前回は、刑務所での
「本・雑誌のお買い物」について、お話ししました。
今回は、刑務所ならではの
「本にまつわるエピソード」をご紹介します。
本の差し入れについては、以前の記事
「
刑務所の差し入れ「本・雑誌」について(2)・・・裏ワザ・裏ネタのご紹介」
にて、そのノウハウを詳しくお話ししました。ぜひご覧ください。
1．本の検閲の基準がわかりません
刑務所で困るのが、本が読みたくても
「制限」があること。
エロ本や犯罪がらみの本は、
「検閲」という制限で、入らないモノもあります。
そして１ヶ月のうちに手に入れることのできる冊数、
「枠」の制限もあります。
まぁ、この
「枠」の制限が、刑務所によってだいぶ違うんですが・・・
差し入れなら、
差し入れ人１人につき１ヶ月3～10冊位までという、制限。
購入なら、
１ヶ月に3冊～10冊までしか買えないという、制限。
いくら手持ちのカネがあろうとも「枠」の制限のせいで買えないんです！
それにしても、
１ヶ月３冊までって、メチャクチャ少なくて、キビシイ。
差し入れがなければ、３冊なんて少ない「枠」は、
何を買うか相当悩みます。
もし、検閲で３冊とも不許可になれば、１カ月間何もナシで過ごすワケ。
検閲で不許可だったからと言って、その枠を使って、買い直すことはできません！
だから、貼り出される
「検閲不許可の書籍一覧表」をよーく見ることになります。
ごていねいに刑務所が
「今まで検閲に引っかかった本」のリストを公表してます。
「コレ買うと、出所遅れるぞ」的な、
何かウラがあって怖いんですが・・・
一覧表を眺めて、懲役仲間どうし、アレはイケるハズ、コレはヤバい、と悩むんです。
悩むのはいいんですが、
勝手な妄想が広がってしまうキ◯ガイもいます。
「わかった！エロ本の検閲の許可・不許可の基準が！」
―――えっ？そんなこと、わかっちゃったんですか？何です？
「男と女のカラミの写真がなければ、許可で、入るんだよ」
―――あぁ？いや、カラミがあっても、ほとんどのエロ本は許可になりますけど。
「そんなコトはない。だから来月は官能小説を買うことにしたよ」
―――はぁ？あんなモノ、コーフンしないし、使えないでしょ？
「これで仮釈放の面接も、安心だよ」
―――ちょっと、自分の話、聞いてます？
「官能小説なら、純粋なエロではないから、問題ないよね」
―――いやいや、エロ本買うと仮釈放が遅れるというのは、都市伝説ですから！
こうした
「他人の話を全く聞かない」独自の勝手な判断をするヤツが結構います。
検閲不許可の一覧表を見て、官能小説の購入を決意し、仮釈放は安心と考える・・・
なんとおめでたいというか、キ◯ガイ。
ちなみに彼は懲役18年。
今から仮釈放の心配をして、ホントご苦労様。たくさんもらえるだろうよ。
懲役というのは、こんなヤツとも仲良くやらなければならないので、疲れます。
でも「検閲不許可の書籍一覧表」は、
ワケわからん判断をしてるんです・・・
明らかに、犯罪の手口に使えそうな
「ヤバ◯ぎ裏グッズ333」という本が
OKで
「極道のサラ◯ーマン交渉術」というビジネス心理本が検閲不許可で、
ダメ。
「オイ！内容なんてチェックせず、タイトルで判断しているだろ！」
こんな判断、検閲担当の刑務官様は、テキトーな仕事をしていることは間違いない。
「入れ墨のデザインになるから」と一部の写真集も不許可で、ダメは驚き。
ホント、刑務所の考えていることって、わからん！
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2．ふろくの処分でモメる懲役たち
本の差し入れ・購入で、必ず問題になることが、オマケの
「ふろく」です。
雑誌は
「ふろく」付きが多いですが、
小冊子くらいしか許可になりません。
CD、DVD、手帳、ポスター・・・定番の「ふろく」は軒並み入りません。
「不許可」のふろくはどうするか、と言いますと・・・
すべて廃棄、せっかくのふろくも全部
ゴミ。
ふろくが付いた本が届くと、呼び出されて
「廃棄するように」言われるんです。
「廃棄願」と言う、願せん（書類）を書かされて、捨てる許可を願い出ます。
「捨てたくないモノを捨てるために、自分から許可を願い出る」
まさに刑務所、ですが、ひどいを通り越して、もう笑うしかないです。
ほとんどの受刑者は、しぶしぶ願せんを書いて、ふろくを廃棄しています。
「どうして自分のモノなのに、強制的に捨てなきゃいけないんだ！？」
しかし、中にはどうしても
あきらめ切れず、ゴネるヤツがいて、困るんです。
受
「先生！どうして、ふろくは廃棄しなきゃいけないんですか！」
刑
「あぁん？刑務所は、そういう決まりになっているんだよ」
受
「納得いきませんよ、強制的に捨てるしかない、ってオカシイですよ！」
刑
「オメェ、懲役のくせに、オレに文句言うのか、あぁん？」
受
「せめて、領置(注：倉庫に保管のこと)にして下さいよ！」
刑
「チッ、領置はできねぇ。ただ、理由があって、許可取れば、宅下げは可能だ」
受
「じゃあ、宅下げでお願いします。願せんも書きますから！」
刑
「チッ、だから、正当な理由がないとダメだ。ふろくは何なんだ？」
受
「DVDとポスターです！」
刑
「あぁん？オメェ、それは教材とか仕事に使う資料か？」
受
「いえ、写真集のふろくの限定DVDと限定等身大ポスターです！」
刑
「あぁん？宅下げできるのは、それなりの理由があるモノしか・・・」
受
「A◯B48の写真集の初版限定のグッズなんで、二度と手に入らないんですよ！」
刑
「オメェ、いい加減にしろっ！ダメだ！廃棄だ！」
受
「オカシイですよ！理由もあるんだし、宅下げさせてくださいよ！」
刑
「うるせぇ！さっさと席に戻って、作業しろ！」
こんな感じで、ふろくを廃棄することを納得できず、刑務官様にゴネるんです。
刑務所によって違いますが、
ふろくは原則「廃棄」
出所後に役立つ教材や資料ならば、「宅下げ」が認められますが、それは例外。
（注：宅下げとは、外部の人に自分の荷物を引き取ってもらうこと）
当たり前ですが、アイドルDVDや等身大ポスターなどは、絶対に許可されません。
「宅下げ」の許可が得られても、
その都度、宅配便で送らなければダメ。
つまり、たかがDVD１枚のために、
宅配便の高い料金を毎回負担です。
そこまでして「宅下げ」したい「ふろく」なんて、そんなにありません。
許可を取って「宅下げ」しようとすれば、願せんを書いたり、手続きもメンドウ。
何より、刑務官様に
「メンドくせぇヤツ」と思われ、
冷遇されること間違いナシ。
だから、懲役たちは泣く泣く、お宝の「ふろく」も廃棄しています。
たしかにDVDの方がメインのエロ本もあり、ふろくが捨てがたいんですがねぇ。
刑務所にいると、やたらと
「モノが惜しい」どケチになってしまいます。
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DVD等のふろく問題なかなか大きいですね!!
領地や宅下げもっと簡単にするべきですよね。
本の回し読みも禁止ですよね？
てか…エロ本買ったとして雑居で他の方が居る前で普通に見るんですか!?(´Д｀)
by blue-sky (2015-12-19 23:28)
blue-skyさん、こんにちは(^^)/
コメントをくださり、ありがとうございますm(__)m。
ふろく問題は大きいですよ。
別にエロ本に限らず(笑)、限定グッズやカード、CD、DVDがふろくで付いている本は結構多く、そちらの方が価値があるモノだったりしますからね…
差し入れの時は、ふろくを引っぺがしてからの方が安全です。
本の回し読みは、同じ雑居内であれば禁止されていないんですよ。他人の本棚に置いたらアウトという、刑務所らしいルールでしたが(笑)。
他人がいる前で平気で見ますし、貸し借りもします。
エロ本ネタ、下半身ネタは、今後のために温存中です。
宅下げもメンドくさかったですが、引き取ってくれる人がいるだけ、まだマシです。
またコメントをお待ちしております。
いつもお読みくださり、感謝です。
by きりたんぽ (2015-12-20 10:59)
こんばんは(^^)
本の許可不許可は、何だかんだ刑務官様の独断と偏見で決まっちゃう感じですかね？
それにしても刑務官様って凄い貫禄ですよね？特にベテランの方とか。
眼光鋭いしガタイのいい方も多いですし。
私生活でもあんな顔してたらヤクザに間違えられますよね？笑
by まろん (2015-12-20 18:24)
まろんさん、こんばんは(^^)/
コメントをくださり、ありがとうございますm(__)m。
検閲の不許可は、教育担当の刑務官様の独断と偏見で決まるともっぱらのウワサでした。
たしかに、３月まで大丈夫だった本が４月になって急に不許可になったり…ということもあり、その可能性は高いです。
刑務官様は武道をやっている方が多いらしく、ガタイがいい方もいらっしゃいますよね。
一時期工場担当だった刑務官様は、柔道の達人でした。
190㎝超の身長に120kg超の体重で、受刑者どうしがケンカした時、その2人を同時に抱えて、ケンカを止めました(笑)。マンガのような人でしたよ。
ブログネタにしたかったのですが、マンガのようなエピソードに誰も信じてもらえないと思い、断念しました(笑)。
刑務官様が威圧的に感じることが多いのは、あのヤクザな話し方もありますが、半分以上はあの制服、とくに制帽にあると分析しています。ムダにデカいあの帽子が貫録を醸し出しています。
帽子を取ると、「アレ？何このオッサン…」という人もいます(;´Д｀)
失礼な話ですよね・・・
またコメントをお待ちしております。
いつもお読みくださり、感謝です。
by きりたんぽ (2015-12-21 00:01)
なるほど～(^^)
あの帽子、10センチは身長盛れそうですもんね笑
お話の巨体柔道家の刑務官はカッコいいです！
by まろん (2015-12-21 22:32)
まろんさん、こんばんは(^^♪
コメントをくださり、ありがとうございますm(__)m。
「制帽で威圧感を出している」というその証拠に、お隣の将軍様のあの国の映像を思い出してください。
将軍様の横に並ぶ、軍服の幹部たちの制帽のデカさといったら、もう！
デカすぎて笑っちゃう、ほとんどギャグですよ。
ガキデカかって！（死刑！って古いギャグですけど、知ってます？）
巨体柔道家の刑務官様は、いい人でしたね。
デカいのに、オバケとゴキブリが大の苦手らしく・・・
「夜勤は、オバケが出るからホントにイヤだ！」ってグチってました(笑)。
またコメントをお待ちしております。
いつもお読みくださり、感謝です。
by きりたんぽ (2015-12-21 22:54)
ガキデカは知りませんでした～
思わず調べました笑
自分はきりたんぽさんより若いのかもしれません笑
お隣のとか確かにあれ変ですよね？
何か笑いがこみ上げてきました(>_<)
ある程度な体格じゃないと帽子に被られちゃうみたいになるんでね(^-^;
訂正します、巨体柔道家の刑務官はカッコよくないです。
by まろん (2015-12-21 23:11)
まろんさん、ガキデカ調べてくれましたか！
嬉しいですねぇ。
ちなみに、ガキデカが流行ったのは相当昔の話で、私もリアルタイムには知りません(笑)。
まろんさんのコメントで、ガキデカを思い出し「もし刑務官がガキデカのように『死刑っ！！』って叫んだら、これ以上ないブラックなギャグだな～」と一人妄想して、ニヤニヤしていました。
くだらない話、すみません。
by きりたんぽ (2015-12-21 23:21)
どう考えても、自分の金で買ったものを他人が勝手に破棄するのはおかしいでしょう。弁償責任に問われる違法行為だと思います。本来、刑務官には、勝手に付録を廃棄する権限は無いため、受刑者から後々訴えられた際に責任逃れをするためにわざわざ「本人による廃棄願いがあった」というテイを取履帯のだと思う。あくまでも本人願いという形を取るために書かせていますね。憲法に触れると思います。弁護士と相談してみたらいかがでしょう？例え願箋があったとしても、強制されたのは受刑者全員が証人ですし。
裁判で是非を問えば、付録廃棄の強制は無くなると思います。
by 付録廃棄のために願箋書きを強要して責任逃れ (2015-12-30 12:41)
コメントをくださり、ありがとうございますm(__)m。
おっしゃる通りだと思います。
しかし、刑務官様のお約束のセリフ…
「ここはそういう決まりなんだ」
「オメェは懲役なんだよ！イヤならこんな所に来るんじゃねぇ」の一言でバッサリです(笑)。
たしかにそう言われると、なかなか反論しにくいです。
モメても何もいいことがなく、ヘタをすると懲罰にアゲられてしまいます。仮釈放も遅れます。
そういうワケで、ほぼ全員がおとなしく従っているのが現状です。
訴訟を起こすにも、証拠がないですし(本人が「廃棄してくれ」と願せんを書いているので）、少額の損害賠償ゆえ費用の方が掛かってしまいます。
普段「人権、人権」と二言目には叫ぶ優秀な弁護士さんに、このような件こそやって欲しいと思います。
まぁ、カネにも名声にもならないので、やらないでしょうけど。
世間の皆さまも「受刑者のくせに文句言わず従っていろ！」とおっしゃる方が多いでしょう。
まずは自分自身を反省し、謙虚に生きていきたいと思います。
またコメントをお待ちしております。
お読みくださり、感謝いたします。
by きりたんぽ (2015-12-31 01:10)