刑務所の食事⑨・・・シャバではやってはいけない「まぜメシ」の話

「刑務所の食事」についてシリーズでお話ししております。


近頃の「刑務所のメシは結構ウマいらしい」と言うデマが気に入らないんですよ。

マズいのをガマンして食べてきたのに

「ウマい、意外と豪華」とか言われてしまうと、なんだかナメられた気分です。


さらに、元受刑者の有名人が「ウマい！豪華！」とアオっているのを

一般の方たちは、真に受けてしまい

「受刑者のくせに生意気だ！」と、お怒りを買われたら、不本意なんです。


イヤイヤ、そんなコトないんですよ。

当たり前のように、粗末で、マズくて

毎日食べることに苦労しているんですよ、というのを伝えたいと思います。


また、刑務所の食事がオイシクない理由について

「刑務所の食事②・・・ムショめしのウワサに物申す・ホリ◯モンのウソ」

以前の記事にて、まとめています。ぜひご覧ください。


9．「まぜメシ」という文化
刑務所の食事の特徴はイロイロあるけれど、刑務所の独特のモノとは何か考えた・・・

刑務所では当たり前のようにやるが

シャバでは、とくに人前ではならない

ありましたよ！

それは「まぜメシ」


まぜゴハンのことではないですよ。

これから話すことは、お家で一人でコッソリ、マネしてみてください。

いいですか、繰り返し言います。

決して人前ではやってはいけません。


いかに限られたメニューをおいしく？

マズいオカズをおいしく食べるか？

懲役を乗り切る「生活の知恵」です


以前、ムショめしは、オカズの量に対して麦メシの量が多くて、持て余してしまう

いかに、少ないオカズで麦メシを食い切るかが、日々勝負であり

懲役の腕の見せ所だとお話ししました。


先に麦メシをたくさん食べる？ オカズを麦メシの上にかける？

たしかに、麦メシを確実に食い切る方法ですが、これじゃあ、シャバでもやります。

汁物に麦メシをブチ込んでしまう？ いや、これは基本中の基本ワザです。


もうちょっと、ひとヒネリが欲しい！

たまに出るデザートを麦メシにブチ込んで食べるのです。

はぁ？でしょう？ 私も刑務所に行くまで、この発想はまったくありませんでした。


デザートを麦メシにブチ込む、って？


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デザートを麦メシにブチ込むことで、持て余す麦メシを食い切るとは？

まず、刑務所では月に1～2回程度、デザートが出ます。

ゼリーやプリンといった、オッサンたちには似合わないモノです。

（ちなみに、これとは別に、果物やヨーグルトは週１回程度出ます）


スゲェ！刑務所やるじゃん！

シャバみたいに、デザートあるんだ！と思ったでしょう？

イヤイヤ、甘いです。刑務所はそんな甘いところではありません。


刑務所の食事は、オカズは、朝は２品、昼・夜は３品ずつ出ることになっています。

オカズ３品と言っても、主役級が３品というワケではありません。

どういうことかと言うと、とんかつ、焼き魚、炒め物、とかの３品ではない。


肉じゃが、おひたし、漬け物、といった主役・脇役・チョイ役の３品であり

主役が１品しかないので、どうしても迫力不足、質素、お粗末に見えます。

それでも、脇役の１品が抜けてしまうと、麦メシを食い切るのに苦労します。


ここで、皆さんにお尋ねしたいことがあります。

シャバでは、果物やデザートというのはオカズの1品に含めないですよね？

ところが、刑務所では違うんです。すべての刑務所ではありませんが、

デザートをオカズの一品に含めます。


だから、デザートが出る時はウレシイのだけれども、

その分オカズも一品減らされるという

何とも納得のいかないキビシイ処置


刑務所は「デザートもオカズの１品」という、よくわからない計算をするんです。

デザートだよ！と上げておいて、落とす、ほとんど、おしおきですよね。

ただでさえ、少ないオカズで、多い麦メシを持て余して、四苦八苦しているのに！


そこで、懲役たちは考えた。

「ウマいデザートと一緒に麦メシを食べたらどうか？」

「デザートと麦メシを混ぜちゃえば、オイシク食べられるだろう？」


どうですか、この発想！

プリンやゼリーを麦メシの中にブチ込んで、グチャグチャに混ぜて、一緒に食う。

ここまでは、話についてこられますか？ もうお怒りですか？(笑)


私が刑務所に入って、カルチャーショックを受けたうちの一つですが

「これをやってしまったら、人として尊厳を失う」

と、恐れ、軽蔑し、しばらくの間マネしませんでした。


ところが、懲役たちの付き合い上、避けては通れなくなってきました。

「こんなもん、絶対マズいに決まっている。そもそもキモい！」

と、内心バカにして、嫌々、しぶしぶながらやってみました。


ところが、結構イケル！

マズい麦メシをおいしく食べられ、かつ意外と合うものが多い。

特に合うモノで、人気が高く、「まぜるのが当然」だったモノがあります。


それは「コーヒーゼリー」でした

麦メシを半分以下残しておき、物相（もっそう、ご飯茶わんのこと）に、

コーヒーゼリーをブチ込むのです。


コーヒーゼリーですから、あの付け合わせの小さなミルクもかけ

スプーンでグチャグチャにしながら、

よーく麦メシと混ぜ合わせます。


コーヒーゼリーの食感と味、

ミルクのまろやかさが

麦メシに味わいをもたらし、かなりウマくなるのです。


持て余していた麦メシも、スルスルとおいしく食べることができ

いつの間にか、コーヒーゼリーが出た時は、当たり前のように混ぜていました。

あんなに嫌がっていた「まぜメシ」を、後輩に勧めるまでになりました。


「おいしいから、ぜひお試しください！」とは、言いませんが、

これはアリだな、と思いました。

しかし、女性の前や、公共の場では、決してマネしない方がいいと思います。


嫌われたり、人格を疑われても、私は一切の責任を持てません。

シャバでは、わざわざこんなことする人いないでしょうからね・・・

どうか、自宅で、一人の時にコッソリと、お試しいただくようお願いします。


ちなみに、色々試してみましたが・・・

①コーヒーゼリー ＞ ②プリン ＞ ③果汁ゼリー ＞ ④ヨーグルト

の順にウマかったと思います。


ていうか、ヨーグルトと果汁ゼリーは、正直キビシイ。

刑務所にいた時でさえ、ウマいとは思わなかったですから。

見た目も、残飯のようで、踏み込んではいけない領域の気がします。


もし、彼女・彼氏と別れたい、という時に目の前でやったら

結構効き目があるんじゃないか？と思っています。

揉めることなく、向こうからひっそりと、あなたのもとを去ってくれるでしょう。


次回は、「まぜメシ」の続編です。

コンビネーションの妙？二つの融合による化学反応？をご紹介します。

キワモノ、ゲテモノ、って言わないでね・・・



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タグ：まぜメシ 食事