前回は、ようやく仮釈放で出所をし、保護観察所へ面接に行くお話をしました。
今回は引き続き、出所後のお話。
一番困る「就職」のお話をしましょう。
「前科者にマトモな就職あるの？」
とにかく、コレが最大の関心で、半分あきらめの気持ちだと思います。
まだ私も、結論を出すところまでは至っていないですが、キビシイです。
出所後は困ったことがあれば、
まずは保護観察所に相談しなさい
と言うんで、
期待していないですけど、この際泣きついてみました（笑）。
というワケで、
保護観察所に「就職」について相談しに？ゴネて？きました。
保護観察所については、前回の記事
「
仮釈放を無事にもらうためには⑦・・・出所したら保護観察所へ直行だ」
に、詳しく説明しましたので、ぜひ参考にして下さい。
1．保護観察所に泣きついてみた
ようやくシャバに出てはみたものの、楽しかったのはほんの数日。
もう、現実に直面して、焦ってきます。
「おカネがない！」
刑務所から、給料に当たる
「作業報奨金」を何年ももらってはいたものの・・・
月給数千円の世界ですから、悲しいくらいの金額にしかなりませんでした。
みすぼらしくないよう服を買い替え、ケータイを買い替え、
もう底をつきました。
1ヶ月、いや1週間もすれば、現実に直面し、言いようのない焦りを感じます。
「シャバは何でも、やたらに、カネがかかる」ということに気づくのです。
刑務所にしばらくいると、この当たり前のことをすっかり忘れてしまっているのです。
「とりあえず、当座をしのぐカネを稼がなければ・・・」
でも、まだ働きたくない、だらだらとシャバに慣れたい、と言うのが本音です。
なんとか、働かず、結論を先延ばしにして、ノンビリできないか？と考えます。
どこまでもダメ人間ですが、保護観察官のコトバを思い出しました。
「困ったことがあれば、すぐに保護観察所に相談してください」
そうだ！泣きついてみるか！
ひょっとしたら、保護観察所が
当座をしのぐお金を貸してくれるかも
ダメでも働き口を紹介してくれるかも
なんていう、甘い考え、いや、人でなしの考えを抱きながら
保護観察所に行き、保護観察官に窮状を訴えてみました。
―――あのぉ、もうおカネがなくて、ピンチなんですけど・・・
「ですよねぇ？刑務所からの作業報奨金なんてスズメの涙ですからね」
―――やっぱり、就職するしかないんですかね？
「そうですね。それしか・・・でも貯金でしのいでシャバに慣れてからでも」
―――いやぁ、保護観察所で良い働き口を紹介してくれないんですかね？
「実は…保護観察所自体は、就職の面倒は見ていないんですよ」
うえぇぇぇ！？
保護観察所では就職の世話はしない？
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2．保護観察所は就職あっせんする？
久々のシャバで浮かれていたのに、さっそく手持ちのおカネがなくなりピンチに！
でも、仮釈放で早く出て来たワケですし、今さら悪い事で稼ぐワケにもいきません。
「まだ働きたくないけれど、就職するか・・・」
そんなイヤイヤな中途ハンパな気持ちで、保護観察所に泣きついて来ましたが、
バチが当たったか？思いっきり跳ね返された！
保護観察所では就職の面倒は見ていない、だって？
「いや、保護観察所が直接就職の世話はしませんが、あっせんはできます」
―――えーっと、ちょっと意味わかんないです。
「ご本人の希望があれば、就労支援をしているNPOを紹介しています」
―――じゃあ、保護観察所では就職のあっせんをする所をあっせんするワケですね
この就労支援のNPOというのは
「更生保護就労支援事業所」という名称で
認証を受けた
NPOであり、国の委託を受けて、就労支援を行っているそうだ。
保護観察所は、ここに連絡をとってくれるだけで、就職の面倒は見てくれない。
ただ、事情を承知したうえで、就職をあっせんしてくれるので、
前科者が単独で、がむしゃらに正面突破で就職活動するよりは良さそうだ。
前科者という、過去を承知で雇ってくれるところをあっせんしてくれるそうだ。
前科者の就職活動には、
いくつかの大きな問題がある。
履歴書にどう書くか問題
面接で過去をほじくられないか問題
職場の同僚にバレたらどうしよう問題
これらがかなり軽減されるというのは、前科者にとってはありがたい限りだ
前科者にとっては、何と言っても、面接が恐ろしく、そして厚いカベとなる。
この上に挙げた、大きな問題について、保護観察官にグイグイ訊いてみた。
―――履歴書に「刑務所行ってました」って書かなきゃダメですか？
「いえいえ、そんなことは書く必要はないです。ウソを書くのはダメですが」
―――賞罰欄に「懲役◯年喰らいました」って書かなくてもいいんですか？
「はい、書く必要はないですよ。書かないからといって罰則もないです」
―――懲役の期間を、面接で「この空白期間はどうしたの？」って尋ねられたら？
「刑務所に行ってました、と言う必要はないですねぇ」
―――でも、ウソをついてあとでバレたら、クビになるかも、ですよねぇ？
「うーん、そこがムズカシイ。言う必要はないが、ウソはいけないということです」
うわぁ、この
ギリギリの会話が求められるということか！
ハンパない難易度だな！
―――逮捕のことや犯歴がネットに載っちゃている場合はどうします？
「今はすぐに調べられますからねぇ。そうなるとやっぱりキビシイんですよ」
―――そういう前科者は、就職は絶望的ですかね？
「正面突破で行く方法はおススメしません。傷つくし、希望の所はないですよね」
―――じゃあ、どうすればいいんですかね？そういう人は？
「ですから、まずは友人・知人のコネを最大限使って探してください」
出た！やっぱりコネか！
―――やっぱり、それしかないんですか？コネ自体がないし、ロクな仕事じゃないし。
「というワケで、更生保護就労支援事業所の就労支援を利用して欲しいんですよ」
こんな話の流れから、
このNPOの就労支援をちょっと利用してみることにした・・・
次回、この保護観察所を通した「前科者の就職活動」の続きのお話をします。
それにしても、前科者の就職活動はキビシいようだ。
何でもいいなら別だが、自分の希望の働き口となると、途端にハードルが上がるようだ。
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2015-07-22 17:00
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共通テーマ：日記・雑感
私は脊髄小脳変性症という難病になり、余命のある病気で、とにかく生きているうちに何かしたいと思い、前科者や犯罪者の就労しお延に力を入れています。
就職がなければ当社に来ればいい。当社は札幌で43年間建設業をしています。
今までに500人以上の受刑者を雇っており、現在も13名います。
しかも当社は２０１５年の４月まで、お金をいただいたことがいっさいありません。
全国の刑務所や少年院に面接に行きます。その時も実費で行っていました。
今までに交通費などの経費のみで1億円以上出しています。
前年度始まった奨励金制度は当初は民間の日本財団がやっており、この制度ができるまでの流れを知っているので、かなり良い制度だと思います。
当社がTVで報道されたとき(いつも出ています）は近所の方が犯罪者がいる会社は出ていけ！といいましたが、当社は冬になると、毎朝無償で近隣の除雪をして、雪捨て場がないので、その場で融雪（費用がすごいかかる）をしています。その作業をする者は全員犯罪者です。
私たちにはこのようなことしか貢献できないのでやりますと言っています。今まで一度も問題が起きたことはありません。
さらに、もう後がないので、通常のものより頑張ります。普通は嫌がることも率先します。
それを知った近所の方はお酒などを持ってくるようになりました。
犯罪といっても社会がおかしくて犯罪者を作った例です。
一例として、もともと大手飲食店の店長が別の会社に引き抜かれ、しばらくすると経営不振で給与がもらえなくなり家賃も払えなくなり、出前に行った際集金したお金で家賃を払ったら逮捕されました。たとえ店長経験者であろうと、前科がつくと全く働くところがないということです。しかし現在は我が社で頑張っています。
奨励金が出るようになりましたが、出所者は着替えもありません。
当社はその奨励金で身の回り品や工具を購入していますが、全然足りません。
ちなみに、私はこの件の研究をして、修士を持っています。よくいろいろな大学や学識者が私の話を聞きに来ます。先駆者がいないので、私が第一人者だと思っています。
全国就労支援事業者機構にも寄稿しています。
札幌東区の協力雇用主理事です。
by 北洋建設株式会社 (2016-05-12 17:06)
北洋建設株式会社の皆さま、はじめまして
このような場末のブログにコメントをくださり、驚きとともに恐縮です。
まずは御礼が遅くなりましたことをお詫び申し上げます。
受刑者に希望となる話を詳細にお伝えくださり、本当にありがたいことです。
元受刑者といえども年齢、職歴、犯歴等々、様々な立場があり一括りに語ることはできないかもしれません。
しかし、一つだけ共通することがあります。
それは出所後の生活に大きな不安を感じていること。
そしてその不安は「職にありつけるか」で間違いないと思います。
当たり前のことですが、前科者に対し世間は厳しいです。
就職もままなりません。
「何とかしなければ」と焦っても、どうしていいかわからないことが多いです。
刑期や犯罪によっては、過去のつながりが一切切れてしまい、助けを求める糸口すら見つかりません。
出所後は真っ当な人生を送ろう、と心に誓う者は多いはずですが、その前に日々の生活ができなくなる場合もあります。
目先の生活が行き詰まれば、やむを得ず、手段を選ばず行動する者が出てくるのは、これもまた必然です。
こうして再犯をすれば、本人にも社会にも良いことはありません。死ぬか再犯するか、の究極の２択など避けなければなりません。
結局のところ、地道にやっていくのしかないのですが、せめてその道は残っていることを出所者たちが実感できればいいなと思います。
真面目に働くのは当然ですが、人とのつながりが本当に大事だと痛感する今日この頃です。
「捨てる神あれば拾う神あり」出所者にも手を差し伸べてくれる企業が徐々に増えてくれることを心より願います。
そして前科者の自分たちが、真っ当に社会復帰をしてこそ、これから出所する者の希望になるのであり、徐々にでも世間から受け入れられるようになるのではないか、と信じています。
半端者がエラそうなことを申し上げて失礼いたしました。
これからもご支援のほどをよろしくお願いいたします。
またよろしければ、コメントをお待ちしています。
ありがとうございました。
by きりたんぽ (2016-05-16 20:21)
とても良いコメントありがとうございます。
札幌の北洋建設株式会社です。
実は当社に来ると再犯率が減ります。
理由はまず働いたら毎日給与より2000円先払いします。
当社は3食付の寮があるのでおこずかいのようなもので、給料日をまたなくてもいいのです。
少し現金があることで心に余裕ができて再犯防止になります。
さらに当社は身元引き受けもやるので、住むところにも困りません。
保護観察所はあなたの言うように役所仕事しかしません。
この前検察と入口支援という試みを協同で行いましたが、保護観察がついていました。雪道で転んで頭を打って入院しましたが、その病院代の30万は当社もちです。
保護観察所からは知りませんと言われました。
当社は補導委託と言って裁判所より子供を預かって少年院のようなこともやっています。
裁判所は病院代はすべて出ます。
同じ日本なのに変ですね。
by 北洋建設株式会社 (2016-05-20 13:21)
北洋建設さま、こんにちは
再度詳しいコメントをくださり、ありがとうございます。
少額先払いというご配慮、本当に助かると思います。
出所者によっては、出所時に1～2万円しか手持ちがない者がいますので、すぐに尽きて追い詰められてしまいます。
人間、手持ちと職があれば精神的にまったく違うので、落ち着いて仕事に励むことができます。
何から何まで細やかな配慮と面倒見に、感激してしまいます。
我々元受刑者は、世の中には少数ながら貴社のように手を差し伸べてくださる所があることを、心の支えにして、裏切らないような行動をしたいものです。
前科者に対し温かいご支援、本当にありがとうございます。
またコメントをお待ちしています。
by きりたんぽ (2016-05-22 12:29)
きりたんぽさん、お久しぶりです。
3年ほど前からときどきご相談などさせて頂いているKEYです。
お陰様で無事、友人の出所まであと半年ほどとなりました。
出所自体はもちろん喜ばしいのですが、しかし、友人は家族も家も身分証も何もなく、満期出所していきなり一人で外に放り出されることになるので、とても心配です。
まず役所に行けばいいのか、保護施設に行けばいいのか、どこにどう相談したら良いものか途方に暮れます。（とにかく身分証明書が無いと、何も出来ないかと…）
こういう手続きなどは、刑務所内で指導などしてくれないものですかね。出所後の生活を復活させる最低限のノウハウを教えてから出所させてほしいものだなと思います。
服役中よりも出所後の方が大変なんだなと今更ながら分かってきました。
きりたんぽさんもどうぞご自愛くださいませ。
by KEY (2018-04-15 22:00)
KEYさん、こんばんは。
ご無沙汰しております。
コメントをくださり、ありがとうございます。
だいぶ年月が経ちましたね・・・
身寄りなく満期出所は、正直かなりキツイと思われます。
手持ちのカネも少なければ、就職活動に至る前に底をつき、途方に暮れるしかないのが現実です。
ではどうすればいいのか……
そんなカンタンに答えなどないですよ。
シャバでロクな人間関係を築けていなければ、出所後も頼るところもなく、行き倒れるか再犯するかどちらかしかない状況に追い詰められると思います。
コレも自業自得。仕方ありません。
ホントに出所後の方が大変だと、実感する毎日です。
またコメントをお待ちしております。
by きりたんぽ (2018-04-19 03:55)