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刑務所と懲罰(6)・・・懲罰では済まない「事件送致」 [懲罰]

「刑務所の中で悪さをするとどうなるか?」について、お話ししています。

その中でも「バレてしまって、懲罰喰らったら」の場合をご紹介しています。

前回まで、マヌケな2人を紹介して、懲罰の流れをご覧いただきました。


懲罰は「閉居罰」というモノで、日中何もせずただひたすら座っているだけ。

コレを軽いものだと5日間から、重いものだと60日間も、課せられます。

「ただひたすら座っている」のは想像以上にツラい、と経験者は言うんですね。


そんなツラい懲罰。並の神経では耐えられませんが、コレがMAXではないんです。

悪さの内容次第では、懲罰では済まされない、という恐ろしい決まりがあります

すべてが懲罰で片付くワケではない、かなりの大ごとになってしまうんです。


今回は「懲罰では済まない」大ごとになってしまったお話をします。

懲罰は刑務所のおエライさんが決め、刑務所の中で完結しますが・・・

今回はそうはいきません。


1.懲罰では許してくれない事件送致
メシをシャリあげする、作業拒否する、口論になる・・・反則行為と言いますが

これらは「受刑者遵守事項」という懲役生活の49のオキテを破っているからです。

そしてほとんどが「懲罰」というおしおきをされ、処遇が不利になります。


しかし、この49のオキテには入りきらない「ヒドイ悪さ」もあるワケでして・・・

殺人、傷害、暴行、逃走・・・こんな悪さをすると「懲罰」では済まされません

「刑務所に入ってまで、こんな悪さをするヤツがいるのか?」と思うでしょう?


いえいえ、年に1~2回は必ず「ヒドイ悪さ」がありました。

さすがに殺人、殺人未遂は目撃しませんでしたが、その他は一通り見ました。

こんなことが「発覚すれば」どんなことになってしまうんでしょうか?


ココは刑務所の中。まさか警察が来て、逮捕するワケにもいきません。

代わりに確認した刑務官様が、連行、調査と、ここまではフツーの懲罰事例と同じ。

しかし、ここから先が違います。


フツーの懲罰事例は、刑務所内の「懲罰審査会」で処分が決定します。

「ヒドイ悪さ」になると、調書を検察に送ってしまうんです

これを「事件送致」と言い、受刑者たちはゼッタイに避けたい!


「事件送致」とは、検察に送り、基本的に起訴をされ、裁判になるということ。

つまり、刑務所にいるというのに、さらに裁判で刑を喰らうという非常事態なんです。

当然、裁判で実刑の判決が出れば(その可能性は高い)、刑の上積み!


懲役の真っ最中だというのに、さらに懲役の「おかわり」をすることになります。

コレを刑務所では「増し刑」と呼んでおります。

信じられない最悪の事態ですが、現実には結構あるのです。


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2.何としても避けたい「事件送致」
「刑務所の中で事件を起こすなんて、反省してないんじゃないか!」

そんなシャバの方達の声が聞こえてきそうですが、ガマンできないヤツ、いるんですよ

どんなものが「増し刑」を喰らうのか、ちょっとご紹介しましょう。


「増し刑」を喰らってしまうような「事件送致」の対象はいくつもあります。

殺人、殺人未遂、傷害致死、傷害、暴行、逃走、器物損壊が代表例でしょうか。

刑務官様への「公務執行妨害」「贈賄」なんかも対象です。


信じられませんが、以前府中刑務所では「覚せい剤使用」で事件送致がありました。

刑務官様の弱みを握り「ケータイを借り、連絡を取った」事件送致もありました。

刑務所の中で刑務官様を丸めこむなんて、ホント、スゴすぎます。


刑務官様がらみだと当然キビシく、すぐに「事件送致」になってしまいます。

あまりにネチっこく説教されて、ブチ切れてしまい、つかみ掛かってしまったら・・・

ハイ、もちろんそれだけで事件送致となったケースもあります。
(どちらかというと、その場で逆にブン投げられてしまいますが・・・(笑))


よくあるケースは「懲罰中にもかかわらず、暴れて、器物損壊」です。

懲罰喰らっている最中に、刑務官様に注意され逆上し、舎房のモノを壊すんですね。

机を壊した、窓を割った、湯飲みをブン投げて壊した、そんなケースがありました。


話を聞くと「懲罰中でストレスが溜まって、やってしまった」ではないです。

もう、見境なく奇声を発し、暴れている感じなんです。

こういうヤツは正直、病気であり、障害ですよね。対応に困りますよ・・・


これらはすべて「懲罰」では済ませてもらえず、「裁判沙汰」になります。

刑務所にいるのに、また裁判で判決をもらうことになるのです。

情状が悪いので、執行猶予などナシ。即、実刑で、上乗せされることになります。


拘置所から刑務所へ移送中、スキを見て脱走したというケースもありました。

コレも「事件送致」になり、およそ半年~1年の「増し刑」


受刑者どうしのケンカも、相手に大きなケガをさせれば「事件送致」です。

コレはケガの程度にもよりますが、半年程度の「増し刑」です。


こういった刑務所内での「事件送致」の件は、刑務所以外にも知れ渡ります。

新聞の地方欄に小さく「◯△刑務所で事件送致」とニュースになっちゃうんです。

さすがに名前までは出ませんが、事件の概要は出ちゃっていますね。


懲役たちは新聞を見て、また盛り上がります。

「おぉ、ウチの刑務所のあの事件、載ってるじゃねぇかよ~」

みなさんも注意して見ていれば、年間1~2回は目にすることでしょう。


さらには、上乗せされ「懲役のおかわり」すると、不利な条件がプラスされます

マジメにつとめていれば可能性があった、仮釈放が相当キビシくなります

刑を上乗せされた上に、満期釈放…


シャバに出る日が、大幅に遅れることになります

まさに最悪。これ以上のどん底な状況はないんじゃないか、と思いますね。

次回は、この「事件送致」になった実際のケースをご紹介します。



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