つい先日まで、
「刑務所の食事」について15回ほどお話ししました。
どのようなメニューなのか、どうしてムショめしはマズいのか・・・という
くだらないことを、真剣に分析し、ご紹介してますのでどうかご覧くださいませ。
今回から、しばらくの間
「刑務所の食事マナー」について、お話しします。
と言いますと、
刑務所側の決まりが厳しいように聞こえますが、その特徴は
①懲役どうしのマナーの方がキビシイ
②そのマナーは細かすぎて理解不能
③シャバの常識が通用しない
と、まぁ、
お話しする前からトラブル必至のニオイがプンプンしていますね。
今でこそ「くだらねぇ」と笑って、お話もできますが、当時は覚えるのに必死でした。
そしてこの
「刑務所の食事マナー」が出所後も抜けずに、苦労しています。
シャバの人がテキトーに食べていると、注意したくなってイライラします(笑)。
まずは、懲役どうしの細かすぎる食事マナーのお話をする前に、
事前知識として
刑務所側から守れ!と言われる「食事マナー」や食事時の常識をご紹介します。
これを知れば、ますますムショめしがマズく感じるようになりますよ。
1.配食の声でおとなしく待ってろ!
刑務所での食事は、朝食と夕食が舎房(部屋)で食べます。
炊場という名の厨房から、懲役たち自ら作った食事が運ばれてきます。
それを代表の「配食係」という者が、オカズを皿に均等に分けていきます。
それ以外の大多数の懲役たちは、
舎房の中で待っているだけです。
食事がそれぞれの舎房の「食器口」という小窓に運ばれるので、
受け取ればいいだけ。
まさに
「据え膳、上げ膳」の世界なんです。
この作業が始まると、
立会いの刑務官様が廊下中ひびき渡る声で、突然叫びます。
「配食準備ぃ~~」
メシを配ることを「配食(はいしょく)」か「配当」と、刑務所では呼びます。
「おっ!そろそろメシか」と浮かれている場合ではありません。
この掛け声がかかると、お茶をもらうヤカンを準備したりしなければなりません。
うっとうしいのが、この掛け声がかかると、一切何もできなくなるんです。
配食準備の
掛け声がかかってから、メシが配られるまで15~20分は掛かります。
しかし
その間は、本を読むことなど私的なことは一切できないんです。
ただ座って、エサをもらうヒナ鳥のように待ってろ、ということなんです。
「んな、バカバカしい。ただ座って待ってられるか!」と思うのですが
懲役たちがその間勝手なことをやって、
ナメていることを刑務官様も知っています。
刑務官様は足音を立てないように、そーっと巡回してくるんです。
油断して、マンガとか読んでいると、ホラ来た!とばかりに
「おめぇ!配食準備なのに、本読んでいるんじゃねぇ!」と怒鳴られます。
これ一発で懲罰はないですが、誓約書を書かされることはあります。
懲役たちもそれがわかっているので、聞き耳を立てて、本をコッソリ読みます。
じゃあ、やめればいいのに、やめようとはしないんですよ。なぜって?
刑務所に入るくらいですから、バレるかな?という、スリルがたまらないんです。
ちなみに、
懲罰でなくても、こういう注意を受けるとモロに不利益なんです。
減点制度というのがあって、注意されるたびに1点ずつ減っていき、
翌月のテレビが、どんどん見られなくなってしまうんです。
娯楽のない刑務所では、夜のテレビ視聴がかなりの楽しみです。
ところが、週4回、3回、ゼロと減らされてしまうので、
死活問題。
アメとムチの世界ですが、
アメが極端に少なく、ムチばっかりが刑務所なんです。
注意⇒減点⇒TV見せない
という「
おしおき」で刑務所は懲役たちを管理しようとするのです。
刑務官様に見つからないように、ギリギリまで本を読む。
まさにチキンレースです。
後半は
「刑務所では正座は厳禁」のナゾをお話しします。
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2.正座をしてメシ食うんじゃねぇ
日本人の
「お行儀の良い」姿勢というのは
正座でしょうか。
刑務所の舎房ではイスのない、タタミに直接座る生活ですが、
基本は安座です。
安座とは
「あぐら」のことですが、一日中やっていると、ケツが痛くなります。
そこで気分を変えて、
たまには正座するか、なんて気軽にやるとマズいことに・・・
他に誰もいない独居房なら問題ないのですが、
雑居房だと本気で怒られます。
「おい!正座はやめてくれよ!」
どこの部屋だろうと、正座をした瞬間に、雑居房の先輩たちに、即、怒られます。
みなさん、
どうしてお行儀の良い正座が雑居房ではダメなのか、わかりますか?
間違いなく、巡回の刑務官様に怒られるんです。
「この部屋では、下の者に正座を強要しているのか?あぁん?」
と、
刑務官様にあらぬ疑いをかけられ、ネチネチと説教をされるのです。
本人が勝手に正座しただけなのに、雑居房全員が怒られるワケです。
しつこい刑務官だと、悪意のある誘導尋問をして、イラ立つワナを仕掛けます。
刑
「どうせ部屋長が、新入りに正座を強要しているんだろ?あぁん?」
懲
「そんなことありません」
刑
「じゃあ、なんでコイツだけ正座しているんだ?おかしいだろ?あぁん?」
懲
「本人が勝手にやっていただけです」
刑
「そんなヘタなウソをつくんじゃねぇよ、あぁん?」
懲
「そんなワケないじゃないですか!」
刑
「なんだ、おめぇ!オレに意見するって気か?あぁん?」
懲
「いや、おかしいっすよ!ホントに本人が・・・」
刑
「おめぇ、なんだ?逆らうのか?担当抗弁で連行だな、あぁん?」
これって、全然話を盛っていませんから。
そのまんまの話です。
元受刑者が聞いたら
「あるある」とゼッタイに言うハズです。
こうやって、
ひたすら謝らない限り、調査(取り調べのこと)
にしてやるという、
最初から結論ありきの、まさに「濡れ衣」で引っ張られてしまうこともあります。
最悪、懲罰の可能性もあります。
ここで、とっても腰を低くして、うまく説明ができれば良いのですが・・・
とりあえず、ひたすら「すみませんでした」と言えばよかったんですがね。
と、まぁ、たかが正座をしただけで、雑居ではこれだけの大騒ぎになるワケです。
ホント、くだらねぇけれども、刑務官様に怒られるので、仕方なく守っています。
雑居房で正座は厳禁です。
あぶない、あぶない。
シャバでは「正座はお行儀が良い」もので、褒められても、怒られることはない。
ところが、刑務所では、雑居房の全員が懲罰になる恐れの「破壊力のある迷惑行為」
「刑務所の常識は世間の非常識」です
次回も、
刑務所側が規則とする「刑務所の食事マナー」をお話しします。
残念ながら、たくさんあり過ぎて、一回では終わりませんでした。m(__)m
刑務所側の決まりがあって、さらに懲役どうしの食事マナーもあるんです。
落ち着いて食事なんかできないよ!
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2015-08-18 17:00
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共通テーマ:日記・雑感
そういえば配食の号令がかかってからご飯を食べるまで平均してどのくらいかかるのでしょうか?
by クライヴ (2016-04-22 08:00)
おっと書いてありましたね。ごめんなさい
by クライヴ (2016-04-22 08:00)