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刑務所は雑居と独居、どちらがいいのか⑥・・・お菓子のために雑居へ行く! [刑務所生活]

刑務所では雑居房と独居房、どちらがラクで、どちらがおトクか?

実情と経験を踏まえて、確かめながらご紹介しています。


前回は、初犯の成人刑務所に限って言えば

雑居の方が「格上」で

独居は、面倒を起こしそうなヤツを

「隔離」しておく「格下」の舎房だと見られていました。


雑居のメリットは、出来の悪いヤツ、寂しがり屋にとっては絶大であることを

刑務所は雑居と独居、どちらがいいのか③・・・雑居のホントのメリット

でご紹介しましたが、そこでは「自分を守るため」のメリットが主でした。


実は、刑務所の中に限ってはデキるヤツ、工場で上に立とうと野心持つヤツも

積極的に雑居を希望し、雑居で生活しているのです。

雑居で生活すると、自分に有利なことがいろいろと与えられるらしい・・・


今回はそんな「攻撃的な」雑居のメリットをご紹介します。

こちらを読めば、世間一般の方々はこうやって怒るんじゃないでしょうか(笑)?

「刑務所はすべて、独居房にしろ!」


5.雑居はおトクが満載なんです?
どーして、わずらわしいことが多い雑居房にわざわざ自分から志願するのか?

刑務官様に気に入られるための「アピール」か?

それもありますが、懲役たちはシビアで、必ず利益になることしかしません。


雑居房で生活していると、「優遇区分」の累進が早いのです。

それは雑居房で生活している懲役と比較すると、明らかに有利。


「優遇区分」ってなんだよ?・・・と思われますので説明すると、

受刑者たちをランキング的に1類、2類、3類、4類、5類の5つに分けたもので、

懲役たちにヤル気を起こさせ、また、官に逆らわないように考えたシステムなんです。


懲罰とは全く反対で、こちらは「アメ」の処置ですね。

新入は5類からスタートし、半年無事に過ごせば、誰でも3類には上がれます。

4類とは、懲罰を受けた時に下げられるポジションなので、5類の次は3類です。


懲役たちの大半が3類なのですが、みんな2類や1類になりたくて仕方ないのです。

なぜなりたがるか、と言いますと・・・2類に上がった場合を例に出すと、


①月1回の集会が月2回に増える
そこで、300円~500円のお菓子を食べられるから、みな血眼になるのである。

集会と言っても、1時間前後TVや映画を見ながら、お菓子の代金は自腹である。

「くだらねぇ」と思うかもしれないが、何もない刑務所では、ホントありがたい。


②外部とのやり取りが増える
面会が月3回までだったのが5回までOK、手紙が月5通までが7通までOKになる。

奥さんや彼女、家族が頻繁に面会に来てくれる人は、これは大きいんです。


③所持できるものが広がる
洗顔石けんやヒゲ剃りローション、ナイロンタオルなんかが買えるようになる。

たかがこんなもんか、と思うかもしれません。

でも、あるとベンリで、優越感に浸れるし、ウレシイんですよ。


たかがこんなもんでも、懲役たちにはアルとナイとでは天と地ほどの差があります。

とくに、「集会でお菓子がもう一度、月2回食べられる」というのがデカい


「食べ物の恨みは恐ろしい」と言いますが、飢えている懲役たちはまさにコレ。

懲役たちはこの集会のお菓子を食べたいがために血眼になるんです

いい歳したオッサンたちが、お菓子のためにしのぎを削って累進を目指します


その「優遇区分の累進」と雑居に志望することが何の関係があるのか?

雑居に行けばお菓子が食べられるの?

ホントくだらねぇ・・・


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上がるタイミング(累進)は、半年に一回、年2回しかない。

というワケで、この半年に一回のチャンスを逃すと、また半年ガマンの日々なワケです。

だからさっさと上がりたいし、最短コースで上がりたい・・・


そのために、懲役たちは、刑務官様の前ではマジメのフリをして印象を良くし、

毎日、担当の刑務官様にゴマをすり続けたりするんです。

通信教育を受けたり、教誨や宗教行事に参加して、印象を良くしようとする者もいます。


バカバカしいけれど、まさに涙ぐましい努力をするんです。

しかし、努力する手段は色々あるけれど、もっと確実に印象を良くする方法が

「雑居で生活」することなんです。


なぜかハッキリとはしませんが、雑居だと、確実に2類や1類に上がりやすいんです。

「共同生活を送れている」、「独居よりツラいことが多い」

と、刑務官様が勝手に判断し、評価が良くなり、上がりやすくなるんでしょう。


優遇区分の累進に関しては、その工場の担当刑務官様のさじ加減一つなんですが、

雑居にいた方が、独居と比べ、「半年から1年は2類に上がるのが早い」です。


半年から1年も早く、2類に上がることができる!

そうすれば、月に2回お菓子が食べられる!

2類に上がるには「雑居に行くのが手っ取り早い!」と志願するんです。


「えっ?お菓子のために雑居にわざわざ行くの?」

そうなんです。オチは「お菓子を早く食べたいから、雑居に行く」なんです。

雑居に行けば、「えこひいき」されるので2類に上がりやすい・・・


ホント、刑務所ってくだらないところでしょ?


また、がめついヤツは、「出世を狙って」雑居に志願することもあります。

「工場で上のポジションになれば、ラクな作業だし、エラそうにできるし」と考え、

「そのためには刑務官様に気に入られなきゃ!じゃあ、雑居に行こう!」

と、なるワケです。くだらないでしょ~


都市伝説を信じて、雑居に志願する懲役たちもいます。

「雑居にいると、刑務官様の評価が上がり、仮釈放の審査が早くなる」

つまり、「雑居にいれば仮釈放がたくさんもらえる」という都市伝説です。


確かに、もっともらしい話で、

雑居にいれば、刑務官様の評価は上がる⇒これは、ほぼ間違いない

雑居にいれば、仮釈放が多くもらえる⇒これは、全く別次元の話


刑務官様の日常の評価は、仮釈放の審査の際、考慮はされるが、チラ見程度。

懲罰など悪い内容は減点となり、確実に仮釈放の審査に影響を及ぼすが・・・

懲役たちの日常の生活の評価など、仮釈放の評価には直結しないんです。


日常の生活が独居だろうが雑居だろうが、そんなもん微々たる差で

「雑居にいれば、仮釈放が多くもらえる」と信じるなど、まさにおめでたいヤツ

実際に、仮釈放の面接・審査を経験するとハッキリとわかってしまう。

「雑居と仮釈放」都市伝説は「ウソ」


でも、こんなもっともらしい理由で、懲役たちは雑居に志願するんです。

どれも雑居にいる方が、自分たちにおトクなことばかりですからね・・・


ホント刑務所ってくだらないでしょ?



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