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刑務所ではクスリはもらえるのか?(7)・・・インキン、鼻炎の薬の使い方 [医務・診察]

刑務所でも「ちゃんとクスリはもらえるのか?」というお話を続けています。

前回は、汚いですが「水虫薬」についてご紹介しました。
(「刑務所ではクスリはもらえるのか?(6)・・・水虫とハゲは同じ薬!?」)

刑務所の三大疾病:①水虫 ②しもやけ ③便秘 ですが、水虫は手ごわい。


刑務所の「水虫薬」は効かないので、うつったら最後。出所まで絶対に治りません

今回はそんな「効かないクスリ」を使う懲役たちの様子をご紹介します。

汚い話ばかりですが、ちょっとガマンしてお付き合いくださいませ。


1.夏の風物詩「整列股間まさぐり」
毎年暑くなってくると、刑務所で困るのが汗・体臭

何せ、真夏の時期でも入浴は週3回

クサい、ベトつく、くらいで済めば良いのですが、刑務所は甘くない。


ハッキリ言って、不潔なカラダです。

水虫ほどではないものの「いんきんたむし」にも悩まされます。

そりゃ真夏にロクに風呂も入らず、オッサンたちが密集していたら、うつりますわ。


「刑務所に来ると、性病以外の病気はうつされそうだな・・・」

そのうち結核でもうつされるんじゃないかと、ヒヤヒヤしていました。

実際、過去には受刑者の結核が広がって大変な騒ぎになった刑務所もあります。


水虫は5割、いんきんたむしは2割の受刑者が喰らっている印象を受けます。

股間が赤くなり、ヒドいカユミに懲役作業なんか集中できません。

いんきんたむしも水虫と同じクスリを渡されますが、コチラも効かない!


塗り薬は医務の刑務官様からその場、手渡しでもらい、名前を書いて持ち帰ります。

ここまでは他のクスリと同じパターンですが、ここから先がビックリした!

「インキン」の懲役たちは、クスリをその場で塗っていくのです。


刑務所なので、自席や人目につかない所で塗るのはダメ。懲罰になっちゃいます。

「クスリを塗る定位置」も、ちゃんと決められています

刑務官様の目の届く所「工場の正面・前列通路」つまり、一番目立つ位置です。


ここで「インキン仲間」が一列に並び、クスリを塗っていくんですが・・・

工場着ズボンをおろし、パンツを下げ、股間にクスリを塗っていきます

全員に見せつけるかのように、何人もが堂々と股間をまさぐる姿は圧巻


別にこの場で塗らなくてもいいんです。舎房に戻ってからでも全然OK

でも「インキン仲間」は、その場で見せつけるように塗っていくんですよねぇ。

それほどまでカユイのか? 少しでも作業をサボりたいのか?


私が思うに、ストレス解消で「整列股間まさぐり」をやっていますね

わき見ひとつで怒鳴られ、うっかりすれば連行される「規律キビシイ作業中の工場」

そんな環境で、刑務官様の目の前、堂々と股間をまさぐるのは、ある種の快感!


数少ない「刑務官様をおちょくる」機会ですから…


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2.クスリは溜めてはいけない
刑務所ではクスリをもらうまでが大変ですが、もらった後もメンドウ。

飲み薬は「カラ」を返却しないとダメ。ゴミ箱に捨てると怒られます

カラをなくしたり、舎房に溜め込んだりしていると、懲罰になることもあるんです。


塗り薬はこのワナに引っかかるヤツが、多いんです。

先週もらった塗り薬が少し残っているけれど、またもらう。よくあるパターンです。

ついつい古い方を使い切らずに、そのまま放置しておくこともよくあるパターンです。


しかし、刑務所ではコレが反則行為

抜き打ちで「捜検」という荷物検査の際、塗り薬をいくつも持っていると、アウト

呼び出しを喰らい「どーして、いくつも塗り薬を溜め込んでいるんだ」と怒られます。


うっかり、ささいなミスですが、刑務所では許してくれないんですね~

「悪いことに使ってるんだろ」と散々勘ぐられます。どんな悪さができるんだよ!

刑務官様に嫌われているヤツですと、ホントに懲罰送りになるんです。ヤバい!


3.鼻炎薬を欲しがるワケ
刑務所ではなかなかクスリをもらえないですが、容易にもらえるモノもあります。

カゼ薬、シップ、腰痛の塗り薬、そして「鼻炎薬」

意外ですが「鼻炎で困っている」と申し出ると、割とアッサリ処方されます。


鼻炎の原因も、花粉症、ハウスダストなどのアレルギーと様々で、言ったもん勝ち

刑務官様もいちいち診断するのがメンドウらしく「クスリ飲んどけ」でオシマイ

クスリを出すのを渋る刑務所にしては、ホント珍しい現象なんです。


懲役の先輩Sさんも、一年中「鼻炎薬」を飲んでいます。

「Sさん、一年中鼻炎って、大変ですね」

S「いや、自分は鼻炎じゃねぇよ」

「えぇっ?鼻炎じゃないのに、鼻炎薬飲んでいるんですか?」

S「ハハハっ、鼻炎で鼻炎薬を飲んでいるのは半分くらいじゃねぇの」

「どういうことっすか?」

S「ここの鼻炎薬はさぁ、飲むと副作用で眠くなるのよ」

「あぁ、古いタイプの鼻炎薬なんですね」

S「だから夜は睡眠薬代わりにちょうどいいのよ」

「鼻炎じゃなくて睡眠薬として飲んでいるんすか!」

S「それに昼もちょっと眠いから、退屈な作業がラクなのよ」

「ボーッとしている方が時間が経つのが速い、っていうヤツですね」

S「オメェもさ、鼻炎って言えばクスリもらえるから、飲めば?」

「はぁ・・・」


なんと、鼻炎薬を睡眠薬代わりに飲んでいたとは・・・

まさに懲役たちの「生活の知恵」恐るべし。

調べると刑務所の鼻炎薬は古いタイプの抗ヒスタミン薬で、眠くなるらしい。


よく思いつくし、バレたら懲罰なアブナイことをさせるわ。

それにしても、どこからこういう悪知恵を仕入れるんでしょうかね?

ちなみに、刑務所に行って数少ない「良かったこと」の一つが鼻炎がらみの花粉症


あれほどツラかった花粉症が、かなり軽減されたんです!

「花粉症が軽くなりました!」の喜びの声は、私だけではなく数人いましたね。

汚い環境に置かれ、低栄養状態、免疫もフル稼働で、花粉症も減退なんですかね?


体質をも変えてしまう「刑務所の環境」、やはり恐るべし。



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