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刑務所のイジメ(9)・・・日用品・書籍を貢がせるイジメ(中編) [イジメ]

「刑務所のイジメ」について、続けてお話ししています。

イロイロとあるイジメの呆れる手口、くだらなさを皆さんに知っていただきたい!

というワケで、前回から、イジメの個別のケースについてお話ししています。


まずは合法的なカツアゲで、まさかの「貢がせるイジメ」のパターンをご紹介しました。

前回の「TくんがATMにされるまで」のことについては
刑務所のイジメ(8)・・・日用品・書籍を貢がせるイジメ(前編)
にて詳しくお話ししました。ぜひご覧ください。


今回はその続き、Tくんの貢ぎっぷり、とくに本での被害の内容をお話しします。

さすが刑務所。懲役たちは甘くない

先輩たちはカネを遣わせることができると分かったら、トコトンまで追い込みます。


3.エゲツない「貢がせるイジメ」
Tくんは21歳の不器用な若者。みんな年上の雑居に溶け込もうと、一生懸命でした。

気に入られようと、先輩の言いなりになっていたら、次第に奴隷扱いに・・・

なんと、先輩の分まで日用品、書籍、新聞を買わされていたことは前回話しました。


かわいそうに刑務所に来てまで、余計なカネをつかわされ、イジメられているワケで…

本人は「先輩たちに気に入られるなら!」と喜んでやっていますが、いつまで続くか?

デカい交通事故を起こして、損害賠償だの支払いは多いハズで、余裕はないんです。


2ヶ月、3ヶ月と何事もなく「アトムくん」として貢いでいましたが・・・

気になって、Tくんの雑居の先輩に話を訊いてみると、案外スゴイことになっていた!

まさに「むしり取られる」感じのTくんの貢ぎっぷりを聞いてやってください。


(注:私=筆者、先=雑居の先輩)
「相変わらず、Tくんはアトムくんとしてガンバっているんですか?」

「おぉ!アイツは使えるよ~ ホントATMで、サイフ代わりだわ!」

「日用品買わせて、本を買わせて、新聞買わせて、さすがにそんなもんですよね?」

「そうなんだよ!でもさ、アイツが使えるのは、本なんだよ」

「本ですか?1ヶ月に買える本の数は決まっているじゃないですか?」

「MAX買っても9冊だろ? だからさ、自分たちも考えたのよ」

「できるだけ高い本を買わせるとか、ですか?」

「いやいや、差し入れというルートも使って、本を入れさせているのよ」

「うわっ!その手がありましたか!」


1ヶ月に自費で購入できる本の数は決まっている。10冊に満たない。

一人当たりではそこそこの数かもしれないが、先輩たちでシェアするにはちと少ない。

そこで先輩たちが考えたのは「差し入れ」というルートを使うことだったのです。


Tくんは両親が心配して、月2回わざわざ面会に来てくれていました。

面会の時に、両親はTくんがリクエストする本を持ってきて、差し入れしていました。

そんな親心を、百戦錬磨の先輩たちが黙って見逃がすワケがありません


本をせっせと差し入れしていた両親でしたが、実はTくんの希望ではないのです。

先輩たちは、Tくんの両親の面会に合わせて、Tくんに両親へ手紙を書かせていました

その内容はもちろん「次回の面会時に差し入れして欲しい本」についてです。


毎月決まった時期に2回面会に来るので、それに合わせて手紙を書くのも可能。

まさに「出前を取るかのように」先輩たちの好きな本を持って来させていたのです。

さすが懲役。ホントにエゲツない!


でも、これだけでは終わらないんです



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4.家族ぐるみで貢がされていた!
Tくんの両親の面会に合わせ「注文の手紙」をTくんに書かせて、発注(笑)。

手紙を見て、本を買いそろえた両親が月2回面会時にせっせと持って来る。

それを先輩たちがタダ読みするという、なんとも完璧なシステムです。


そして差し入れの本には、自分で購入の本と違って、メリットがあります。

それは工夫次第では、何冊でも差し入れが可能という点なんです。


自分で購入の本は10冊にも満たない数ですが、差し入れは違います。

差し入れは、入れてくれる人1人につき月10冊までと決まっています。
(もちろん、刑務所によってその数は変わります)

ということは父と母なら2人で月に20冊も差し入れが可能です。


これだけでも十分にエゲツないんですが、これだけでは済まなかった!

調子に乗った先輩たちは、面会時の差し入れだけでは許さなかったのです。

なんと、郵送でも本を差し入れするようにTくんに命令していたのです。


本を差し入れしてくれるのはTくんの両親ですが、面会時でMAXに達しています。

目一杯入れているので、両親の名義では、もう差し入れできないのです。

そこで郵送では、同居の姉や祖母の名前で本を送らせる、というのです。


そうすれば、両親が送ったとしても名義が違うので、また1人あたり10冊入るワケ

この方法を使って、Tくんはさらに20冊を郵送で差し入れさせていました。

これは懲役たちでは、本の差し入れの「常識の裏ワザ」なんです。


いやいや、本だけでも月40冊差し入れさせていたんです。

本だけで月40冊の差し入れですよ!

単純に1冊500円としても、40冊なら2万円です。オイオイ!


デカい交通事故をやらかし、人生につまずいた、Tくんはバカ息子です。

そんなバカ息子でもカワイイ両親は、励ますために面会にわざわざ来るのです。

そしてせっせと息子のリクエストする本を差し入れしているワケです。


しかし、実は大量に差し入れる本はすべて先輩たちに命令されているモノだった!

なんとまぁ、悲しいじゃないですか!

こういうのを「しゃぶりつくす」と言うのでしょうか?


結局はTくんが先輩に気に入られようと、何でも言うことを聞いていたのがダメ!

ダマされる方が悪いと言えばそれまで

自分の身は自分で守るしかないのが刑務所なんです


しかし、この話、これでは終わらないのです。

長くなりますが、次回もう1回だけお付き合いください。

このカンペキな上納システム?貢ぎのルート?も案外カンタンに崩れるのです。


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忍者福島

イジメの話は毎回壮絶だなあと思わされますね。
自分を守ってくれるのは自分しかないというのが良く解りました。
まあ・・・T君もその家族も甘っちょろい所が有るみたいなので何とも言えませんが。

更新楽しみにしております。
来年も楽しみにしてますので、よいお年をお迎えください。
by 忍者福島 (2017-12-30 20:00) 

きりたんぽ

忍者福島さん、こんばんは。

コメントをくださり、ありがとうございます。m(_ _)m
シャバでも同じことではありますが、親兄弟やコネを頼れない刑務所では「自分の身は自分で守るしかない」ことを痛いほど身に染みて味合わされます。

T君もそうですが、懲役生活では何か余裕をかましていると、そこを狙われ・つけこまれた記憶があります。
気を抜いてはいけませんね……

懲役生活では「危機察知能力」は上がったと思います。
(シャバに出てからも役には立ちます)

いつもお読みくださり、本当にうれしいです。
なかなか更新できなくなっていますが、引き続きお付き合いくださいませ。
来る年が忍者福島さんにとって、平安な年でありますように。

by きりたんぽ (2017-12-31 01:11) 

NONOMI

きりたんぽ様
新年になり新しい記事を読みにこさせて頂きました。

おつとめ中の方と、手紙やりとりをしているのですが、刑務所の中は、冬場は寒いだろうな、、と想像してしまうと、かける言葉も無いなあと気をつかいます。(なんて書いたら喜ばれるのでしょう??または、気に障らないでしょう?)
所内でイジメはよくあるという事のようですが、やはり「仮釈放」は絶対欲しいところですよね?帰り先が上手くいかない方にも、何と声をかけてよいやら。

まあ、入ることになったのは本人のやった事の結果ではあり、それは仕方ないのですが、「こんどこそ真面目に更生して頑張りたい」という方には、やる気を出してもらう事が良いですよね?

検閲があるのも承知ですが(まさか「真面目に社会復帰を目指します」はとりあえず書いたことではないと信じたい)、手紙の文面を信じて応援したいと思っています。

by NONOMI (2018-01-01 02:25) 

匿名

うわぁ……なんと凄惨な話ですね(^^;;
刑務所は不衛生、飯は美味しくない、看守は怖い、囚人は凶暴と聞いたので、どのホラー映画よりも恐ろしいですね(T^T)
悪い事はしないようにします!
by 匿名 (2018-01-01 11:47) 

きりたんぽ

NONOMIさん、こんばんは。
コメントをくださり、ありがとうございます。m(_ _)m

懲役にとって手紙をいただけることは、それだけでありがたくうれしいものです。
それほど言葉に気を遣わなくてもいいかと思います。
あまり気を遣うと、よそよそしくなってしまい、肝心の言いたいことが言えないで手紙が終わってしまいますしね。

懲役からの手紙の内容も、あまり期待しすぎないであげてください。カッコつけているだけだろうと、本音だろうと、出所後はなかなかうまくいかないのが現実だと思いますので……

またコメントをお待ちしております。
by きりたんぽ (2018-01-03 00:00) 

おたふく

きりたんぽ様

あけましておめでとうございます。
ご無沙汰しております、おたふくです。とうとう、満期出所まで1ヶ月を切りました。出所後の挨拶回りの為のスーツが、思うようにうまくいかず焦っております…。
体格がまったく変わっているのは致し方ないのですが、持っているスーツを参考にするという話が現在売られているスーツの形すら違うので股下など参考にできないと……!
年月の長さを痛感しております汗
本年もきりたんぽ様のブログ楽しみにしております。そして来月には中のこともお話できるかと思います。
by おたふく (2018-01-03 02:16) 

きりたんぽ

おたふくさん、こんばんは。
コメントをくださり、ありがとうございます。

出所後は間違いなく太りますので、ご注意ください。
生のお話を聴かせていただけることを楽しみにしております。
どうかご無事で!
by きりたんぽ (2018-01-05 00:32) 

一児のかーちゃん

きりたんぽさんこんにちは\(^^)/お久しぶりです
以前水虫の記事で書いてあった第3弾のクスリ
あれベポラップなんじゃないかと ふと思いましたた、、、どうでしょう(^^)ベポラップは水虫にも効くらしいですよ(笑) どうかお身体だいじにしてください またコメントします( ´∀`)
by 一児のかーちゃん (2018-01-19 13:00) 

きりたんぽ

一児のかーちゃんさん、こんにちは。
コメントをくださり、ありがとうございます。m(_ _)m

なるほど、そもそもそういうクスリですか!
刑務所ではどんなに気をつけていても、高確率で水虫をうつされます……
あ、しっかりと治療して、今はすっかり良くなっておりますのでご心配なく(笑)。

またコメントをお待ちしております。
by きりたんぽ (2018-01-20 10:41) 

クライヴ

あけましておめでとうございます
きりたんぽ様にとって良い年になることをお祈りします

まあ本当あれですね。世の中では刑務所がいいところなどという風聞が広まっていますがこのブロクを見るとそんな幻想が尽く打ち砕かれます。このままだと刑務所本来の目的など果たせるわけがないので周知を進めて改善を図るべきだと思うのですが……。現実には犯罪者や刑事政策の理解が足りてない人が大勢なのでなかなか進まないのが現状です。
お辛いとは思いますが今年もめげずにがんばってください

by クライヴ (2018-01-26 03:14) 

海

お久しぶりです。海です。覚えていらっしゃいますか?もしよかったらまたお話聞いて補しいと思っています。
by (2018-01-26 13:13) 

きりたんぽ

クライヴさん、こんばんは。
コメントをくださり、ありがとうございます。
ご無沙汰しております。m(_ _)m

クライヴさんのおっしゃる通り、最近の「刑務所はそんなに悪くないところ」と評価する論調に首をかしげるばかりです。
庶民の景気が良くならないためなのか、ホリ〇モン等の有名人の刑務所話のせいなのか、「厳しいシャバで過ごすより刑務所の方がよっぽどいい」的な話を多数見かけます。
仕事もなく、家族もなく、カネもない、生きる意味を見い出せない人にとっては、刑務所ですら「マシなところ」なのかもしれません。
しかし、普通の人にとっては「最低で、ロクでもないところ」です。
好きなモノは一切食えないが、3食出て餓死しなければいい、という考えであれば、刑務所は「いいところ」かもしれませんが、普通の人はそんな考え方はしないでしょう?

とは言え、隣の芝生は青く見えるのが人間ですので、言ってもわからない人は実際に体験してみるしかないと思います。
刑務所は自由がありません。自分の意思で行動できません。人間たる根っこの部分を抑えつけられているのに、居心地の良さを感じているようであれば、それはもう人間であることを放棄しているのと同じだと思います。

刑務所…ロクでもないところですから、絶対に行かないようにして下さい。

今年もコメントをいただけますようお待ちしております。
いつもお読みくださり感謝です。
by きりたんぽ (2018-01-29 01:10) 

きりたんぽ

海さん、こんばんは。
ご無沙汰しております。
お元気そうで何よりです。
またコメントをお待ちしております。
by きりたんぽ (2018-01-29 01:11) 

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