「刑務所のイジメ」について、続けてお話ししています。
イジメにもイロイロありますが、今回ご紹介したいのは
「シャリあげ」です。
もう、
刑務所のイジメの王道、ド定番のお話だと思います。
そこで、私が実際に見て聴いて体験したものだけを、話を盛らずにお伝えします。
この手の話は、メディアにあふれ、脚色されたものが多く、リアリティに欠けます。
そこで
「実際は、良くも悪くもこんなもん」という「シャリあげ」をお話しします。
1.シャリあげの実態とは
念のため
「シャリあげ」とは、他人の食事を取り上げて、食べてしまうことを言います。
ただでさえ少ない食事を取られてしまい、空腹に苦しめられます。
刑務所では、
人間関係以外で何がツラいかと言えば「空腹」と「寒さ」ですから・・・
たまたま珍しいごちそう、例えばプリンが出た、だからよこせ、ならマシなんです。
毎日、毎食、当たり前のように「シャリあげ」するエゲツないのがツラいんです。
だって、懲役たちはみな、腹を空かせていて、少しでも多く食いたいですから・・・
ですから
「シャリあげ」とは、
他のイジメとはちょっと違うんです。
①少しでも多く食いたいから、取りやすいヤツから取り、結果イジメになる。
②イジメてやりたいから、ダメージの大きいメシを取り上げることをする。
どちらもあるパターンですが、
どちらかというと①の方が多いんです。
最初は「イジメ目的」ではないところが、メンドくさいところなんです。
いわゆるシャバでの
「みかじめ料」的なもので、取られる方も文句を言えない。
少ないメシをさらに取られるのは、かなりツラいことだけど、自分の身を守るため。
要求されたメシを渡しておけば、それ以上イジメられることもなく、必要悪だ。
そんな風に「シャリあげ」される方もガマンして、やられ続けることが多いんです。
また、
イジメる方は、勝手にルールを決めていることが多く、それがウケるんです。
「揚げ物は全部没収」とか
「甘いモノはすべて没収」とかは定番
中には
「パンの日はパンを没収」とか、主食を取り上げるエグイものもあります。
最初は甘いモノだけで済んでいたのが、アレもコレも、とエスカレートすることも。
パン、小倉あん、パックジュースの時は
すべてシャリあげとかになってしまいます。
もう、シャリあげどころではなく、
「メシ抜き」です。
それが半年、一年と続けば、精神的にツラいだけではありません。
ホントに、栄養不足、体の健康につながる深刻な問題になります。
暴力を使わず、肉体的にもダメージ!
効率が良いというか、懲役の悪知恵というか
刑務所で兵糧攻め・・・なんと恐ろしい!
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2.シャリあげの恐ろしいところ
刑務所の
食事の欠点の一つに、身長180㎝未満はみんな同じ量というのがあります。
その量とは、公表上、座作業では
1日2,300kcalの食事。
懲役の経験上、
175~180㎝だと、全部食べてもカロリー不足でやせていくんです。
フツーに食べていてもやせていく食事なのに、
シャリあげされたら「激ヤセ」です。
「刑務所の食事は健康的で理想的だ」なんて、知らないヤツが無責任に言います。
実際はカロリー、タンパク質、ビタミンが不足しています。
私はシャリあげされなかったので(笑)、全部食べていましたが、それでも変調が!
肌はカサカサ、髪の毛はどうも細く・薄くなり、また傷口が治りにくい。
筋トレしてもタンパク質不足で、引き締まりはしますが、一向に筋肉はつきません。
逮捕され、刑務所にブチ込まれたら、あとに残されるのは自分の身一つです。
職や家族、カネなど失い、さらに健康まで失ってしまったら、出所後生きていけません。
だから
刑務所にいる間、健康な体を維持するのは、最低条件・死活問題なんです。
「シャリあげ」され、激ヤセしている場合ではないのです。
粗末でいい加減なメシだけれども、全部食って、何とか体調を維持しなくてはならない。
将来的なことも考えると、
健康を損なう「シャリあげ」はダメージがデカいのです。
また、楽しみが食事しかない生活で、食事を取り上げられるのは、
精神的にもツラい。
「明日の昼、カレーとコーヒーゼリーだから、ガンバろう!」
退屈な刑務所では、こんなことを考えて、毎日しのいでいますが、コレもできない。
イジメる方にとっては、手軽にでき、メシも多く食える、メリットの多いイジメ。
イジメられる方にとっては、肉体的にも精神的にもダメージがデカいイジメ。
「シャリあげ」は、何て効果的なイジメなんでしょう(笑)。
そして、もしバレた時がヒドイ!
殴る・蹴るの暴力ならば、加害者だけが懲罰を受けることになります。
ところが、「シャリあげ」は違うのです!
懲罰を受けるのは「シャリあげ」した方だけではない。
メシを取られた被害者まで懲罰です!
被害に遭ったイジメられっ子まで、懲罰を喰らうという理不尽さ。
不思議なことに
「シャリあげ」は「不正授受」と言って、両方が懲罰なんです。
もらった方が悪いが、あげた方も悪いという理屈。
だから、
シャリあげされ続けても、バレても、イジメられっ子には良いことナシ。
ヒドイ!でも、これが刑務所。
だから「シャリあげ」されても、イジメられている方はチンコロ(=密告)しにくい。
その上、刑務官様に泣きついたところで、こう言われて
追い返されます。
「そうか・・・でも現認じゃねえと、連行⇒調査はできねぇからなぁ」
「今度シャリあげされたら、その場で刑務官に申し出ろ、いいな?」
その場でシャリあげを見て確認しない限り、
証拠がないので、スルーなんです。
だから、エグイことをやってもバレにくいんです。
こんな理由で「シャリあげ」は、刑務所のイジメの王道、ド定番なのだと思います。
次回も「シャリあげ」のお話を続けます。
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2018-05-05 17:00
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コメント(13)
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共通テーマ:日記・雑感
ただでさえ楽しみの少ない刑務所でのシャリアゲは死活問題ですね!
なんとか動かぬ証拠をつかんで密告できないんでしょうか?
by 忍者福島 (2018-05-07 18:35)
この前刑務所を脱獄した彼もイジメにあっていたみたいですね。
しかも彼は刑務官様からイジメにあっていたみたいですね。
人間関係に悩んで脱獄したみたいですね。
全部個室になればイジメはなくなるかもしれないですね。
今回の脱獄事件の感想をお聞かせ下さいませ。
by 石井 (2018-05-07 20:00)
はじめまして。
近いうちとある理由で8年ほど懲役に行きそうなので質問させていただきたいのですが、頭皮のかゆみ対策などはどうしていたのですか?
私は、留置所、拘置所までしか今まで行ったことはないのですが、どちらも頭皮のかゆみに困らされました。
もし対策やアイデアなど実践されていたことがあれば教えていただきたいです。
by もうすぐ懲役 (2018-05-12 05:58)
もうすぐ懲役さん、こんにちは。
夏場は頭皮のカユミにそこそこ悩まされました。
医務に申し出ると、まったく効かないがニオイだけは強烈な軟膏を渡されます。しかし塗ったところで効果がないのでおススメしません。
最善の策は、居室の水道で「巡回の刑務官様の目を盗んで」こまめに頭を洗うことです。
もちろん見られたら、即連行、懲罰ですので十分にお気をつけください。
by きりたんぽ (2018-05-14 09:16)
忍者福島さん、こんにちは。
コメントをくださり、ありがとうございます。m(__)m
シャリあげでは、現認という「その場をみつかってしまう」、もしくはその場で刑務官に申し出る、どちらかでないと連行→懲罰にはなかなかなりません。
密告はできても、その場を「現認」されないとダメなんです。
だからなかなかバレにくく、長期にわたりシャリあげというイジメが続いてしまうんですよね。
by きりたんぽ (2018-05-14 09:20)
きりたんぽさんお久しぶりです。
自分は161/81だった肥満をダイエットしてどうにかしようと最初の工場配役後1週間で欲しい人に麦飯を渡し、現行犯で懲罰5日を食らいました(勿論自分も工場が変わりました)
調査塔ではしつこいくらい「いじめられてるのか?」「初めてなのか?」「体のあざを見せろ」等色々言われたり写真を撮られたりしました。重ねてでかくなった茶碗の写真も撮っていました、何に使うんでしょうか。
懲罰はこれ一度きりで、次の工場では自分を贔屓してくれるオヤジや趣味の合う懲役に遭えたのでラッキーでした。その工場から出所できましたし。
ただ、運動中とか言質を取られたりして同室の人におかずを渡す羽目になったりはありましたね。 更新楽しみにしています。
by 000573 (2018-05-17 00:08)
きりたんぽさん、こんばんは。
イジメについてブログを書かれていますが、つい先日彼から手紙が届き、イジメとは書いていませんでしたか、ある一人の人が周りの人に有りもしないことを言いふらしていて、それが一年以上続き、流石に精神的に辛いと書かれてありました。
刑務官さんにも相談はしたみたいですが、きりたんぽさんのブログにあるように、これといった対応は無かったみたいです。
手紙には私の方で弁護士の先生に相談してみてほしい、法務局等へ問い合わせてみてほしいとありました。
今弁護士の先生に相談はしています。法務省(矯正局)に問い合わせもしましたが、本人から視察委員会に申し立てをするように言われて終わってしまいました。
きりたんぽさんのブログを読んだ限り、視察委員会に申し立てるのは難しいかと思います。
近日中に弁護士の先生より、文書にて刑務所所長宛に事実関係についての調査を依頼しようかと思っています。(元受刑者の方のアドバイスで)
彼にどのようなアドバイスをしたら良いでしょうか?また、私ができる事は何かありますか?
長文になってしまって申し訳ありません。
どうか、アドバイス宜しくお願いします。
by ゆたむれ (2018-05-17 02:41)
000573さん、こんばんは。
コメントをくださり、ありがとうございます。m(__)m
こちらこそ大変ご無沙汰しております。
自分の周りの懲役たちにも000573さんのような「やせたいから他人にメシを渡していた」という人たちは結構いましたね。
雑居ですと、あげる方ともらう方のお互いの連係プレーができていれば、巡回の刑務官様にバレることはまずないですしね・・・
自分は常に空腹を感じていたタイプなので、シャリあげをされたらツラくて耐えられなかっただろうな、と振り返って思います。
実際に、すべて食べていても「激ヤセ」しましたし。
懲役期間だけでも15kg減量してしまい、ガリガリでした。
またコメントをお待ちしております。
いつもお読みくださり、感謝です。
by きりたんぽ (2018-05-18 01:39)
ゆたむれさん、こんばんは。
刑務所でのイジメ、視察委員会への申し立て、などブログ記事でアレコレと書きましたが、参考になりましたか?
ゆたむれさんの彼氏さんの話は、懲役では「よくある話」です。
物的証拠がなければ「言った、言わない」の水掛け論になってしまうため、刑務官様も対処に困ってしまうのが現状だと思います。
どのような内容を「言いふらされているのか」わからないので、アドバイスのしようがありません。
彼氏さんが自身で視察委員会に申し出るのも一つの手ですが、ほとんど効果がないと思われます。
弁護士の先生に頑張ってもらうか(おカネがかかりそうですがね)、
私であれば「言いふらしている」懲役が物的証拠を残すまで、グッとこらえて日々過ごすでしょう。
そしてついにボロを出したら「刺し違える覚悟」で強引に、金線クラスのエライ刑務官様に申し出をするでしょう(工場担当の刑務官様では握りつぶされる可能性があります)。
強引に行けば、自分自身が「調査となってしまう」ので、その際に「自分はヒドいことをされた被害者であり、証拠もある」ことをていねいに説明していくしかないでしょう。
彼氏さんにその忍耐・覚悟があるのならば、おススメください。
刑務所では「他力本願」ではダメです。
残念ながら、他人の力を頼ろうとしている時点で、あまりいい結果にはならないかと思われます。
by きりたんぽ (2018-05-18 01:49)
000573さんやきりたんぽさんのコメントへの質問で恐縮ですが、房や工場でダイエットが流行したりするのでしょうか?
また、不正授受(?)はそんなにもメジャーなんでしょうか?
000573さんの調査があまりにも手慣れている感があり、軽塀禁5日もメジャーな懲罰かなと思いました。
食が生活の中の数少ない楽しみの一つと聞きますが、ダイエットなども楽しみの一つとなったりするのかと思うと興味深いですね。
by 忍者福島 (2018-05-18 21:36)
忍者福島さん、こんばんは。
コメントをくださり、ありがとうございます。
ダイエットをする人はそこそこ見かけますね。
多いパターンは「出所が近くなったので、ダイエットする」と言い、麦シャリ(主食)を少し控えるというものです。
仮釈放に向けた面接を境に、気にして始める人がいます。
しかしカラダがそこそこ大きければ、ダイエットしなくても刑務所の食事は勝手に痩せていきます。
小柄でカロリー消費の少なそうな人に当てはまるものです。
メシの不正授受はあまりにも日常茶飯事です。
雑居はもちろん、懲役作業を行う平日昼の昼食、つまり工場内の食堂スペースでの食事の際も、メシの不正授受はあります。
これは過去の記事にも書きましたが、刑務官様の監視の目があっても、目を盗んでシャリあげをしますからねぇ・・・
by きりたんぽ (2018-05-20 02:38)
きりたんぽさん、お久しぶりです。なないろです。
シャリあげ(笑)
ほんと王道ですよね。
先日 元懲役さんにマーガリン争奪戦の話を聞きました。
で、報告です。
彼が出所しました!!!
私たち 持ちました。
きりたんぽさんのおかげでもあります。
本当に感謝しています。
ありがとうございます。
きりたんぽさんのブログは
参考書であり、支えでもありました。右も左もわかりませんでしたから。
彼はこれからであります。
私に何ができるかわかりません。ただ寄り添っていようと思います。
それだけです。
きりたんぽさん、私に待ってる力をありがとうございました。
これからも彼とふたり、
がんばります。
by なないろ (2018-06-21 23:49)
なないろさんへ
(コメント欄、勝手にお借りします)
彼の出所、おめでとうございます!
周囲からの心無い言葉に傷ついたこともたくさんあったでしょう。
彼は、まさにこれから。
刑務所とシャバでは、まるで異国の地に訪れたような感覚なのでしょうか?
心身ともに慣らしていくのに時間を要しそうですね。
なないろさんは、そっと寄り添うだけで良いのですよ。
お二人の幸せをお祈りします。
そして、私もきりたんぽさんのお陰で赤の他人である彼の刑務所での生活を落ち着いて思うことができるようになりました。
彼を支援する方達とも出会え、希望に満ちた生活を送れています。
彼は15年満期なのですが、少しでも穏やかで充実した生活を送れるようにお祈りしながら、出来る限りの支援も頑張ってまいります。
私にとっての生き甲斐なんです。
信じて待つ力があれば、それは彼にも届くはず。
なないろさんのその後も聞かせてくださいね。
by ひろこ (2018-09-02 23:14)