もしも
「刑務所で具合が悪くなったら」という暗～い話を続けています。
前回は「急病で倒れて、そのまま死んでしまった」ジイさんの話をご紹介しました。
（「
刑務所で具合が悪くなったら(7)・・・ホントに死んでしまったら」）
70代の高齢だったとは言え
「獄死」なワケです。せつない……
高齢者であれば、寿命というか、仕方がない、とあきらめがつくかもしれません。
そしてお読みくださる方にとっては
「まったくの他人事」だと思います。
しかし、
30代でも「獄死」するヤツがいる、と言ったらどうでしょうか？
報道でよく見る「獄死」のケースは多くが「自殺」です。
今回は「具合が悪くなったら」の前提で話していますので、自殺はまたの機会に。
ただ、自殺も「精神疾患の延長」とも考えられるので、何とも言えませんが・・・
とりあえず自殺を除いた「獄死」について、前回に引き続きお話させてください。
今回は
「昨日まで元気だった若者が突然死ぬ」という話を紹介します。
もちろんレアなケースですが、私はリアルタイムで経験しました。
1．刑務所で突然死する
前回の獄死はジイさんでしたが、
今回の獄死は30代の若いヤツです。
実際、新聞の地方欄をチェックしていると、
年に何回かは若いヤツも死んでいます。
そのほとんどが自殺か、
「突然死」のようです。
「30代のような若い人間が死ぬのかよ!?」と驚いたモンです。
最初は密室でリンチとか、暴行事件に巻き込まれて死んだのかと妄想しました。
安心してください。日本の刑務所は、そんなことありません。
殴り合い程度はありますが、すぐに鎮圧されてしまいます。
受刑者が刑務所内で殺人した、というのは最近では聞いたことがないんですよね～
某K刑務所で
「金属バットで頭を引っぱたいた」という事件くらい（死んでいません）
病死であって
「突然死」ですから、刑務所のせいではありません。
「放置された」「ロクな治療が受けられなかった」というヒドイ話じゃない。
誰のせいにもできず、しかし若くして「獄死」という、
最悪な展開です。
2．朝から騒然とする舎房
記憶ではたしか
春先の明け方だったと思います。
雑居ばかりの舎房で、いつもと変わらぬ朝を迎えようとしていました。
まだ起床には早い
５時、６時ごろだったのでしょうか？
―――ガンガンガンガンッ！！
同じ階の奥の方の舎房から、鉄トビラを激しくたたく音で目を覚ましました。
一度や二度ではなく、ずっとたたき続けています。
「オイ、こんな朝から暴れているヤツがいるのか？」
「何してるんだ？一発で懲罰だろ！」
時間に関係なく、トビラをガンガンたたいた時点で
問答無用に懲罰です。
―――お願いしまーすっ！
「オイ、頭オカシクなったんじゃねぇか？」
「たたくだけじゃなく、声に出して叫ぶなんて、よっぽどですよ」
元受刑者の私でも作ることができた、太っ腹！な楽天カードはこちらからどうぞ↓↓
(続きを読む)
↑↑懲役生活は何といっても本がありがたい！楽天ブックスはこちらからどうぞ↑↑
3．朝起きたら、死んでいた！
舎房では用件があっても、
刑務官様を呼び出すのに絶対に声をかけてはダメ。
舎房にある「報知器」を表示させて、
刑務官様が来るのをじっと待たないとダメ。
もちろん叫ぶなんて論外。これも問答無用に懲罰。
―――センセイ！早く来てくださいっ！
「オイ、やっぱり何かあったんだよ」
「そうっすよね。キ◯ガイが暴れているワケじゃないですね」
その後、刑務官様がようやく来たのだが、これまた何かオカシかった。
トビラをたたき、大声で叫び、
完全に反則行為なのに、連行される様子がない。
それどころか、刑務官様がワサワサと何人もやって来た。
「オイ、連行しないのに、どうしてオヤジたちがたくさん来るんだよ？」
「ゴネてるんすかねぇ？それとも説教ですかねぇ？」
状況がわからないまま、起床の時間となり、さぁ朝食という時だった。
「
全員今から窓側に向かって座れ～！」
「
オイッ！廊下側を見るんじゃねぇ！」
刑務官様が何人もで怒鳴り声を上げて、懲役たちに指示を出している。
「こんな命令、初めてじゃないっすか？」
「廊下に何か見てはいけないモノが通るってことだよな？」
「オマエの角度からだと、横目で廊下が見えるだろ？見ておけよ！」
数分後、バタバタと刑務官様たちが、舎房の前を通り過ぎた。
「オイッ！どうだった？」
「いや、それが…通り過ぎる時、ブルーシートで覆われてしまって…」
何と、
通過する時にシートで廊下側の窓をふさいで見えなくする念の入れよう！
結局その場では何が起こったのかわからなかった。
しかしその後、新聞を見て驚いた！！
「刑務所で30代の受刑者が死亡」
実は舎房で死んでいて、それを運び出そうとしていたのだった。
他の受刑者たちが動揺しないように、シートで隠してわからないようにしたワケだ。
どうして、舎房で「すでに死んでいた」のだろう？
どうやら
致死的な不整脈の発作が起きて、あっという間に死んでしまったらしい。
同部屋の早起きした者が、
異変に気づいたときは、もう死んでいた・・・
そこであわてて、トビラをたたき、大声で叫び、刑務官様を呼び出そうとしたのだ。
自分で部屋を出ることもできないから、そうするしかない・・・
目が覚めたら、となりのヤツが死んでいるなんて、そりゃ恐ろしいわ！
前日まで元気。30代だから重病も考えられなかったことだろう。
それがまさかの「突然死」
刑務所で「突然死」という人生の幕切れ。悲惨すぎる・・・
もう死んでいたから仕方がないが、同部屋の受刑者はイヤな気持ちになっただろう。
念のため事情聴取をされ
「余計なことを言うなよ」と口止めもされたそうだ。
目の前で死なれ、それを疑われ、明日は我が身かとおびえ、コチラも最悪だ。
若くして「突然死」にて獄死。
うーん、かなりミジメな死に方と言えるのではないだろうか？
刑務所で死ぬ話はこれに終了。次回はまた病気の話をします。
獄中日記 ブログランキングへ
にほんブログ村
↑↑ランキング参加中です。クリックしていただけると、感謝感激、生きる希望が湧いてきます。
↓↓出所後もカードは必需品。だったら使いやすい楽天カードはこちらからどうぞ↓↓
↑↑差し入れには本が一番。お得で節約できて、出所後に助かる楽天ブックスはこちらから↑↑
2016-03-17 17:00
nice!(94)
コメント(12)
トラックバック(0)
共通テーマ：日記・雑感
南無阿弥陀仏
by 夏炉冬扇 (2016-03-17 19:17)
きりたんぽさん、こんばんは。
今回の記事読んでいたら、旦那さんにも全く関係ない話ではないんだなと怖くなってしまいました。
ただただ元気に帰ってきてくれることを祈ります(>_<)
手紙が届き社会復帰促進センターの中のことが少し書いてあったんですが、ご飯は美味しいみたいです。
あとは起床10分前になると暖房が入るみたいで、贅沢ですよね(*_*)
でも新入訓練？で今は毎日怒られてるみたいです（笑）
笑い事じゃないですけど、きりたんぽさんのブログを読んできてるので、こんな風に怒られてるのかなとか考えると笑っちゃいます。
私が今こうやって明るくいれるのも、きりたんぽさんのブログを見つけて中の状況を少しでもわかることができているからです。
本当に感謝してます！
これからも楽しみにしてますね(*^^*)
by ひろ (2016-03-17 22:07)
ひろさん、こんばんは(^o^)
コメントをくださり、ありがとうございます。
おっしゃる通り、まずは無事で出所すること、健康が何よりです。
ダンナさんの話、ホントに羨ましいですねぇ・・・
メシがウマい、暖房が入る、なんて目を疑うような待遇です。
私がいた(ほとんどの人がそうである)従来の刑務所では、どちらもあり得ないこと、苦しむポイントですからね。
良いことなんですが、刑務所っぽくないなぁなんて思ってしまいます。
新入訓練は怒られるのが仕事のようなものですから心配ないですが、工場に配役になってからもずっと怒られているようでは心配です(笑)。
またコメントをお待ちしています。
いつもお読みくださり、感謝です。
by きりたんぽ (2016-03-18 00:46)
こんにちは。
ご訪問、nice! ありがとうございます。
by YUTAじい (2016-03-18 13:48)
きりたんぽさん、こんにちは。
こんなこともあるんですね。リアルでビビってしまいました。
中に入ってる、ヤツの虫歯が心配ですが、その比じゃありませんね。
医務の先生もなかなか願せん出しても来てくれないみたいだし、処置もしっかりしたものじゃないようですしね。
ヤツの居るところも食事は美味しいとのことです。
献立のバランスは首をかしげることは多々あるみたいだけど。
既決になったので、そのうち他の施設に移送される予定で、マズイ食事になるかも…。
友人で申請したので手紙、通信できるのか待ちの状態です。
なんとか無事におつとめを果たして戻って来て欲しいです。
by さくらこ (2016-03-19 13:14)
さくらこさん、こんにちは(^^)/
コメントをくださり、ありがとうございます。m(__)m
頻繁に起こることではないにせよ、若くても獄死することはあるという事実は強烈でした。
それはそれとして、虫歯も大変ですよ～
痛みに苦しんでいなければいいのですが・・・
何せ歯科治療は3ヶ月で呼ばれれば早い方、6カ月は覚悟という世界ですからねぇ…
食事がおいしいとは！それは良かったけれど、これから移送されちゃうんですもんねぇ。そこでマズいと余計ショックです(笑)。
私も拘置所で、コッペパン＋小倉あん＋焼きそばという昼食の日があって、組み合わせに衝撃を受けました。マズいとかじゃなくて「焼きそばとあんこを一緒に食うかぁ!?」と。
しかし、懲役に慣れると「おっ！焼きそばパンとアンパンで半分ずつにできるじゃん、やったね」と大喜びに変わります。
手紙は恐らく許可されるから大丈夫ですよ。
問題は、施設によっては親族以外は面会させないということです。
ホント、施設独自の判断なので困るのですが・・・
とにかく健康で出所できることを祈っています。
またコメントをお待ちしています。
いつもお読みくださり、感謝です。
by きりたんぽ (2016-03-19 14:16)
こんにちは！
先日、時効寸前で逮捕されたホステス殺人の福田和子のドラマが放送されていました。
改めて事件や逃走について調べてしまったのですが、あの人は10代の頃に別の犯罪で収監されたときに強姦にあっていた事を初めて知りました。
そんな事が起きていたのは、やはり昭和という時代のせいなのでしょうか。
あの人も最後は獄死でしたよね。
by イノウエ (2016-03-19 21:27)
イノウエさん、こんばんは(^^)/
コメントをくださり、ありがとうございます。
福田和子って人は、ドラマよりもドラマチックな壮絶人生ですよね。
おっしゃる通り、最後は獄死でした。
たしかに彼女は悪いことをしましたが、彼女の生い立ちから見ていくと、人間何のために生まれてくるのか、どうしてこうもハナから差がついてしまうのか、とやりきれない気持ちでいっぱいです。
とはいえ、他人に同情している余裕などないんですがね、自分自身が。
またコメントをお待ちしています。
いつもお読みくださり、感謝です。
by きりたんぽ (2016-03-19 22:09)
きりたんぽさん初めまして。
私は内夫が今拘置所におり、控訴中なのですがもうすぐ既決にする予定でこのブログを読ませてもらって刑務所のことを色々知り感謝しております。
質問なのですが、パンフレットやチラシの差し入れが喜ばれると書いていらっしゃいましたが、どのようなものが嬉しいのでしょうか？
教えていただけたら嬉しいです！^ ^
by とも (2016-03-20 11:39)
ともさん、はじめまして。
コメントをくださり、ありがとうございます。
大変な状況かとお察しします。
パンフレットやチラシの差し入れは、内夫さんの好みなので何とも言えませんが、一般的に多いモノをあげておきますね。
クルマやバイクのパンフ、旅行会社(ツアー)のパンフ、食べ物のチラシ、興味のある分野のＨＰなどネットプリント、このあたりが多かったです。
シャバにいると反応しなかったモノが、外に出られない状況だと思いの外うれしいモンなんですよね。
参考にしてください。
またコメントをお待ちしています。
今後ともお引き立てのほど、よろしくお願いいたします。
by きりたんぽ (2016-03-20 13:06)
2015年1月1日川越雑居で仲間が亡くなり、
自然死との事でした。
自分も別の場所に務めており死に目にも会えない悔しい思いをしました。
少しでも何かお知りでしたら教えて頂けると助かります！お願い致します！！
by 太郎 (2016-09-16 00:26)
お仲間を亡くしたとのこと、大変無念だったこととお察しします。
そちらの件とこの記事の件は時期がまず異なり、違う人物と思われます。
お力になれず申し訳ありません。
刑務所ではこのようなことがあっても、懲役たちにはまったくと言っていいほど知らされません。
by きりたんぽ (2016-09-16 00:35)