もし
「刑務所で具合が悪くなったら」という、
最悪のシチュエーションのお話です。
カンタンに病院には行けないのはもちろん、診察・治療までたどり着くのがメンドウ。
医療を受ける
チャンスは、週１回の「医務回診」だけだと、前回ご紹介しました。
（「
刑務所で具合が悪くなったら(1)・・・「医務回診」というシステム」）
医務の刑務官様に、症状を訴えて、クスリ・診察・治療のお願いをするワケですが・・・
受刑者の中には
「仮病・詐病」を装って、サボろう、ダマそう、とする者もいます。
だから、刑務官様がコチラの訴えを
マトモに聞いてくれないことが多いんです！
前回ご紹介した
「３つのパターン」で追い返されちゃうことも、しばしば。
①「とりあえず様子見ろ」
②「みんなガマンしてるんだ」
③「悪いけど、外で見てもらえ」
とは言うものの、
ホントに具合が悪い時は、どーすればいいのか？
今回から２回に分けて、ホントに「かなり」具合が悪くなった時の話をします。
今回は生死に関わらない
「急病の時」の話をさせてください。
1．カゼをひいても差別があります
いくら
「バカはカゼひかない」と言っても、受刑者も人の子。
カゼはひきますし、冬はインフルエンザが大流行したりするのもシャバと同じ。
熱が出て、動けなくなるほど具合が悪くなる時もあります。
「具合が悪くて、困った！」・・・
そんな時はまず、刑務官様に申し出します。
昼、工場で作業中なら、挙手をして
「担当台まで、離席お願いしますっ！」
こうして許可をもらって、刑務官様の所に行き、具合の悪いことを訴えます。
いくら具合悪そうでも、ハァハァ、ゼェゼエ言っていても、対応は一つ。
「オゥ、まずは熱を測れ！」
話を細かく訊いてくれるのは、この後。体温計を渡されて、熱を測るのが先決です。
ここで
一つのポイントが「体温38度」
体温が38度以下なら「大したことねぇな」と刑務官様は判断。
それでオシマイ。はい、診察や治療はありません。
「いくら熱がないからって、具合悪いのに何もしてくれないのかよ！」
いえ、効き目のないカゼ薬くらいはもらえます。
しかし、こんな場面で
「普段のヅケ取り」によって、対応に差が出るんです。
つまり、担当の刑務官様に気に入られていれば、待遇が明らかに違うということ。
ホント、刑務所では刑務官様が
「生殺与奪の権」を握っているワケでして・・・
こんな
「困った時」の対応に差が出るので、懲役たちは「ゴマすり」するんです。
嫌われているヤツですと
「あぁん？熱ないんだから、様子見ろ！」で
終了。
フツーの対応は
「医務に言って、クスリ出してやっから」と、カゼ薬はもらえます。
刑務官様のお人柄によって、１日分だったり、３日分だったり、変わりますがね。
しかし、
気に入られているヤツですと、ロコツに対応が違うので笑えます。
「おぉっ、医務に連絡して、ちょっと診てもらうように言ってやっから」
電話連絡し、医務の刑務官様へ
「臨時の回診」を頼んでくれるのです。
回診と言っても、医務の刑務官様。医者ではないので、話を聞いて終わり。
検査も治療もないですが、担当からの呼び出しだけに、
心配して話を聴いてくれます。
クスリも効かないカゼ薬ではなく、
何種類も何日間も出ちゃったりするのです。
どうですか、この差は！
「カゼぐらいなら、別に心配してもらわなくても、けっこう！」とも思いますが、
もし
コレが、生死に関わる重病や急病だったらと思うと・・・ゴマすりは必要か？
元受刑者の私でも作ることができた、太っ腹！な楽天カードはこちらからどうぞ↓↓
(続きを読む)
↑↑懲役生活は何といっても本がありがたい！楽天ブックスはこちらからどうぞ↑↑
2．熱が出てホントに具合が悪いと…
さて今度は、
体温が38度以上あった場合のお話です。
「あぁん？何だ、熱あるんじゃねぇか！」
人によっては38度もあればヘロヘロですが、
ようやく刑務官様が相手にしてくれます。
体温が38度あると、刑務所公式の「カゼ認定」となります。
こうなるとほとんどの場合、医務の刑務官様が
「臨時の回診」にやって来ます。
様子を尋ねられ、症状を見て
「本当に具合が悪そう」ならば、作業免除です。
回復のため、また感染が広がるのを防ぐため、
休養させます。
「やった！刑務所公認でサボれる！」
いや、甘いです。ココは刑務所。
一人先に舎房に帰って、フトン敷いて寝てていい、というワケではありません。
「病舎行き」が決定です。
「病舎」とは具合の悪い者だけ集められた
「隔離部屋」です。
別に病院のような施設があるワケでも、ベッドがあるワケでも、ありません。
フツーの舎房と同じ、畳敷きの所にフトンを敷くだけです。
そこに
手ぶらで連れて行かれ、ひたすら寝ていなければならないのです。
「具合悪いんだから、ずっと寝てていいのはラッキーじゃないか！」
と、思うでしょ？
それが違うんですよ。
もちろん、ひたすら寝ていていいのでラクなのですが、
それ以外は何もできない。
「作業時間」にあたる
日中は、ひたすら横になって寝ていなければなりません。
ちょっと具合が良くなっても、
起きてはダメ。何かするのもダメ。
食事の時間以外は、
ひたすら黙って寝ていなければ「懲罰」になります(笑)。
「病舎」にはテレビがありません。
夜間の余暇時間の楽しみがナシ！
さらには、自分の荷物も最低限しか持ち込めないため、
本や雑誌もナシ！
病舎にいる限りは、
娯楽がゼロ！死ぬほど退屈な生活を強いられます。
熱が下がって、
回復のお墨付きをもらえるまでは、出席停止扱い、病舎で軟禁。
いくら本人が「もう大丈夫っす！」と言っても、
許可が出なければ、隔離生活。
許可が出るまで
「何もせず、何もできず、ひたすら寝ているだけ」の生活なんです。
具合が悪いのはツラいが、１日２日で治るかもしれない。
でも一度病舎に行ってしまったら、最低３～４日は帰って来られない・・・
もしすぐ回復してしまい、病舎の「死ぬほどヒマな生活」をさせられたら・・・
具合の悪くなった懲役は、そんなコトまで天秤にかけて考えます。
「ずっと寝ていられるが退屈な隔離生活」VS
「ガマンして普段通りの労働」
頭の中はバトルとなり、「コレくらいならガマンするか？」なんて悩むのです。
刑
「オイっ！熱も高いし、病舎で休養しろ。なっ！」
懲
「いえ、何とかガンバってみます。作業もできれば休みたくないんですよ」
刑
「まぁ、インフルエンザとか強烈に人にうつすもんじゃないようだがな」
懲
「今日はすぐに寝て、一晩様子を見てみます」
刑
「ムリすんじゃねぇぞ。明日具合悪かったら、担当さんに言えよ」
懲
「ハイっ！ありがとうございます（ひいぃっ！病舎行き、何とかまぬがれた！）」
「熱が出て⇒病舎で休養⇒サボれてうれしい」なんて、最初は考えていましたが
やはり刑務所。
そんなに甘くなかった。
うかつに病舎に行くと、何もさせてもらえない「退屈地獄」のワナがあるんです。
やはり、健康でマジメに懲役作業をしているのが、一番なんです。
次回も「医務編」続き。急病・重病の時について、ご紹介します。
獄中日記 ブログランキングへ
にほんブログ村
↑↑ランキング参加中です。クリックしていただけると、感謝感激、生きる希望が湧いてきます。
↓↓出所後もカードは必需品。だったら使いやすい楽天カードはこちらからどうぞ↓↓
↑↑差し入れには本が一番。お得で節約できて、出所後に助かる楽天ブックスはこちらから↑↑
2016-03-02 17:00
nice!(77)
コメント(12)
トラックバック(1)
共通テーマ：日記・雑感
こんにちわ。
拝読しているうちに、自分が入病したときのことをいろいろと思い出しました。
病棟内は窓を開けないので、空気が淀んでいて重いと感じました。
連れていかれたのは雑居。そこには他工場の人達が何人もいて、みんなで情報交換。
他工場の人と長時間話せる機会はめったに無く、当時黒羽に収監されていた「田代○さし」の話も聞けたりしておもしろかったですね。
午後に診察をして、自分は独居だったのでその日のうちに自室へ戻りました。
by 1852番 (2016-03-03 13:08)
正にその通りですね～刑務官アホですね～
by turugi (2016-03-03 13:21)
1852番さん、こんにちは
コメントをくださり、ありがとうございます。m(__)m
今回もリアルな体験談を教えていただき、うれしいです。
「空気がよどんでいる」というコトバは、他の懲役仲間も言ってました。「余計に具合が悪くなりそうだ」とも…
おっしゃる通り、たまに他工場の人と情報交換するのは楽しかったですねぇ。
「実はアイツ、◯◯なんですよ」みたいな話も出てきたり(笑)。
病棟に長期間入ることもなく、健康で出所できたことは、運が良かった、ホッとしました。
またコメントをお待ちしております。
いつもお読みくださり、感謝です。
by きりたんぽ (2016-03-03 13:28)
turugiさん、コメントをくださりありがとうございます。
今後ともお引き立てのほど、よろしくお願いいたします。
by きりたんぽ (2016-03-03 13:30)
今日はひな祭り…ひな祭りといえば、チラシ寿司。
そしてチラシ寿司といえば、桜でんぶ。
…イチゴミルクのこと思い出して、笑ってしまいましたよ（笑）
by 龍神 (2016-03-03 23:02)
龍神さん、こんばんは(^^)/
コメントをくださり、ありがとうございます。m(__)m
いちごミルク、思い出していただけましたか！
懲役の「基本まぜメシ」のいちごミルクですが、私は好きになれませんでした(笑)。
たしかに桜でんぶは甘いんですが、しょせん原料は魚。
牛乳に混ぜると、色はそれっぽいピンク色になるのですが、味は生臭くて、ウマくないです。
もし、勇気があればご自宅でお試しください。
きっと「マズい！」とおっしゃるハズです。
ゼッタイに１人でやってくださいね。
誰かに見られていると「正気か？」と人格を疑われかねないので、十分に気をつけてください(笑)。
またコメントをお待ちしております。
いつもお読みくださり、感謝です。
by きりたんぽ (2016-03-04 00:07)
きりたんぽさん、おはようございます！
記事とは全然関係ないのですが、旦那さんの刑が確定して４ヶ月。
先日やっと拘置所から移送されました。
某社会復帰促進センターでした。
まだまだ出所まで先を見れば長いですけど、移送先が決まりなんだかホッとしています。
面会に行った時の様子など、またコメントさせてくださいね(^^)
まわりには話せる人いないので（笑）
by ひろ (2016-03-04 09:11)
ご訪問NICE!ありがとうございました。
by 馬爺 (2016-03-04 10:20)
ども～訪問とniceどもです！こちらこそよろしくです！
by turugi (2016-03-04 11:42)
ひろさん、こんにちは(^o^)
コメントをくださり、ありがとうございます。m(__)m
そうですか、移送されましたか！
4ヶ月なら「待たされたなぁ」と思うでしょうが、そんなモンですね。半年以上待たされるパターンもありますから。
それにしても官民運営の「社会復帰促進センター」いわゆる民間刑務所(実際は民間ではないけれど)になったんですね！ラッキーじゃないですか！
ダンナさんはツイていますねぇ。
よけいな苦労、煩わしいことを味合わずに済みますよ。
とりあえず、不幸中の幸いでしたね。
こちらこそ「社会復帰促進センター」の様子を教えてください。どこも交通の便が悪い場所ですから、面会も大変だと思いますが、お気をつけてお出かけくださいね。
またコメントをお待ちしております。
いつもお読みくださり、感謝です。
by きりたんぽ (2016-03-04 12:09)
今日は。
ご来訪ナイスありがとうございます。
読ませていただきました。なかなのご文章★★★
よろしく。
by 夏炉冬扇 (2016-03-04 17:35)
こんばんは。
ご訪問&nice!をくださり、ありがとうございます。
by ナベちはる (2016-03-05 00:53)