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刑務所の医療(2)・・・念願のシャバの病院で治療する [医務・診察]

刑務所で具合が悪くなったら、どうなるか?という話を続けています。

いきなり医者の診察など、受けられません。すべては刑務官様の許可がないとダメ。

通常は、准看護師の資格を持つという刑務官様が診察して、薬を出してオシマイ。


医者の診察までたどり着くのは、けっこう大変なんです。

診察といっても、刑務所の中では、お粗末な検査と時代遅れの治療

「ここではできない」「シャバに出てから病院に行け」と、けんもほろろの対応です。
(前回の記事「刑務所の医療(1)・・・「診察室」にて怒鳴られる」をご覧ください)


ということは、本気で治療を希望するのなら、外の病院に行くしかない!

しかし、服役中に「外治療(外の病院で治療)」は、ホントにハードルが高いんです。

今回は、難関の「外治療」に運良く?、私が実際に行ったお話をご紹介します。


1.必死の説得で、シャバの病院へ!
懲役生活にもすっかり慣れ、シャバの雰囲気も忘れてしまったある日のことです。

朝起きて、明るい窓の方を見ると「ハエが飛びまくっている」んです。

「どーして刑務所の舎房にハエが発生するんだっ!」と、手で追い払おうとしたら…


ムシなんか、どこにもいないんです。

おかしいと思い、よーく見てみると、どうやら自分の目に問題があるようなんです。

明るい方を見ると、途端に黒い斑点が視界にグルグルして、うっとうしい!


昔、職場のジジイ上司が同じようなことを言っているのを思い出しました。

「何かハエが飛んでると思ったらさぁ、目の病気でね、手術したんだよ~」

病気!手術!!そして自分もジジイの仲間入り?


自分にとっては一大事ですが、このピンチをどうやって説明すればいいんだ!?

目にハエがたくさん飛んでます。診察と治療お願いします」って言うのか?

「オメェ、目じゃなくて、アタマの診察と治療が必要だろって怒られるのでは?


いくら具合が悪くても、医務の刑務官様が病気と認めてくれなければダメな世界。

症状を説明し、納得してもらって初めて、診察や治療に進むことができるのです。

目の視界の異常なんて、他人からわかるワケがない、どーすればいいのだ!


よりによって目の病気なんて! 「しばらく様子見ろ」で放置プレイだろうし…

ましてやマトモな治療が受けられるとは思えないし…

シャバに出る前に失明しちゃうのか?


人生どん底だというのに、刑務所で失明なんて最悪だ。何とか健康で出所したい!

必死の思いで、医務回診の際に刑務官様に症状を説明し、診察を懇願しました。

「どんどん悪くなっているんですっ!このままじゃ、失明しますっ!」


すると意外なことに「そうだな、一度診察してもらうか…」と、まさかの診察OK!

後日幸運にも、嘱託の眼科医が刑務所に来た際に、診察してもらえたのです。

「ん?網膜剥離かもしれないねぇ」


えぇっ!? モーマクハクリって、ボクサーが殴られ過ぎてなる、ヤバい病気じゃ?

ホントに失明しちゃうんじゃない!?

それを聞いた医務の刑務官様が、あわてて私に問い詰めてきました。


「オメェ、刑務作業で何かぶつけたり、ケガしてねぇか?正直に言え!

「作業では無事故です。何もないです」

「シャバでケンカとか、ボクシングとかしていなかったか?正直に言え!

「いやぁ、そんなコトしていませんねぇ」

「今なら懲罰にしねぇから、なっ?正直に言え!

「いや、ホントにシャバでも刑務所でも、目のトラブルはないです」

「ったく、治療に連れて行かねぇぞ!正直に言え!

「どれも身に覚えがないですっ!」


立派な病気なのに、何か自分が悪さをしたかのように尋ねるのが、刑務所らしい。

どーして警察の取り調べのような、自白の強要をさせるのか、まったくわかりません。

訴えられるとでも思っているのか?

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2.念願のシャバに出る!
網膜剥離と聞いて、医務の刑務官様は、ロコツに不機嫌な態度になりました。

「先生、コイツは外治療が必要になるんでしょうかねぇ?」

「そうね、ウチの病院に来てもらって、治療しましょう」


えっ、まさかの「外治療」? こんなにアッサリと治療受けられるのか!

久々のシャバに出られるチャンス!

病気は心配だが、短時間でもシャバに出られるとあって、コーフンで身体が震えました。


「チッ、メンドくせぇなぁ…」と刑務官様…

おいっ!病気なんだから、メンドくさいとか、本人に聞こえるように言うなよ!

私自身まったく予想していない形で、病院での治療と、シャバへの外出が決定です。


それから2週間後、「外治療」つまりシャバの病院へ出かける日がやって来ました。

ただ、病院に行く際は「一般の患者と重ならないよう」配慮が必要になります。

大きい病院では、午前と午後の診療の合間をねらい、診察・治療に出かけるんです。


私の場合、眼科の小さなクリニックだったため、行ったのは一般の患者がはけた夜間

夕食を食べ終えて、18時前から出発の準備に入ります。

刑務所では18時と言えば、フトン敷いて寝てもいい時間。完全な夜です。


そんな夜中に、刑務所を抜け出して、シャバに出られるなんてっ!

もう、コーフンして、指先の震えが止まりません

ですが、さすがに刑務所の囚人服のままでは外出しません


中学生が着てるようなダサい青のジャージ上下に着替えさせられます。

「おぉっ、シャバっぽい服を久しぶりに着たよ!」・・・こんなモンでも感動。

とは言うものの、しっかり手錠と腰縄はつけられます。・・・コレも久しぶり!



「オイ、サンダルに履き替えろ」・・・そこはシャバのクツではないのね…

「オイ、写真撮るぞ」・・・外出する度に毎回、写真撮影というのは驚いた…

万が一、逃走された時のために、正面、横の顔写真を撮っておくのです。


いよいよ、出発。久々のシャバの空気

しかし、私には3人も連行の刑務官様がついて来ます。これは規則なので仕方ない。

たった1人の受刑者の治療のために、仕事とはいえ3人も申し訳ないです……


目一杯、伸びをしたいところですが、手錠があるのでできません

外に出た喜びで叫びたいところですが、懲罰になるのでできません

それでも、この、何たる開放感!空気の味が違う!


が、すぐに門の前に横付けされた移送のクルマに押し込められます。

あれ?フツーのクルマじゃないか…移送のための護送車ではない!

1人だからでしょうか。まったくフツーのプリウスです。


せまい後部座席に男3人が座ります。刑務官様・私・刑務官様でサンドイッチ。

ぎゅうぎゅうですが、これも逃走防止で仕方ありません。

警察に逮捕された時と同じく、刑務所の移送でもこの座り方でした。


病院まで、たかが10分程度のドライブですが、もうテンション上がりっ放し。

「おぉっ!信号じゃないかっ!」

「久しぶりにコンビニを見たっ!」

若い女性が自転車乗ってるよっ!」

見るものすべてが新鮮で、いちいちツッコミたくなり、落ち着かないのです。


眼科のクリニックに着くと、まだ一般の患者の診療が終わらず、30分待ちという…

「ふざけるな! 早く帰らせろよ」そりゃ刑務官様はさっさと家に帰りたいですよね。

駐車場に停めた車中で、3人の刑務官様のイライラはMAXに達していましたが・・・


一方の私は、思いがけずシャバ滞在時間が延びたことで、テンションがMAX!

刑務官様2人に挟まれた車中から、周りの景色をこれでもかっというほど見ました。

「そんなにキョロキョロしなくても…」連行の刑務官様に苦笑されましたけどね。


こんな感じで、幸運にも外治療が認められ、シャバへ一瞬出ることができました。

あの感動ったら、今でも鮮明に思い出せますね~

治療の話ですか?そんなモン、つまらないので省略します。


ちなみにクリニックに入っても手錠は外してくれません

ホントに治療する時だけ、ちょっと手錠を外してくれただけでした。

看護師やスタッフのあのギョッとした目付きといったら、もう・・・


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マーチン・ターシロ・マサシ

数年前に風邪で内科に治療に行った際に女の受刑者とおぼしき人物に遭遇しました。はっきりとは見えませんでしたが、
手錠をつけたような状態でて二人の男が終始寄り添って診察室に入って行きました。瞬時にヤバイ雰囲気を感じました。
おまけに外に出ると駐車場に一人の男が車の外に出て待機してました。あきらかに尋常じゃない状況だと察知しました。
ちなみに、診察室に入って行った女性受刑者とおぼしき方は
しょぼくれた中高年女性で、とても大の男が三人のガードが必要なのかと違和感を感じました。
おそらく彼女も難関と言われる外治療を獲得出来た希有な方なのでしょうね。

by マーチン・ターシロ・マサシ (2016-05-22 23:38) 

クライヴ

飛蚊症ですか……
私はうまれつきで、かつ軽微なので当然あるものとして全然気にしてなかった(それどころか暇つぶしに眺めてた)んですが、後天的にかかると違和感を覚えるもんなんですね
後天的に見えた場合は刑務官様の仰せのように網膜剥離が疑われるのですが、きりたんぽさんの場合は大丈夫でしたか?
それにしても、長年隔離されて娑婆にでるとやはりウキウキしてしまうものなんですね……。幸か不幸か入った事がない身からするとなんとも不思議な気持ちです


by クライヴ (2016-05-23 01:35) 

きりたんぽ

マーチンさん、こんばんは
コメントをくださり、ありがとうございます。m(_ _)m

女性受刑者をシャバの病院で目撃するなんて、森でクマにバッタリ会うくらい珍しいことかと思われます。
何せ女性受刑者は男性と比べ1/10くらいの少数ですし、なかなか外治療には行かせてもらえません。

当然ですが、病院内も手錠ですから本人も目撃する方もイヤな気分になります。
その女性受刑者、外治療に行けたことは幸運ですが、大したことがなければいいのですが・・・
獄死は最悪です。
やはりシャバに出て、社会復帰して、何かしら貢献、還元するべきです。

またコメントをお待ちしています。
いつもお読みくださり、感謝です。
by きりたんぽ (2016-05-23 01:37) 

きりたんぽ

クライヴさん、こんばんは
コメントをくださり、ありがとうございます。

大丈夫ではなかったです(笑)。
その際、レーザーでしっかり治療しました。
シャバの病院に外治療で行けたのは、不幸中の幸いでしたね。

久しぶりにシャバに出ると、すべてが新鮮です。
冗談ではなく、空気の味まで違う気がします。
そして、街にあるあらゆるモノが色鮮やかに見えるんです。すべてが鮮やかで美しい。
モノクロの世界からカラーの世界に放り出された感覚でしたね。

またコメントをお待ちしています。
いつもお読みくださり、感謝です。

by きりたんぽ (2016-05-23 01:42) 

リュカ

こんにちは。
刑務所の外で治療してもらえることもあるのですね^^
びっくりしました。
失明は絶対嫌ですもん、治療出来て良かったですね。
by リュカ (2016-05-23 10:52) 

きりたんぽ

リュカさん、こんにちは
コメントをくださり、ありがとうございます。m(_ _)m

外治療を受けるのは、なかなかムズカシイです。
ハナから門前払いの態度である医務の刑務官にわかってもらえるような説明ができないとダメですね。
日本語力やコミュ力が試されます。
治療できてホントに良かったです。

またコメントをお待ちしています。
お読みくださりありがとうございます。
by きりたんぽ (2016-05-23 11:11) 

亀仙人 タカヨシ

本当に『これはヤバい!』と思わせる程の目で見える『物証』が無いとダメですし、それ以上に『先生』の匙加減一つで天国と地獄。
自分は両ひざに水がたまったんですけど、娑婆に出る事無く注射器でサクッと抜かれただけでした。(笑)
ガッカリしたのは言うまでもありません。(爆

by 亀仙人 タカヨシ (2016-05-23 15:06) 

まろん

きりたんぽさん、こんにちは(^^)
目の病気大丈夫でしたか?[あせあせ(飛び散る汗)]
そういった症状も刑務所特有のものですか?

例の知り合い、『ム所ダイエットに行ってきます!』と言って
刑務所に入り早4ヶ月、90キロの体重が75キロになったらしいです。
デカいし、内掃・営繕という作業なので食事も人より多いんですよね?
急激な体重減に驚きました(>_<)
by まろん (2016-05-23 15:47) 

きりたんぽ

亀仙人さん、こんにちは(^o^)
コメントをくださり、ありがとうございます。

その後、膝の具合は大丈夫でしょうか?
本人は症状に苦しんでいて「これなら病院に連れて行ってもらえるだろうし、連れて行かない方がオカシイだろ!?」と思っても、刑務所はそうはいかないんですよね・・・
おっしゃる通り、刑務官様が確認できる症状で「仕方ねぇ、病院に連れて行くか」と思ってくれないと、いくら具合が悪くても、シャバの病院には連れて行ってもらえません。それどころか刑務所内での治療すら受けられないこともしばしばです。

私も目の病気の時は焦りましたし、外治療を受けられるよう本気で祈っていました。
亀仙人さんも両膝に水がたまるという結構な症状なのに、水を抜くだけとは・・・
刑務所では、ホントに健康のありがたさ?ココでは病気になりたくねぇと心底思います。

またコメントをお待ちしています。
いつもお読みくださり、感謝です。
by きりたんぽ (2016-05-23 16:14) 

きりたんぽ

まろんさん、こんにちは(^o^)
コメントをくださり、ありがとうございます。m(_ _)m

ご心配いただき、恐縮です。
目の症状は刑務所にいたから起こったのではないようです(笑)。
網膜剥離に近いモノだったらしく、私くらいの年齢では外傷(殴られた、とか)がほとんどの原因らしいです。
ですから医務の刑務官様に「オメェ、殴り合いとかしたんだろ?」と暴行のあらぬ疑いまでかけられまして、否定するのに骨が折れました…

運よく外治療を受けられましたので、おかげさまで今は大丈夫です。あの場面で医務の刑務官様に申し出を却下され、放置されていたらと考えると、ゾッとしますね。

お知り合いの方ですが、夏場の内掃・営繕はやせると思いますよ~ 汗かきまくりでしょうから…
食事もA食と言って、座り作業よりも一日あたり300kcalほど多くなっております。
それでも体格の大きい人はやせるのがフツーです。
10~15kgやせるのは、珍しくありません。
ドンドンやせるので、心配になるくらいです。
(ダイエットで悩むシャバの人たちに教えたいですよ)

ダイエットができて喜ばしいハズなんですが、実は急激な体重減はうれしいことばかりではありません。
このことは7月あたりに記事に書こうと思っております。
というワケで、ネタばらしになるので回答はもうちょっとお待ちください。すみません。

またコメントをお待ちしています。
いつもお読みくださり、感謝です。
by きりたんぽ (2016-05-23 16:29) 

洗濯石鹸

はじめまして。おじゃまします。
たのしく、わかりやすくユーモア満載で
夢中で読みました。

私はけっこうイイ年齢ですが
若い頃、女子少年院に入った過去があります。


女子ですが皆、大体、野蛮な荒くれた性格の人が多かったです(笑)


まだ十代の女の子が
危険な言葉を喋ったりしてました(笑)
もちろん看守の居ない時に。


若さからか明るく元気に過ごしてた方でした。

これからも、貴方の素晴らしいブログ読まさせてください♪
by 洗濯石鹸 (2016-05-24 16:31) 

きりたんぽ

洗濯石鹸さん、はじめまして
コメントをくださり、ありがとうございます。

ブログをお読みくださり、うれしいです。
お褒めの言葉までいただき、恐縮です。
貴重な経験のお話までしてくださり、申し訳ない気持ちになります。性別は違えども、あのようなところを経験している方からのコメントは「同士」の気がして、グッときます。
洗濯石鹸さんのように、負の経験・記憶を明るく乗り越えられるようにしたいものです。

またコメントをお待ちしております。
今後ともお引き立てのほどよろしくお願いいたします。
by きりたんぽ (2016-05-26 00:37) 

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