「刑務所の食事」について、続けてお話ししています。
実際は、質素で、単調で、そこそこマズい、つまらない食事です。
でも、シャバではありえない「かたよった」メニューがたくさんあります。
前回は、やたら出てくるメニューをご紹介しました。
「
刑務所の食事のウワサ④・・・一番出てくるメニューは何なのか？」
にて、詳しく書きましたので、ぜひご覧ください。
シャバの方がイメージする「ムショめし」の誤解を解きたいなと思い、書くのですが
特徴を書いているつもりでも、悪いところばかりあげて、
ディスってばっかりです。
が、しかし、今回は、そうなりません。
今回は、やや主観が入ってしまいますが
「ムショのNo.1メニュー」をご紹介します。
受刑生活中、毎日のように懲役どうしで話し合ったことなので、一応多数の意見です。
結局のところ
「シャバの食べ物には、かなわない」ですが、読んでやってください。
1．幻のNo.1メニュー
刑務所で出るメニューでは
「ウナギのかば焼き」がNo.1ではないでしょうか？
味はもちろん、言うことなし。ウマい。
豪華という意味でも、滅多に出ないという意味でも、ズバ抜けているでしょう。
年に１回「土用の丑の日」に合わせて、暑い夏の夕食に出ました。
真空パックに入ったウナギは、シャバの味そのもの
「まさか刑務所に来て、ウナギが食べられるとは！」ちょっとした幸せです。
と、まぁ、絶賛して事実を書いてみましたが、
実際はそんなに甘くない・・・
まず、現在ウナギの値上がりによるものなのか？
廃止されてしまいました。
今はもう出ない。「昔は良かった！」
幻のメニューになってしまいました。
真空パックに入って、シャバの味なんですが、
なんせサイズが小さい。
名刺ほどの小さなサイズに、ゼッタイに国産ではない薄っぺらさ。
安いウナギにありがちな、小骨が引っ掛かり、皮がカタイというヤツです。
「刑務所でゼイタクだ！何をワガママを言う！」
「食わせてもらえるだけ、ありがたいと思え！」
そんなお叱りの声が聞こえてきますが、それならばもう少しボリュームが欲しい。
麦メシの多さに対して、ウナギがあまりに小さいため、麦メシを持て余して困る。
「だったら、もうちょっと安いモノでいいから、お腹いっぱいになりたい！」
そんなバチ当たりなことを言っていたら、ホントにウナギが廃止になっちゃった。
その代わりに
「土用の丑の日」に出るようになったのは「カルビ丼の具」
レトルトの味付け焼肉だが、
牛肉がポイントが高い。そして量もフツーにある。
うす味に慣らされた懲役たちには
「タレの味付け」がビックリするくらい濃い！
「肉の脂」「濃い味付け」懲役たちが喜ぶ要素がギッシリです。
刑務所の粗末な食事を食べていると、何に飢えるかハッキリわかります。
①揚げ物、脂身、つまりアブラ
②甘いモノ全般、つまり砂糖
③とにかく濃い味付け
人間って糖分・脂肪が「ウマい」と感じるんだ、と体で痛感します。
だから、この「カルビ丼の具」は２つの要素を満たすので、ウマいに決まってます。
味付け濃いからメシは進むし、シャバのマトモな牛肉は食べられるし、大好評。
袋に麦メシをブチ込んで、袋についたタレをなめるように取って食べる者が続出。
高級感はあまりないですが、ウナギより満足度は高いです。
となると、これがNo.1メニューか？と思うのですが、周りに尋ねると違いました。
ウナギでも、レトルトのカルビ丼でもない、意外なメニューがNo.1でした。
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2．そんなメニューがNo.1かよ！
懲役たちは、単調な毎日なので、話題が乏しく、ロクな会話はしていません。
メシの話か、他人の悪口か、どちらかを話していると言ってもいいでしょう。
「ムショのNo.1メニュー」も話題になりますが、スンナリ決まりました。
それは
「非常食」で「シャバの味」でした。
刑務所では、年に１回程度「災害時の非常食」の古い物との入替があります。
古い非常食は、通常の食事として、メシの代わりに出されます。
以前は「乾パン」か「クラッカー」で、「昔の非常食」という感じでした。
乾パンはパサパサでウマくないし、クラッカーは食事には物足りない。
出るたびに
「うわっ！非常食かよ…」とガッカリしていました。
ところが、東日本大震災を機に、非常食が劇的に変わったのです。
なんと一食分すべて、非常食でそろえ、まんま食事で出すというのです。
「まさか、クラッカーをオカズに乾パンを食うんじゃないよな？」とビビりました。
刑務所生活のオキテは「何事も期待してはいけない」
そして教訓は「期待すると痛い目を見るから、常に最悪を想定しておく」なんですが
刑務所では滅多にない「良い方に期待が裏切られる」出来事でした。
なんと、
すべてシャバのコンビニで売っているマトモな缶詰だったのです。
最近の非常食は変わった、というか、刑務所も少しは柔軟な考えになったか？
その洗練されたメンバーをご紹介しよう
①デニッシュパンの缶詰
②ホテイの焼き鳥缶詰（タレ味）
③明治屋のウインナーソーセージ缶詰
④はごろものフルーツミックス缶詰
⑤おーいお茶250㎖パック
「量的」には少し物足りないが、刑務所では信じられないようなシャバの味！
すべて日本のメーカーで、一流の品ばかりではないか！
主食に、肉に、デザートまで・・・刑務所で配られるにはカンペキすぎる！
①のパンはチョコレートまで練り込んであって、しっとりとしてウマい。
もし万が一、こんな缶詰が出ることがあっても、１つしか出ないのが刑務所の常識。
だから
「これを一回で食べちゃっていいの？」懲役たちは軽くパニックとなりました。
シャバの人たちにとっては「たかが缶詰だろ？」と、ピンと来ないと思います。
缶詰とは言え、有名なシャバのモノでそろっているのが
「奇跡の光景」なんです。
刑務所の食事で「すべてシャバのモノ」が出るのは、まず、ないんです。
懲役たちにとって、まさに
「盆と正月が一緒に来た」お祭り状態になりました。
「明日から予算不足で、メシがさらにひどくなるんじゃあ？」と勘ぐる者や
「だれか死刑とか処刑されるんじゃねえの？」イベントに結びつけたがる者や
「ゼッタイに何か悪いことが起きる！」小さな幸せを受け止められない者も・・・
普段５分足らずで食い終わるのに、ゆっくり食べたのは言うまでもありません。
それにしても、カンヅメがこんなにウマいとは！
焼き鳥缶詰やソーセージ缶詰は、シャバでもツマミで愛用していた名品ですし
みなスーパーやコンビニに置いてある有名なモノとは言え、
シャバのモノはウマい！
「パンの缶詰、甘いし、ハンパなくウマかったぞ！」
「焼き鳥缶詰ウマすぎて、缶まで舐めたくなったよ！」
こんなお子ちゃまな感想をオッサンたちが興奮していうのがオカシイ。
しかし、
一番驚いて、納得した感想がコレ
「おーいお茶って、こんなに濃くて、お茶の味がしてたんだね」
シャバで飲むパックのお茶なんて、正直うすいなと思っていたが、違うんです！
ムショで毎食出るお茶というのは、沸かして作っているモノですが、ホントひどい。
茶色がほんのりついた、香りも味もゼロの「お湯」なんです。
それしかないから飲んでいるだけで
「不愉快な一品」です。
そんなお茶とは言えない粗末なモノを何年も飲んでいると、感覚が研ぎ澄まされる？
おーいお茶のパックにストローを刺した瞬間、お茶の香りが広がり、
もう感激！
飲んでみれば「しっかりと緑茶の味と香りがする」当たり前のことに、
もう感動！
シャバでこの缶詰たちを食事で出されたら「ふざけるな！」と、なるのでしょうが
刑務所の食事で「何を食っても、ウマい！」と感じたのは、これが最初で最後。
すべてシャバのモノという「反則」ではあるが、No.1メニューに間違いない。
もちろん懲役たち全員がNo.1とは言っていない。
ハッキリとした傾向がある。
まだシャバっ気が抜けない１年未満の者は「カンヅメは、ちょっと」と低評価。
刑務所生活が３年以上にもなると、ほとんどが「カンヅメ、最高！」と絶賛。
やっぱり、シャバの味はウマいし、忘れられないわね・・・
そんな「シャバの味に対する渇望」がハッキリ分かった結果でした。
地震では多くの犠牲と被害が出たが、この非常食メニューは地震のおかげです。
ホントに不謹慎だが、地震がなければ、いまだに乾パンを食わされていたハズだ。
感謝の「ムショのナンバーワンメニュー」で、ございます。
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2015-09-05 17:00
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共通テーマ：日記・雑感
東拘では月一に特別食が配られてました。
ほとんど魚の缶づめでしたが、
カロリーメイトとか、パンの缶ずめもありましたよ。
しっとりとして美味しかったです。
私的には鳥そぼろ缶が一番でした。
３０００人も収容してるので、
非常食がさみだれしきに期限がくるのでしょうね。
by きなこ (2016-03-16 22:31)
きなこさん、コメントをくださりありがとうございます。
非常食の配布、施設によっては楽しみでした。
シャバと変わらない缶詰やクラッカーが出るところ、宇宙食のような(食べたことないですが)ヘンな味付けのマズいモノが出るところ、別れるようです。
パンの缶詰はウマかったですよ！
いつもとは違ったモノが食べられるので、うれしかったですねぇ。
そのカロリーの分、メシの量を減らされるのは納得がいかなかったです(笑)。
by きりたんぽ (2016-03-16 23:45)
これってつまり、一年に一回はこういう缶詰フルコースが出されるようになったってことですか？
それにしてもウィンナーに缶詰があるなんて恥ずかしながら初めて知りましたね……
by クライヴ (2016-03-31 20:37)
クライヴさん、こんばんは
コメントをくださり、ありがとうございます。
東日本大震災の後、刑務所でも備蓄の非常食の内容が見直されましたね。
コレが毎年の恒例行事になるかどうかはわかりません。
施設によっても違いますし、管理している会計課長なんかの判断によっても変わると思います。
ひょっとしたら、予算削減でまた元の粗末な非常食に戻るかもしれません(笑)。
それでも、年に１回非常食の放出があれば、かなりうれしいですね。ウィンナーの缶詰はつまみにもってこいですよ。ぜひ一度お試しください。
またコメントをお待ちしています。
いつもお読みくださり、感謝です。
by きりたんぽ (2016-03-31 21:37)