仮釈放には何がキクのか①・・・寄付金で出所が早くなる？

ここのところ、前座の刑務所「調査センター」についてお話をしてきました。

前回は、そこでうっかりした発言や行動をすると、あっさり連行され

調査→懲罰→仮釈放に響く→出所が遅れる、というお話をしました。


「仮釈放に響くのは何なんだ！」

というのは懲役たちの最大の関心事でして、

ハッキリしていることもあれば、かなりマユツバ物もあります。


最近、ネパールで大きな地震がありましたね。

東日本大震災から4年。日本でもまたいつ、大地震、災害が起こるかわかりません。

さて、地震と刑務所。地震と仮釈放。


この関係ないように思える2つが、2011年当時、刑務所では都市伝説が流れ

懲役たちにとっては激アツキーワードとなり、

騒然、大混乱となりました。


つい最近地震がありましたので、かなり不謹慎な話ではありますが、

懲役らしい話ですし、仮釈放に関わる条件の話はお役に立てるかな？と思いまして

話は逸れて、地震と仮釈放、そして寄付のお話しをします。


1．大震災発生！その時刑務所は？
あれはデカい地震だったそうですね。

まるで他人事のようですが、刑務所ではそんなもんだったんです。

その日は「矯正指導日」という舎房で学習の日でした。


グーラ、グーラといつもより長い揺れで、

壁にかけてあるホウキまでが揺れているので、大きな地震だなと思いました。

刑務所では誰も、地震で恐怖に感じることはありませんでした。


ところが、夕方のTVを見てビックリです。

刑務所では、滅多に流れない臨時の放送が流れ

「大地震のため各地被害が出ている。そのため特別に書信発信を許可する」

なんて具合に、家族に安否の確認の手紙を出すことがOKになりました。


しっかし、刑務所はどうでしょう。

まったく被害なし。

懲役たちの多くが心底ガッカリしたのは事実です。


「えぇ～！作業は休みじゃないの？」

「メシも普段通りなの？」


懲役となると、自分のことしか考えなくなります(笑)。

ひょっとしたら、地震の被害で工場がダメになり、作業休めねぇかな～ とか

地震で炊場（懲役たちのメシを作る場）がダメになり、外部から弁当入らないか とか


まるで他人事、自分勝手な、

不謹慎な話題で盛り上がっていました。


それにしてもスゴイのは刑務所の建物の頑丈さ。

高くても4階建て、シンプルな横長な建物、これでもか、ってくらい柱も多いので

崩れるわけがない。


不謹慎な懲役たちは、

「刑務所が崩壊するのを期待するには、これはもう、アレしかないよね」

「そう、お隣の国の将軍様にミサイルを打ち込んでもらうしかないよね」

と、ありえないバカ話をしていました。ホント、すみません。


が、しかし、地震によって、懲役たちには他人事ではないウワサ？が流れました。

もう、全員ざわめき、落ち着きを失いました。それって？


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2．寄付をすると出所が早くなる？
地震により被害に遭われた方には、心よりお見舞い申し上げます。

先に申しあげておかないと、激怒必至の不謹慎エピソードです。


地震が発生して１週間ほど・・・

懲役たちを色めき立たせ、飛びつかせたもの


「地震災害に対する寄付金を送ると、仮釈放に良い影響がある」

つまり、寄付をすれば出所が早くなる、という

ホントかよ！的な、懲役の都市伝説が流れたのです。


「んなもん、あるワケねーだろ！」

と、当初はハナからばかにして、全く信じませんでした。

ところが！ どうでしょう？ な、なんと、


一週間もしないで、刑務所側から正式に寄付の募集がかかったのです。

日本赤十字社、岩手県、宮城県、福島県とマトモな寄付のルートでした。

刑務所が正式に、懲役たちがそこへ寄付することを許可したのです。


そんなのは今まで見たことも、聞いたこともなく、驚きました。

「１万円以上寄付すると、仮釈放に影響するらしいよ」

「いや、金額じゃない。２か所以上に寄付すると、仮釈放が多くもらえる」

「違うって！寄付をしないと、出所が遅れるんだって」

しばらくの間、休憩時間はこんな話ばかりでした。


どの話がホントだかわからない。

懲役たちは軽くパニックになりましたが、一つ確実に言えたことは

ほとんどの懲役たちが、寄付をすると決めていたことでした。


最初はバカにしていた私も、寄付をすれば仮釈放が多くもらえると思えてきました。


１ヶ月懲役をやったところで、報奨金という名の給料はせいぜい数千円ですが、

「ここは仮釈放が多くもらえるよう、奮発して５千円寄付しよう！」

なんて、不謹慎、打算まみれな考えで固めていました。


すると、どうでしょう。

刑務所はそれを見越したか、正式な文書で、こう釘を刺してきました。


「寄付をするのは任意であり、寄付の有無は今後の処遇に一切関係ない」


つまりは、寄付をしてもしなくても、仮釈放には影響ないからね、とのお達し。


それでも、懲役たちは寄付によって出所が早くなる、と信じて疑いません。

それどころか、アホな懲役たちは、ますます勘ぐります。


―――えっ？わざわざ「出所が遅れるとかにならない」とか言うのオカシクね？

―――これは刑務所のワナなんだ。これで寄付しないと仮釈放が減るんだよ。

刑務所がいちいち文書で、寄付は何ら影響ないと言ってきたウラを探ろうとします。


担当の刑務官様にも、しつこく尋ねますが、

「オレはちっともわからん。寄付したいヤツだけが寄付すればいい」

と言葉少なで、ますますアヤシイ、となります(笑)。


そうなると、今度は別の見方をして、絶対に寄付をしようと決意を新たにします。

「だってわざわざ刑務所が寄付を募るんだから、これは寄付をしない方がマズい」

「もし、寄付をしなかったら、マイナス採点、出所が遅れてしまう」


もう究極の勘ぐり、ネガティブな発想です。

今から考えるとアホとしか思えませんが、刑務所にいる間は真剣に考えていました。

最初は、寄付しようかな？でしたが、絶対に寄付するんだ、に変わりました。


被災地の方、すみません。本当に深く反省しております。


しかし、上には上がいまして、発想が、ちと違う。

次回、ケタの違う寄付のお話しをさせていただきます。



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タグ：仮釈放 寄付 出所