刑務所の夏④・・・懲罰覚悟！懲役たちの「夏のしのぎ方」

「刑務所の夏って、ホントに暑いんですよ！」というのをわかって欲しくて

数回にわたって、「刑務所での夏の過ごし方」について、お話ししています。

クソ暑い夏に対して、懲役たちは「なす術なし」でやられっぱなしなんですが・・・


それでも、懲役たちは「ムダな抵抗」「焼け石に水」的な、アホな策を講じます。

今回は、そんな裏ワザ的「夏のしのぎ方」をご紹介します。

ちなみに、どれもバレたら一発で懲罰ですので、良い子はマネしないでね。


ちなみに前回は、少な過ぎる「夏場のフロ」と、ヒドすぎる「水浴び」について

「刑務所の夏③・・・夏場の風呂「頼むから、水浴びさせてくれよ！」」

にて、詳しくお話ししましたので、ぜひご覧ください。


9．西日を浴び、汗をかいての夕食
刑務所の夏、休日の午後４時。

まだ日は高く、ギラギラとした西日が、カーテンのない舎房にモロに差し込みます。

その浴びたくもない日差しを、ロコツに浴びながら、もう「夕食」を食べます。


「入院患者でも、ジジイでも、午後４時なんかにメシ食わねーよ」

そう文句を言いながら、仕方なくハシを運ぶんですが・・・

メシを食い始めると、汗がドッと噴き出してきます。


「腹減っているのに食欲がわかねぇ」

これを夏バテと言うんでしょうか？メシが一向に進みません。

クソ暑い夏の日です。冷たいそうめんに、冷やしトマト、サッパリと行きたいですが…


実際のメニューは、ケンカ売ってんのか？と言うほど季節感のないモノ。

暑苦しい麦メシに、パサつく焼き魚、かぼちゃの煮物、と完全に冬のメニューです。

こんな苦行のようなメシを前にして、懲役たちは思うのでした。


「どーして、くそマズいメシを、汗かきながら食わないといけないんだ！」

「自分で工夫しないと、刑務所の夏は乗り切れない」

「なりふり構わず、涼んでやる」


これからご紹介する「刑務所の暑い夏を乗り切る方法」は懲役たちの努力のたまもの

汗と涙なしには語れませんが、しょせんすべて「反則行為」で

バレたら、即、連行⇒懲罰ですので、マネしないでくださいね。


10．どうすれば涼しくなるか？
工場であれば、作業で気がまぎれるうえに、扇風機の風をそこそこ浴びられます。

フロや水浴びをできる日も多く、救いがあるのですが、休日がヤバい。

一日中、温室のような所にブチ込まれ、フロはナシ、逃げ場がない・・・


冷房もなし、風通しの悪い部屋、カーテンなしの直射日光、と責められっ放し。

とっくに夏バテにはなっていますが、このままでは倒れてしまう・・・

なんとか、自分の力で涼しくして、暑さをしのがないとヤバいわ！


しかし、こちらの武器は、雑居は小さな扇風機、独居はうちわだけです。

タオルを水にぬらして、首にぶら下げておきたいのですが、それもダメ。

もう、「懲罰覚悟」でなんとしても涼んでやろうと、だんだんと大胆になります。


レベル１：やたら蛇口のところへ行く
舎房の中には、洗面のための水道があるので、勢いよく流しまくります。

ほんの気持ち冷たくなった頃を見計らって、腕までの手洗い

そしてひたすら洗顔


つまり、全身はムリなので、顔と腕だけの水浴びをします。

やり過ぎると、巡回の刑務官様に見つかり、怒られるのがメンドくさい

「水道のムダづかいをするな！」

「立ってないで座っていろ！」


そうなんです。刑務所では、部屋の中を長時間立っているだけで怒られるんです。

水不足？節水？そんなことオレの知ったこっちゃねぇ！

なりふり構わず、プチ水浴びを繰り返しますが、これは序の口、カワイイもんです。

上級者となると、反則行為と言うより、コントになります(笑)。


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レベル２：シャツをビショビショに
濡らして、風を浴びれば、どんなに暑い日でも、多少は涼しさを感じられるもの。

メチャクチャ汗をかいたフリをして、ハジメからシャツを濡らしてしまえ！

このような考えになれば、懲役の「中級レベル」に到達。


朝からシャツを水でビショビショにさせ、ピッタリと肌にはりつきます。

薄汚れた白いシャツは、肌が透け、オッサンなのでセクシーではなくキモい。

濡れていると不愉快なものですが、暑さを少しでも和らげたい気持ちが勝ります。


優遇区分が２類（2～3年無事故無違反だとなれる）であれば、もう一つ武器が！

電池式のヒゲ剃り用のローションが購入できるのですが、これが使える！

スースーする成分が入っており、これを首や腕にぬりまくるのです。


ホント、使える武器が少なくて、原始的というか小学生みたいなことをやってますが

コレはそこそこ効果があり、刑務官様にも注意を受けにくい傾向があり、お手軽。

しかし、シャツは濡らしていいですが、パンツはダメです。

パンツは、涼しくない上、不快なだけ


レベル３：頭から水をかぶる
懲役初心者は、見つかって懲罰になるのを恐れて、腕と顔しか水を浴びません。

洗顔、手洗いはサッパリして、多少涼しくはなりますが、やはり効果が小さい。

できれば、全身水浴びして、涼しくなりたいものです。


そこで、懲役の上級者は考えた。

頭から水浴びすれば、だいぶ涼しくなるんじゃないか？

さすがに全身はバレてしまい、ムリだけれど、頭ならイケるだろう？


顔を洗っているフリをして、頭を洗い、水をかぶれば、サッパリするハズ！

が、涼しいけれど、巡回の刑務官に見つかる確率が高く、かなり危険。

見つかって、洗髪がバレれば、即連行の一発でアウトの「懲罰」


そこで、懲役上級者はまた考えた。

巡回の刑務官はおよそ15分に1回しか視察に来ないから、去ったら即実行。

首を傾けて、視察の窓の方をチラチラと見ながら、洗顔のフリをすればOK


もし、シャンプーしている最中に、刑務官様が巡回に来たら？

そんな時に役立つのがボウズ頭。シャンプーしても泡立たないのである。

独居であれば、真後ろにある便器にそっと座っておけばいいのだ。


遠目から見ると、頭はシャンプーの最中には全く見えないし、

便器に座っていれば、用を足しているにしか見えず、とても自然な感じ。

ボウズ頭の懲役が、ひっそりと便器に座っている、風景に溶け込んでいるのだ。


というワケで、巡回のサイクルを見極めながら、慎重にかつ大胆に

シャンプーしたり、頭から水を浴び続けたりして、サッパリと冷やすのだ。

見つかりそうになったことはあるが、バレたことは一度もない(笑)。


ハイリスクなのでおススメはできないが、涼む効果は高かった。

しかし、これは自分を冷やしているだけで、舎房はまったく暑いままだ。

どうにかして、少しでも舎房を涼しくできないのか？


次回は、舎房を涼しくする「ムダな」裏ワザをご紹介します。

バレたらどうなるか？

刑務所でアイスが食えるというのはホントか？その辺のお話をします。



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タグ：夏 暑さ対策

コメント 5

初めまして。
自分は黒羽で約３年、受刑生活を経験しました。
在管中に旧監獄法から現行法に移行という歴史的な出来事に立ち会っていますので、きりたんぽ様より以前になるでしょうか。
拝読していますと細かい違いはあれど懐かしきことの数々、あの頃辛かったことも、いい思い出(？)として甦ってきます。
私は「中央計算」という、主に全受刑者の日々の報奨金を計算する部署に配役されていました。
パソコンを使うので、私のシャバでの仕事経験が評価されたのだと思います。ラッキーでした。
報奨金計算の他に、毎日の人の移動(入出所、工場の移動、入病、取り調べ、懲罰など)の管理もしていましたので、田○ま○し氏が入ってきたこともリアルに知ることが出来ましたよ。移動、交談も自由でしたし。
特殊な部署でしたが、生産工場内の一角にありましたので作業以外の行動は一緒でした。
中央計算にいる者でしか知り得ないことが沢山あり、そのような情報を周りに知られない、聞かれないために、中央計算の者は基本的に独居でした。配役されて数ヶ月は、同じ中央計算の者と二名房でしたが。この期間は辛かったですね。
中央計算にいる、おまけに寮舎の配食係もしていたので、いろいろな者から情報やヅケを要求されて面倒でしたが、それ故に特別扱いされ、イジメや嫌がらせを受けることもなく、受刑生活の半分以上は独居でしたので快適に過ごせたほうだと思います。
オヤジのヅケもよかったので多少のことは目をつぶってもらえましたし、今思えば辛い刑務所暮らしの中でも恵まれていたかと思います。
元受刑者ということで辛いこともありましたが、今は派遣ではありますが仕事をし、彼女もいます。自分の過去を知ったら彼女なんて一生出来ないと思っていましたが、受け入れてもらえました。

これからもUPされることを楽しみにしています。
by 1852番 (2015-08-14 09:14) 

1852番さん、はじめまして

コメントありがとうございました。
経験者しか知り得ない、詳細な分かち合いをしていただき、本当に嬉しかったです。
中央計算のウワサは聞いておりましたが、実際にやっていた人に会ったことがなく、新鮮で興味深いお話でした。
中央計算に配役されるのは「エリート中のエリート」と言われますから、1852番さんはシャバでさぞかしご活躍されていた方なのでしょう。

私も一時期計算工をやっていましたので、少しは自由と面倒とその両方がわかるつもりです。
もめ事の仲裁や、古株への配慮など、メンドくさいことばかりで、うんざりでした。
配食係も長いことやっていましたので、ヅケ盛り要求はとにかくうっとうしかった！自分は恨まれないように、基本全部受けるか、全部断るか、という方針でやっていました。
立会いのオヤジにヅケ盛りを疑われて、口論となり、引っ張られそうになったことは何回もあります。よく無事だったと、自分でも思います。
ヅケ盛りを断って、嫌がらせされたことも何度もあります。
懲罰にならなかったのが、不思議なくらいです(笑)。

私は雑居、独居ともに生活しました。どちらがいいかは判断が難しいところですが、二人独居だけはダメだと思います。そんな二人独居まで経験されているワケですから、本当に「濃い」受刑生活でしたね。お疲れさまでした。

出所してから、前科者に対する社会の厳しさを痛感しております。贖罪と反省は忘れてはいけませんが、卑屈になることなく生きていきたいものです。
1852番さんが、現在お仕事にも恵まれ、充実した生活を送られているのは、私をはじめとする出所した元受刑者にとって希望となります。これからも幸せになって、私達に希望の光を与えてください。

ヘボブログですが、今後ともお引き立てのほどよろしくお願いいたします。またお時間ある時に、ご指摘などコメントをいただければ幸いです。
ありがとうございました。
by きりたんぽ (2015-08-14 16:06) 

初めまして。
昨日黒羽矯正展に行って来ました。
所内見学に参加し、麦飯カレーやコッペパンを買って食べましたが結構おいしかったです。
興味が出て来ましたので色々調べています。
そこで良かったら教えていただくとありがたいです。
上のブログやコメントに出て来る特殊な工場である「中央計算工場」と「図書工場」はどの生産工場に付属していたのでしょうか。
旧監獄法時代の工場名（13工場とか14工場）で教えていただけませんでしょうか。
因みに昨日第３浴場も見学の一部になっていたのですが、この浴場を使う工場名一覧の中に11、12工場と並んで中計図書工場とありましたから（他に9、10辺りもあったかと思います）これらの工場に付随していたと思われますが、現在の11、12工場は旧監獄法時代は13、14工場だったと思われますので(作っている製品であるボールペンやフルーツキャップがそれぞれ対応する）、13、14工場には付随していなかったと思われます。なぜなら昨日11、12工場も見学出来ましたが、ここには中央計算や図書の工場は付属していなかったからです。もしかしたら昔の11、12工場辺りに付随していたのでしょうか（その場合は昔の11、12工場が何を作っていたのかも併せて教えていただくとありがたいです）。
他の経験者の方でも覚えていらっしゃる方がいたらよろしくお願いします。


by 黒羽刑務所に興味持つ者 (2016-11-24 13:36) 

中央計算工場も図書工場も「独立した一つの工場」の扱いです。
どこかの生産工場に附属しているわけではないです。
これらの工場は、生産工場と比べると人数が少ないので、フロや運動などの際は他の工場と一緒に行うことが多いのです。
by きりたんぽ (2016-11-24 21:17) 

迅速な回答ありがとうございます。
聞き方が悪くて済みません。
中央計算工場も図書工場も独立した工場であることはわかるのですが、大きな工場ではないので作業場所としてはどこかの生産工場の一角にあるのかと思います（上のコメント４でもそう書かれています）。そしてフロや運動などはその生産工場と一緒に行うかと思うのですが、その組み合わせを教えていただければと思います。
11工場－中央計算工場、12工場－図書工場
といった感じです。
（中央計算工場や図書工場は工場として一つの建物を持っている訳ではないのでどの工場と一緒になっているのかが非常に気になってしまったのです。単なる興味で申し訳ないですが）
by 黒羽刑務所に興味持つ者 (2016-11-25 13:30)