やら喘息やら、刑務所生活は大変でしたね。
「薬の請求は最初が肝心」というのは激しく同意です。
あとから「実は・・・」と言ってもダメなんですよね。
眠剤の話が、きなこさんがいた施設とどれくらい一致するか、楽しみです。
もしよろしければ、また教えてください。
いつもお読みくださり、感謝です。
by きりたんぽ (2016-03-23 20:51)
補足のしようのない完璧なコメント!
自分は小菅が大改装中に(笑)行く予定でしたが定員一杯で入れず(爆、留置所に3カ月強滞在するなんて経験をしたのですが、その間に民間の歯科に行く機会がありまして。
大変稀な事だろうと思うのですが、抜歯と治療を受けました。
痛み止めも出ました。
小菅に入っていたらまず無理でしたね。(爆汗;
by 亀仙人 タカヨシ (2016-03-24 12:02)
きりたんぽさん初めましてm(_)m
彼が逮捕され、いろいろと調べまくってた際に
こちらのブログを見付けて全ての記事を読ませて頂きました。
どんな情報サイトよりもダントツで私の助けになりました。
ありがとうございます!
彼は現在、拘置所にてもうじき分類のため移送待ちの最中です。
先日、彼から届いた手紙の中で刑務所の事が
いろいろとネットで書かれてるらしいから調べて
印刷して送って欲しいと来たのです。
具体的にどんな情報が知りたいのかが
定かでは無いのですが初めての刑務所なので
いろいろと知りたいのだろうなと思い
だったら、こちらのブログが一番ベストじゃないか!と思ったので
印刷して(既に結構な枚数プリントしたのですがw)送ってあげようかと思っています。
きりたんぽさんも差し入れ関連の記事にて
ネットプリントに関しこちらのブログを印刷して本人に
渡してもらえたら等の事を書かれておれらたので大丈夫なのでしょうが
如何せん初めての事だらけで不安なため
念の為、質問させていただこうとコメントを書かせて頂きました。
本、書籍などの場合は刑務所の裏事情や詳細?が書かれてる物は検閲に引っかかるのですよね?
私はこちらのブログを印刷して送ってあげたいのでネットプリントとなりますが
ネットプリントの場合は赤裸々に綴ってあっても
検閲に引っかかる事は無いのでしょうか?
彼の立場が悪くなったりする事も無いですか?
初めてのコメントで質問ばかりすみません(☍﹏⁰)
どうかお返事頂けましたら幸いです。
これからも更新楽しみにしております。
頑張って下さい!
by みか (2016-03-25 00:53)
みかさん、はじめまして
コメントをくださり、ありがとうございます。m(__)m
落ち着かない日々を過ごされていることとお察しします。
そんな中、このブログをお読みくださり感謝です。
少しはお役に立てているようですので、とてもうれしいです。
さて、刑務所ネタのネットプリントが差し入れできるかどうかは微妙なところです。
施設によってはキビシイですし、ブログの記事の内容が施設の内部のことを詳しく書いてあるものは不許可になる可能性があります。
ただ、ハナから検閲不許可ではないと思いますので、差し入れにチャレンジしてみてください。
検閲に引っかかるモノを差し入れしたら、仮釈放をはじめ彼氏さんの立場が悪くなるかというと、そんなことはありません。
悪くなるのは、事件の被害者への悪口や事件に対する無反省なコメントなど「常識で考えればマズいもの」です。
当たり前のようですが、刑務所にブチ込まれていると感覚がオカシクなって、そんなことを書いてしまうヤツもいるんです。
私のブログは露骨に特定の人物、特定の場所は表記していないので、その点はハードルが低いものと思います。
差し入れで入って、ぜひ彼氏さんに読んでほしいですね。
またコメントをお待ちしています。
今後ともお引き立てのほど、よろしくお願いいたします。
by きりたんぽ (2016-03-25 02:03)
きりたんぽさん、おはようございます(^^)
先日、旦那さんから手紙が届き以前きりたんぽさんが記事にしてた布団の畳み方の事が書いてありました。
まだ移送されてすぐの頃に自分なりにはすごく綺麗に畳んだのに、運動から帰ってきたら布団がひっくり返されていて空き巣に入ったかと思ったと。
彼は今は独居なのですが、施設自体が整理整頓にすごくうるさいみたいです。
この手紙見てきりたんぽさんが記事に書いてた布団の畳み方はこのことかと笑ってしまいました(笑)
考査期間には身体検査、分類面接をして、何故か彼だけ能力テストをしたらいのですが、学歴ないからかな?と心配してたのですが、きりたんぽさんは能力テストなんてものはしましたか?
by ひろ (2016-03-25 08:35)
ウームウームウーム。
常備薬ないと困る性格の人ははいれませんね。
by 夏炉冬扇 (2016-03-25 08:42)
ひろさん、こんにちは(^o^)
コメントをくださり、ありがとうございます。m(__)m
ひろさんのダンナさんの悪戦苦闘の様子が手に取るようにわかります(笑)。
ダンナさんと「フトンの苦労」を共有できて、ちょっとうれしいです。
笑ってはいけませんが、その様子でしたら余裕がありそうですね。ひとまず安心です。
布団のたたみ方など「ここまでこだわるのかっ?」というくらい、うるさいところがあります。
今までの自分の常識と、刑務所の常識があまりにズレていて、慣れないうちはイラつくんですよねぇ。
限られた人間だけの「能力テスト」なるものは、記憶にないです。その手のモノは大人数で受けました。
受けさせられたからと言って、別に悪いことはなさそうですよ。
またコメントをお待ちしています。
いつもお読みくださり、感謝です。
by きりたんぽ (2016-03-25 11:08)
夏炉冬扇さん、こんにちは(^o^)
刑務所はとにかく健康でいることが大事です。
最先端の医療が必要な病気など、メンドくさい検査や治療が必要な病気になったらアウトです。祈るしかないですね。
by きりたんぽ (2016-03-25 11:12)
きりたんぽさん、こんばんは!
早速のお返事ありがとうございますm(_ _)m
身近な人物が刑務所に行くというのは
初めての経験ですが、遥か昔に離婚した旦那が
拘置所までは行ってたので
ある意味この様な出来事には慣れており
思いのほか、ドッシリとは構えてます(笑)
当時は私自身若く子供だったので
深く考えて無かったのでしょうね。
やはり年齢を重ねますと保守的になるからか
些細なことに不安をおぼえたりしますが
嘆いていても仕方ないですし
長期の出張に行ってるんだ位の気持ちで日々を送っています。
きりたんぽさんのお心遣い感謝します。
さて、前置きが長くなってしまいすみません。
なるほど。やはり施設によって違いがあるのですね。
とりあえず、仕事の都合で郵便局に行けるのが
今日しか無かったので出して来ました。
かなりの枚数をプリントアウトしたので
私の労力が無駄にならない事を祈ります(笑)
彼の立場が悪くなるような事も無いようなので
きりたんぽさんのお返事を読んで安心しました。
ご丁寧にお返事下さって本当にありがとうございましたm(_ _)m
何やらまた、寒の戻りですね。
風邪など引かれませぬよう、お体ご自愛下さいね。
by みか (2016-03-26 00:00)
みかさん、こんばんは(^^)/
コメントをくださり、ありがとうございます。
落ち着かず、お忙しい中、ご丁寧なお返事恐縮です。
他人との比較は意味がありませんが、それにしてもみかさんは落ち着いていらっしゃると思いました。
なるほど、経験がみかさんを強くしているのですね。
自分にとって不都合な出来事をどう解釈し、どう折り合いをつけていくかというのは、私の場合刑務所生活でイヤというほど考えさせられました。
ダンナさんが無事に懲役生活を終えられることを祈るばかりです。
私にもブチ込まれてもなお、見捨てずに救いの手を差し伸べてくださった方がいました。
その御恩返しではないですが、少しばかりでもお役に立てたらうれしいですね。
またコメントをお待ちしています。
いつもお読みくださり、感謝です。
by きりたんぽ (2016-03-26 00:18)
平成14年に東拘に入所の際、精神科医が向精神薬を止めたため4日後に独居房で自殺した遺族が、損害賠償裁判を起こして勝訴しています。
判決では、「拘置所は入所前の投薬が不合理でない場合、投薬中止の緊急な必要性が無い限り、入所前の薬を継続する義務がある。」と述べ、向精神薬の中止は安全確保義務違反で違法行為だとして、遺族が勝訴しました。
平成17年の控訴審でも国・拘置所は敗訴し判決が確定しました。この判決から10年余経った今でも東拘では、入所時にそれまでの服用薬を中止するという違法行為が行われているのです。
判決は東京拘置所 損害賠償でググれば引っかかります
by 今東拘 (2016-08-14 18:08)
こんばんは。
たまたま拝見させて頂いてるだけなのですが。
犯罪とは言え、こういう体験を全く知らないので、知らない世界を教えて頂いててる感覚です。
きりたんぽさんの記事の書き方はとてもおもしろく、とても魅力的です。
一番始めから読んでいます。
どこかのタイミングでコメントしたいなぁと思っておりました。
今後も順を追って読ませて頂きます。
現在のきりたんぽさんが、社会復帰出来てる事を願いつつ、読み進めて参ります。
by みゆきんぐ (2016-12-06 21:39)
ご挨拶もしっかりせず、ご無礼お許し下さい。。。
by みゆきんぐ (2016-12-06 21:45)
みゆきんぐさん、はじめまして。
コメントをくださりありがとうございます。m(__)m
最初の方の記事は、あまりにも文章がヘタ過ぎて、自分で読み返して恥ずかしくなります。
ホントは削除したいところです・・・
お読みくださりありがとうございます。
前科者、出所した人間の社会復帰は、想像以上にムズカシイです。悪戦苦闘しながら、何とか生活を立て直そうとしております。
そんなワケで、更新もおろそかになってしまいまして、お許しくださいませ。
またコメントをお待ちしております。
今後ともお付き合いのほどよろしくお願いいたします。
by きりたんぽ (2016-12-08 06:08)