しばらくの間
「刑務所でのクスリ事情」について、お話ししていました。
今回から、
また少しの間「具合が悪くなったら、どうなる?」話をさせてください。
今回は、
刑務所流カゼ予防、マスクあたりの話をご紹介したいと思います。
カゼをひいたら、熱を出したら、どうなるか?の話は、以前にご紹介しました。
(「
刑務所で具合が悪くなったら(3)・・・熱を出したら、どうなるの?」)
カゼ薬程度ならばもらえますが、それ以上のクスリや診察はめったにありません。
それならば「カゼ予防」をするしかないんですが、それがちょっとオカシイんです。
1.刑務所流の理不尽過ぎるカゼ予防
カゼならまだしも、工場全体で
インフルエンザが流行した年もありました。
いっそのこと同時に半数以上が感染して「学級閉鎖」になればいいのにと思いましたが…
オッサンだからか、全員にも、同時にも、うつるほどではないのです。
刑務所で「学級閉鎖」があるのかどうかはわかりませんが、
結局サボれず。
しかし、さすがに刑務所もあわてたようで
「インフルエンザ対策」をすると宣言。
「刑務所のインフルエンザ対策って何だ?」と期待しましたが、ショボかった!
A.全員にマスクを配り、常にマスク着用。
B.手洗いのたびにアルコール消毒をする。
以上、コレだけ。どこでもやっていることで、ガッカリしました。
ところが、やはり刑務所。
指示がズレていました。
①マスクは1日1枚支給
②マスクは24時間着用のこと
③夜6時以降は寝ること
まず①。
前日のマスクを朝、刑務官様の前で外し、捨てること。
それを刑務官様が確認して、新しいマスクと交換。
そんなメンドくさいことを朝からやっていたら、作業はとどこおり、大混乱!
マスクのチェックをしてもらうため、
朝の工場は長蛇の列となってしまい・・・
イラついた刑務官様は
「自分たちで確認、配布しろ!」と怒鳴り出す始末。
昨日は「マスクをなくしたら連行→懲罰。ちゃんと確認するぞ」と言っていたクセに!
そして②。
「24時間マスクは着用」って、どう考えてもオカシイ。
ハズしていいのは朝夕の点検(点呼)の時と、食事の時だけ。
「ん?というコトは、寝ている時もマスクか?」
やはり
「独居でも雑居でも、寝る時もマスクは着用」との理不尽な指示でして…
雑居ならばまだわかるけれど、独居でマスクして寝るって、意味あるのか?
当然、懲役たちには不評で、
翌日から刑務官様に苦情が殺到しました。
さらに③。
刑務所の就寝時間は夜9時。
これでも十分早いのに、6時に寝ろって?
「インフルエンザがこれ以上広がらないための、対策である」との説明。
はぁ?
「感染予防のため、受刑者は夜6時になったら、就寝するように」と指示。
はぁ?
いくら刑務所とは言え、やり過ぎ、理不尽じゃないか!?
「懲役とは、寝る時以外は自由がない」なんて言いますが、
寝る時まで制限かよ!
しかし、
この理不尽は意外にもアッサリ終了してしまうんです。
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2.受刑者の健康よりカネが大事
6時に寝ろって、寝ればインフルエンザ予防できるのか?免疫力アップするのか?
平日の夕食は5時。で、寝るのが6時じゃ、
まさにメシ食って寝るだけ。
夜6時に寝ると、起床時間が朝の6時半なので、12時間以上も寝ていろってか!
寝る時間の繰り上げもマスク同様、
「あまりにヒドイ」と苦情が殺到しました。
が、刑務官様は
「刑務所が決めたことだから守れ」としか言いません。
ひどい刑務官様になると
「オメェらは懲役なんだよ、言うこと聞け!」と一喝。
ところが、この①~③の指示は、
わずか1週間で終了となったんです。
「たまには文句を言ってみるもんだ。さすがに寝る時までマスクはないだろ」
と、感心していたら、
マスクの配布自体が突然無くなってしまいました。
インフルエンザはまだまだ流行しているのに、オカシイ・・・
当時、仲良くしていた若手の刑務官様に探りを入れたところ、意外な事情が判明。
「実は、毎日1枚ずつマスクを配る予算が確保できないんだよ…」
オイオイ、カネがないからアッサリ中止ですかい?
まぁ、
受刑者の健康より、予算の方が優先されますよね・・・しょせん受刑者。
そんなワケで、
なし崩し的に「夜6時に就寝」ルールも消滅。
「助かった!」全員でホッとしたものの、これでいいのかという想いも消えず。
そして
手洗い時のアルコール消毒も「厳格に制限」されてしまったのです。
手洗いというカゼ予防に一番大事な部分をやめちゃうとは、
やる気ねぇな…
昼食前の手洗い時のみ。
一日にたった1回だけのアルコール消毒。大幅ダウンです。
わざわざ
刑務官様の監視の前で、ワンプッシュ、という念の入れよう。
コレも予算の問題か?コレくらいどうにかならんのか、と思っていたら・・・
同じ作業班の
「ちょっとオツムのユルイ」Sさんが驚きの証言!
S
「あのアルコール消毒液ってさぁ、ウマいよね」
私
「えっ?ウマいって、味がですか?」
S
「ほら、ほんのり香りをつけてある上に、アルコールじゃん?」
私
「まさか、飲んでいるんですかっ?」
S
「飲むだけの量はさすがに取れないし、オヤジにバレるよ~」
私
「じゃあ、ナメているとか?」
S
「そうそう、3~4回こっそりプッシュしてさぁ」
私
「それを、まさか!?」
S
「バレないって!やってみぃ」(手を口元に当て、舌を出し、ペローン!)
私
「うっ!・・・(汚いだろ!このオッサン)」
スプレー式の消毒用アルコールをたくさん取って、ナメる。
それをウマいという、イカレた受刑者。
ついていけません。
たしかに以前の記事で、アル中の受刑者が消毒液を飲んで懲罰の話をご紹介しました。
(「
刑務所では何がツラいのか(2)・・・酒の代わりに飲んだモノ」をどうぞ)
Sさんは、アル中ではない。そんなヤツまで飲んで、いやナメている刑務所って所は!
Sさんだけでなく、同じことをやっていたのは、相当数いたのかもしれません。
だからアルコール消毒液の減りが異常に速かったというのか?
で、
予算不足となり、消毒液の使用を大幅に制限されるって、何がしたいんだ!?
本末転倒、結局は自分のクビを絞めるという、受刑者のお約束。
マスクにしろ、消毒液にしろ
「本気で感染予防する気があるのか」と疑います。
ちなみに「使い捨てマスク」ですが、刑務所によって対応が違いまして・・・
上のように「官からの配布」しかない所、自費で購入できる所、まちまち。
購入できるところは、制限はあるものの、あっさり買えちゃいます。
カゼやインフルエンザが広がるのが怖い雑居では、必ず買わされる一つです。
もっとも
カゼ予防のためにマスクを買う懲役たちはほとんどいません。
以前の記事で話したように
「防寒のため」マスクを買っています。
真冬でも暖房ナシ、すきま風が入り放題の古い建物の刑務所では死活問題レベル。
マスクをしていると、していないでは、明らかに寒さが違います。
寒さをしのぐのにマスクをするって、ミジメな世界です・・・
次回は「雑居で具合が悪くなると、みな共倒れ」のお話をする予定です。
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9は無いのでしょうか?
by お名前(必須) (2016-04-19 19:21)
3月20日にすでにアップさせていただいております。よろしければ、ご覧下さいませ。
by きりたんぽ (2016-04-19 19:30)