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どこの刑務所に送られる(12)・・・イヤな刑務所を回避するワザ [移送(拘置所→刑務所)]

取り調べであがき、公判であがき、アレコレやってみたものの、実刑

公判(裁判)で実刑を喰らえば、もうどうしようもありません

いよいよ受刑者。懲役として刑務所に送られます


が、しかし、何としても最後の悪あがきをしたい!(という人もいます)

「刑務所は、自分で選べないのか?」

なんてことを考えるワケです。


ハイ、実刑喰らった人ならば、一度は考えることですよね。

結論から言うと、自分では選べません

それでは今回の記事が終わってしまうので、もう少し考えてみたいと思います。


1.刑務所は平等でも公平でもない!
「何か裏ワザで、刑務所を選ぶことはできないの?」

あきらめが悪い「実刑確定・懲役なりたて」の者は、アレコレと考えます

実は、送られる刑務所というのは、その人の条件でかなり予想がつきます
(「どこの刑務所に送られる(1)・・・ヤバい刑務所もあります」をご覧ください)


①初犯か再犯か、で送られる刑務所が違う。

初犯はA級刑務所、再犯はB級刑務所、と分けられています。

さらに初犯は民間刑務所(PFI刑務所)もありますが、期待薄ですし、別の機会に。


②短期刑か長期刑か、で送られる刑務所が違う。

短期刑は懲役10年未満、長期刑は懲役10年以上。短期刑は長期刑務所に行かない。

長期刑は専用の「L級刑務所」があるけれど、必ずココではないのがややこしい


③どの地方で判決が確定したか、で送られる刑務所が違う。

⇒全国を8つのエリアで分け、そのエリア内の刑務所に送られるのが基本

例えば、大阪で判決が確定すれば、送られる刑務所は近畿地方が濃厚なんです。


これら①~③を組み合わせると、かなり予想が立つんです。

どの立場の受刑者でも、送られる刑務所が3つくらいに絞られます

もうコレは、懲役たちの常識中の常識。お近くの元受刑者に訊けばわかります。


「うへぇ~!あの刑務所にブチ込まれるかもしれないのかっ!」

そうなんです。ウラを返せば、イヤな現実がわかってきちゃうんですね。

前回も書いたように、刑務所によっては「ヒドイ」「キビシイ」所があります


A.「面会、手紙などの制限がやたらとキビシイ刑務所」

身元が明らかな人であれば、原則誰でも面会・手紙がOKな刑務所もあります。

一方で、親族以外の面会は原則禁止という、理不尽な刑務所もあります。


B.「生活する環境がやたらとキビシイ刑務所」

食事がマズい、イジメがヒドイ…適応するのに苦労し、出所後の準備などできません

建物が古い所もキビシイ。冬が寒い、フロが不便…身体を壊す可能性があります


C.「前向きな努力にやたらとキビシイ刑務所」

本の差し入れ制限がキビシく、知識・情報を入れたくても、ロクに本を読めません。

職業訓練、通信教育…出所後の就労のための努力に消極的で、許可してくれません


このように刑務所によって制限、条件が違うのです。

うーん、できるだけマシな刑務所に行きたい、と思うのが人情でしょう。

すべてを満たすことはできないけれど、とくにイヤな所は避けたい・・・


「受刑者のくせに、つべこべ言わず刑務所行けよ!」って、思いますか?

いえ、刑務所がキビシイことに文句を言っているワケじゃないんです。

刑務所によって処遇が違うのが問題。どーして施設間で公平・平等じゃないのか?


実は「刑務所は選べないけれど、避ける方法はあるのです。

まぁ、懲役たちの間では常識中の常識なんですが・・・



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2.控訴して刑務所を変える荒ワザ
「刑務所は選べないけれど、避ける方法はある」ことをご紹介しましょう。

実はコレ、裏ワザでも何でもない。誰でもできます

が、しかし、私は刑務所にブチ込まれてから知ったので、恥ずかしかったです。


「◯△さんは、拘置所はどこだったんですか?」

―――オレは東拘(東京拘置所)だよ

「あれ?パクられたのは東京なんですか?」

―――いや、新潟なんだけどさぁ、控訴したのよ

「あぁ、高裁まで裁判やったんですね。大変でしたね」

―――そうそう、結果は変わらなかったけれどね

「やっぱり控訴はキビシイですね。減刑とか聞いたことないです」

―――いいんだって。刑をまけてもらうのがメインじゃないから

「えっ?何のために控訴したんですかっ?」

―――そりゃ、新潟刑務所に行きたくないから

「控訴すれば、刑務所を選べるとかできるんですかっ?」

―――選べないけれど、避けることはできるよ。ていうか、知らないの?

「新潟刑務所に行きたくないから、控訴したんですか?」

―――あそこは最悪だからね。何年か行くならユルい所の方がいいでしょ


コレ、どういうことかと言いますと・・・

まず一審の地裁で判決が出た後、控訴します。

そうすると、高裁のあるエリアの拘置所に送られます。


で、裁判の結果がどうであろうと、その後の刑務所にはその拘置所から送られます

地域差はあるものの、コチラの方が「送られる刑務所の選択肢が増える」らしい。

地方であれば、もう送られる刑務所はパターン化しているので、この違いは大きい。


例えば関東地区なら、控訴すれば身柄は東京拘置所に送られるワケです。

で、高裁で判決が確定すれば、東京拘置所から刑務所に送られます。

そして東京拘置所は、送る刑務所の候補が全国区になるという不思議!
(一部の条件に引っかかった受刑者であり、全員ではありません)


なんと、関東地方だけじゃなく、全国の刑務所が候補になるという

一審の地裁で確定すれば、そのエリアの刑務所でほぼ確定なのに、この違い。

地裁のエリアとはまったく別のエリアの刑務所に行くこともできるんです。


うーん、よくわからんが、定番のワザなんですねぇ。

全然知らなかったよ・・・早く教えてよ~

イヤな刑務所を避ける方法は「控訴すること」と判明


それにしても、控訴することでそんなオマケがついてくるとは・・・

じゃあ控訴すれば、減刑、やり直しになることもあるワケで、おトクな事ばかり!?

「オウ、それならば控訴した方がいいでしょ」と、思いますか?


3.控訴そのものはキビシイ現実
が、現実はそんなに甘くない・・・

まず、控訴しても8割が「棄却」

つまり門前払い。この時点でゲームオーバー、大多数が進めない。


また、運よく控訴できても「減刑」はレアなケースなんですよ。

よほどの新たな証拠や、捜査の欠陥がない限り、結果がひっくり返るなんてムリ!

そんなコトしたら、検事や裁判官のメンツは丸つぶれですモンね!


「なーんだ、それじゃあ時間とカネのムダ使いだね」

だから多くの者は、ハナから勝てない控訴などせず、一審の判決を受け入れます。

さっさと刑務所行って、懲役を消化した方が早く出所できる、と考えるのです。


そんなワケで、私にとって控訴は「ムダ」というイメージしかなかったのです。

が、それでも「控訴」する者はそこそこいるので、どーしてだろ?と疑問でした。

「あきらめの悪いヤツだな」くらいにしか考えていませんでしたが・・・
(「弁当持ち」の人が時間を稼ぐためにやるのは知ってますが、長くなるので後日)


まさか「イヤな刑務所を避けるため」に控訴しているとは!


自分で刑務所は決められないが、避けることはできるという逆転の発想

そのために時間とカネをかけてでも「控訴する」という裏ワザ…

そこまでやるか?えぇ、何年もいる刑務所ですから、やるでしょう!


「あのキビシイ刑務所に送られる確率を減らしたい!」というのは理解できますが

「どーしても地元の刑務所に送られたくない!」という人も、控訴していました。

地元の刑務所って言っても、外に出ることはないのですが、イヤですかね?


そこまで地元は避けたいのか?・・・ちょっと私にはわかりませんが…

「控訴してイヤな刑務所を避ける」とは、苦肉の策で生み出した裏ワザというか…

よく思いつくよなぁ・・・とくにおススメはしませんけれど。


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しみず

きりたんぽさん こんばんは。

刑務所選びをするとしたら(って別に選べませんが笑)きりたんぽさんは何を一番重視しますか?

飯がうまい、仮釈が多い、面会が多い、暑さ寒さが厳しくない、書籍の制限がゆるい…いろいろなファクターがあると思いますが何が一番うれしいですか?逆にどういう点は譲れますか?
by しみず (2016-09-26 19:06) 

忍者福島

本で読みましたが、美祢社会復帰促進センターなど、PFI方式の刑務所にはエリート初犯者(スーパーA級とも書いてありました)の社会復帰を促す為の施設のようですね。
そのこと自体は良い事でしょうけど、その影響で一般の初犯刑務所でエリート的な計算工や図書工などの不足がみられるとも書いてありました。
もちろん初犯だけでなく再犯に対してもなんですが、罪に対する罰としての懲役と、更生して社会復帰するための施設としての両立に関して、考えさせられますね。
by 忍者福島 (2016-09-26 22:15) 

きりたんぽ

しみずさん、コメントをくださりありがとうございます。

刑務所選び…ムズカシイです。
正直、シャバに出てきてしまうと、あんな所どの施設にも行きたくないです。全部却下、拒否(笑)。

それでは話にならないので考えてみると
(以前の記事にも載せましたがね…)
寒さと空腹が一番ツラかったです。
コレは私の感想ではありますが、人間として何が一番ツラいか、ミジメか、と考えれば自然な答えかと確信しております。

仮釈放が多くもらえる刑務所も魅力ですが、毎日毎日単調な懲役生活をしていると、そんなコトよりもメシがウマいだとか、規則がユルイだとか、目先の毎日がラクでマシな方に惹かれてしまうのです。

譲れる点はテレビや慰問などの娯楽です。
選べなくてツマラナイそんなモン、なくて結構。
本さえ読ませてくれればいい、と思っていました。
選択できない、押し付けの娯楽という時点で、娯楽ではありませんから…
規則がキビシイのも案外譲れます。
それに沿って生活していればいいのですから、思考停止で良く、ある意味ラクなんです。

by きりたんぽ (2016-09-27 00:19) 

きりたんぽ

忍者福島さん、こんばんは。
コメントをくださりありがとうございます。

罰を与える懲役と社会復帰のための懲役はまるで正反対ですよね。
成人の刑務所、とくに一般の生産工場は、罰を与える意味合いがほぼ100%です。社会復帰のことなんか考えちゃいません(笑)。

刑務所の「エリート」なんて、たかが知れています。
経理作業(計算工、図書工)がエリートだなんてうぬぼれもいいところ、ハズカシイ。
一般工場において作業補助(班長や立ち役)の方が、よっぽど能力が必要とされます。(海千山千の懲役に作業を教え、計画通りに出荷する)とくにコミュニケーション能力(恐怖政治を敷くか、周囲を協調させるかはその人次第ですが…)が求められます。

経理工場だけでなく、一般の生産工場でも「若くて、仕事をキッチリやるマトモなヤツ」が不足していて困っていましたね。
by きりたんぽ (2016-09-27 00:30) 

しみず

返信ありがとうございます。

まあそりゃどれも却下ですよね笑
確かにテレビとかラジオはなきゃないで全然問題なくやっていけそうですが、飢えと寒さはだいぶつらいですよね。

やっぱ人間の原始的な欲求が勝りますね。
by しみず (2016-09-27 00:51) 

お名前(必須)

ホリエモン氏は否認を続けていましたが、刑務所は妙に早く上がりましたよね。
Wikipediaでみるとたった74%の執行率で彼は仮釈放になったそうです。

自白か否認かは仮釈とは無関係なんでしょうか?仮釈面接でも否認して反省の態度をみせないと、仮釈率が悪くなりそうと素人は思ってしまうのですが。

寄付や仕事内容がものをいったのか、あるいは有名人は仮釈率がいいとかあるんでしょうか…

by お名前(必須) (2016-09-27 02:56) 

クライヴ

控訴の話で思い出したんですが
検察も控訴は出来るんですよね……
もし地裁の裁判官がたまたま優しい人で軽い判決を出してくれても検察に控訴されたらおしまいというのはなんとも理不尽ですね
by クライヴ (2016-09-27 03:52) 

忍者福島

お返事ありがとうございます。
そりゃ、塀の中でも外でも、キチンと仕事ができるしっかりした奴は重宝されますよね(笑)自分も給料泥棒と言われないように頑張らないと(汗)

また、しみずさんへの返事に娯楽や慰問について書かれていますが、楽しみとしてはどのようなモノが喜ばれるのでしょうか?
桂才賀さんやペペは特上だけど、地元のカラオケ同好会は拷問だという話も聞きますが(苦笑)またこのようなお話をしてくださいますと嬉しいですね~。
by 忍者福島 (2016-09-27 22:53) 

きりたんぽ

ホリ◯モンの仮釈放は懲役たちの間でも
「アイツだけもらい過ぎじゃねぇか?ズルいだろ!」
と、盛り上がりました。
わざわざ担当の刑務官が
「そんなコトねぇ、未決日数を引いたら大したことねぇから」と異例のコメントを出して、騒ぎを収めようとしていましたね。

いずれにせよ仮釈放をたくさんもらえたのは間違いありません。刑務所側もあんなメンドくさい人をサッサと出したかったでしょう。収監中も週刊誌のコラムやメルマガなどで好き勝手に放言していたようですから…

自白・否認が仮釈に関係するかの真実はわかりません。
面接の担当官は「関係する」と言っていましたが、反省させるためにワザと言っている可能性もあります。
まぁ、最後まで否認していいことはありませんよ。
ホリ◯モンならいざ知らず、一般人が仮釈放の面接の際に「否認」し続けていたら、心証は最悪、仮釈放は延期になるでしょうね。
仲間の受刑者の前では「オレは最後まで否認してやった」という受刑者もいましたが、無事仮釈放になったことを考えると、カッコつけてホラを吹いているだけだと思われます。ほとんどの受刑者は仮釈放が欲しいですから、否認なんかしませんよ。

「寄付や作業で仮釈放が変わるのか?」という質問については、過去の記事にてお答えしているのでそちらをお読みください。
by きりたんぽ (2016-09-27 23:08) 

きりたんぽ

クライヴさん、こんばんは。
コメントありがとうございます。

検察官や裁判官も「メンツばかり重んじる」人種ですから、検察の求刑に対して半分以下の判決が出ると、検察官は控訴するそうです。
だから裁判官も「検察官のメンツを潰さないよう」求刑の半分以下の判決はまず出さないんだそうです。
くだらん配慮、出来レースですな。
by きりたんぽ (2016-09-27 23:12) 

きりたんぽ

忍者福島さん、こんばんは。
コメントありがとうございます。

慰問や娯楽など楽しみは何が喜ばれるか?ですが、こればかりは人それぞれ違うので、答えるのが難しいです。
まぁ、娯楽といえる楽しみはTV、集会、囲碁・将棋、読書…くらいしかないんですよ(笑)。片手でも余る種類の少なさ!
余計な話ですが、ペペの慰問は私にとってはまったく興味が持てず、苦痛でした。
(一緒になって歌わせようとか、押しつけるのはキライでして…)

またコメントをお待ちしております。
いつもお読みくださり、感謝です。
by きりたんぽ (2016-09-27 23:18) 

めぐ

初めまして!
物凄く興味深いブログなのですが、月別で見ても最古記事に飛べません(;_;)
もし良ければ最古記事のURL教えて頂けますか?
by めぐ (2016-09-28 00:20) 

きりたんぽ

めぐさん、はじめまして。
お読みくださり、ありがとうございます。

いやぁ、最初の記事はだいぶ昔のことで、いま読み返すとあまりのヘタクソにこっ恥ずかしくなります。
ですから、本当は削除もしくは改変したいのですが、それもキリがないので・・・
正直、最初の頃の記事は読まないでいて欲しいなぁと思っています(笑)。
一応載せますが、ガッカリしないでください。
クレームも受け付けませんよ(笑)
「ある日突然逮捕されたら(1)」
http://kiritampo.blog.so-net.ne.jp/2015-01-28
になります。
またコメントをお待ちしております。
by きりたんぽ (2016-09-28 01:20) 

めぐ

ありがとうございますー!
お陰で楽しみが出来ました(^o^)♪
by めぐ (2016-09-29 11:08) 

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