はじめての懲役⑨・・・立つのも座るのもダメ？／拘置所でのお作法

前回から、懲役なりたて、拘置所での「お作法」のお話しをしています。

拘置所での、こまかーくて、どーでもいい「お作法」にはウンザリしました。


が、しかし、刑務所に行ってみたら、こんなもんじゃなかった！

甘かったです・・・

もっと、意味の分からない、理不尽な「お作法」がたくさんあり、苦しみました。


地雷を何度も踏み（お作法を怠ったため）、何度も「いやがらせ」に遭いました。


それがエスカレートし、調査（刑務官に連行され、取り調べのこと）にもなり、

危うく、懲罰にもなるところでした。ひええぇ。

他人のいやがらせで、仮釈放が遅くなったら、シャレになりませんから！


それでは、前回に引き続き、拘置所での「お作法」の話を聞いてください。


②脚を伸ばすな！
作業中も余暇時間中も、雑居房内で座って過ごしています。


以前お話ししましたが、

「正座は厳禁」

「基本は安座（あぐら）」

「座布団の上に、固定の位置で」

が、大原則でした。


安座（あぐら）だって、一日中していれば、疲れるし、脚もしびれます。

「あぁ、疲れた・・・」と脚を投げ出し、伸ばすことは誰だってありますよね？


「◯△さん、オヤジ（刑務官のこと）に怒られるから、脚やめて」

と、先輩から即、注意を受けてしまいます。


これもよく考えたら、おかしな話ですが、新入りがだらしないと、

「おめぇら、何やってんだ！新入りにちゃんと教えてやれ」

と、先輩方が刑務官様から怒られてしまうので、先輩方は注意するのです。


懲役が懲役に「決まり事」を教える、というのはおかしな話です。

「めんどくさいから」と、刑務官様の職務放棄か？と勘ぐりたくなります。

教えることから、トラブルになるのを何度も見て、経験もしました。


さて、脚は実際、刑務官様に見つかると、ネチネチ怒られます。

「おい！おめぇは、何で脚を伸ばしているんだ！」

刑務官様が、怒鳴っております。

まったく、どこで見ていたのか、すかさず窓越しからです。

「はいっ。すみませんでした」

「おめぇ、脚を投げ出していいと思っているのか？あぁん？」

「はいっ。すみませんでした」

「誰が、脚を投げ出していいって言ったんだよ？あぁん？」

「はいっ。すみませんでした」


前回、フトンに寄りかかる件で紹介したやり取りと、同じセリフで怒られます（笑）。

ましてや、寝っ転がるなんて、ありえません。考えただけで恐ろしい。


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③立ち上がるな！
一日中、同じ狭い雑居房の中で生活していますから、立ち上がることもあります。

しかし、これも注意が必要なんです。

余暇時間の時、鉄格子の窓越しから、わずかな景色を眺めている時・・・

一日中座っていることに疲れ、伸びをしようと、しばらく立ち尽くしている時・・・

便所から出て、蛇口で手を洗いながら、他の人と世間話をしている時・・・


これ、外の世界であれば、全部、他愛もない日常の風景？です。

が、しかし、ここ拘置所の「お作法」では完全アウト。


「おい！おめぇ、何立ち上がっているんだ」

またまた、どこで見ていたのか、刑務官様が現れて、窓越しに怒鳴ります。

えぇっ？立っていてはいけないのかよ！ ・・・そう、ダメなんです。

立つのは、便所に行くなど、用件がある時だけ、許されています。


「用もねえのに、ウロウロ、フラフラ、立っているんじゃねぇよ、あぁん？」

「はいっ。すみませんでした」

「なんか立たなきゃいけない用件があったのか？あぁん？」

「いえ。すみませんでした」

「くだらねぇことで、言われるんじゃねぇ、あぁん？」

「はいっ。すみませんでした」


ここでも、絶対に言い返してはいけません。

ワナです（笑）。

「地蔵の心」です。あやまり侍です。

ひたすら嵐が過ぎ去るのを待ちます。



④座っている時も気を抜くな！
怒られたことに納得がいかず、かつ落ち込んで、定位置に座る・・・

その時、凹んでいるからと、気を抜いてはいけません。


憂うつだからと、小机の上にほおづえを突いたりしたら、大変です！

絶望したからと、小机の上に顔を突っ伏したりしたら、大変です！

外の世界であれば、何気ないしぐさでも、ここではダメです。


また、例のパターンで、刑務官様に怒鳴られます(笑)。

「おい！おめぇ、何を不体裁な格好をしているんだ、あぁん？」

定位置、小机の前に座っているから、と気を抜いてはいけません。


感情を忘れ、自我を押さえ、プライドを捨てる・・・

これがまず、刑務所に適応するための「トレーニング」ですね。

私もこれに慣れるのは、苦痛で、相当なストレスでした。

これに慣れれば、刑務所に送られても、トラブル少なく、乗り切れます。


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タグ：遵守事項 懲罰 拘置所 既決 懲役 お作法

コメント 4

実は立って居て叱られるのは保安上の理由だけではありません。

一日の立ってる時間によってA作業、B作業、C作業、つまりそれぞれA食B食C食と、ギリギリのカロリーしか給与していないのはご承知の通りですね。

したがってムダに立たれると食事の給与量がカツカツ過ぎて、カロリー不足になってしまう恐れがあるのです。

懲役の健康管理は官側の重～い『義務』であります。

つまりはオヤジ達の強～い義務感(責任逃れ)の現れでもあった訳です(笑)

いかに刑務所での食事の量が少ないか良く解るエピソードですね～(笑)
by 跳馬蔦廊 (2016-02-25 18:31) 

跳馬蔦廊さん、こんばんは(^^)/

コメントをくださり、ありがとうございます。
毎回鋭くて、オモシロいコメントをくださり、うれしいです。

立っていて怒られるのは、保安上の理由ばかりに目が行きますが、そうですね、カロリー問題がありましたね！
信じられないことに、出所者が「ムショめしが貧相でカロリー不足、栄養不足だった」と告訴して、損害賠償を取っていた判例があって驚きました。
お役所、とくに刑務所なんかは、そういう「前例」ができてしまうと、異常に神経質になりますからね(笑)。

私はカロリー不足よりも、炭水化物偏重、タンパク質不足に不満でしたね。
ホント、ムショめしって満足感がなく、すぐに腹が減ります。

またコメントをお待ちしております。
いつもお読みくださり、感謝です。
by きりたんぽ (2016-02-25 18:49) 

いつも律儀にリコメありがとうございます！

メシは確かにシャバでいう『タンパク質』が少ない気がしますね。

でも、厳密にいうとシャバよりも少ないのはどうも
『動物性タンパク質』
ですね(^^;

特に肉とか肉とか肉です(笑)

良く出たのは砂漠で干からびたミイラの如く魚でしょうか(笑)

動物性タンパク質の代わりに植物性タンパク質ですね、刑務所で出るのは。

畑の肉と言われる大豆食品の豆腐、油揚げ、納豆、味噌、その他ゴマなどなど。

関西はありましたが、直球で大豆をふやかして調理したメニューとかは無かったですか？

まぁ言えることは、畑の肉はいらんから、牧場の肉をよこせ！ですねー(笑)
by 跳馬蔦廊 (2016-02-25 22:54) 

跳馬蔦廊さん、こちらこそコメントをくださりありがとうございます。m(__)m

おっしゃる通り、ホントに肉には飢えていましたね。
魚はまさにミイラのごとくパサパサで、子どもに食わせたら間違いなく一生魚嫌いになるような魚でしたね。
「コレをどうやってオカズに、麦メシを食えって言うんだ？」と悩んでしまうような焼き魚が目白押しでした。
まさに猫も食わない「猫マタギ」とはこの魚のことか？でしたよ。

肉はコストがかかるから、代わりのタンパク源として豆腐、まんま大豆はしつこいくらい出ました。
私のいた所は、大豆とひじきの煮物が定番でした。
やたらと大豆が多くて、ひじきが少ないという、シャバとは逆の割合でした。コレがマズくて・・・

記事にも書きましたが、刑務所で出る牛肉は、カタくてクサくて、ホントにマズかった。
シャバとは逆で、豚肉が一番マトモ、次に鶏肉、最悪が牛肉でした。おそらく年老いた乳牛の肉なんでしょう。
牛さんもこんな文句を垂れる懲役たちに食べられて、お互いに不幸だなと思いながら流し込んでいました。

ムショめしに関しては延々と話せそうです(笑)。
またコメントをお待ちしております。
いつもお読みくださり、感謝です。
by きりたんぽ (2016-02-25 23:17)