・雑居か独居か、それが問題だ！
刑務所は雑居であるべきか、それとも独居であるべきか？
前回は、旭川刑務所の新築のニュースから、批判が起こっているお話をしました。
「老朽化に伴い、新築する居室棟は、全室単独室とする」というニュースに対し
世間一般の反応は
「厚遇すぎるだろ！オカシイ」という反対意見が多いようです。
舎房（部屋）が雑居房ではなく独居房（個室）になるというのが、世間の方には
「居心地が良く、懲役の意味をなさない。来たがる者、また入る者が増えるだろ」
と、受け止められたようです。
そこで前回は旭川刑務所の事情をご紹介し、独居房にする理由をお話ししました。
そして、
長期受刑者にとって、実は雑居房より独居房の方がツラい。
長期受刑者にキビシイ刑罰を与えるのであれば、独居房だと思うのです。
今回は、
「他の刑務所はどうなのか？」をご紹介します。
前回の旭川刑務所は少々特殊な刑務所なので、
今回は初犯の刑務所でお話しします。
2．雑居房の方がラクなんです
世間一般の受刑者に対する考えというのはどのような感じでしょうか？
「受刑者にはツラい思いをさせるべきだ。だから衣・食・住は最低のモノにしろ」
「よって、部屋は独居房などトンデモナイ。雑居房にぎゅうぎゅうに押し込め」
こんな感じでしょうか？（笑）
それでは、現場の受刑者の皆さんの反応はどうだと思いますか？
雑居房に押し込められると、ツラい日々が待っているのでしょうか？
実は、
大変言いにくいのですが、雑居房は根強い人気があり、ラクとも言えます。
「えっ？逆だろ？」
「キツイのは雑居房に決まってるだろ！」
「独居房が人気があって、ラクなんだろ！」
と反論されると思います。
ところが、そうでもないんですよ・・・
若いヤツは、ほとんどが雑居房を熱望しますし、
独居房に入れられてしまうと、しばらくしないうちに刑務官様に
「先生！もう独居房は耐えられません」
「お願いです、雑居房に行かせてください！」
と、泣きを入れるのは恒例のことです。
雑居房というと、ケンカやイジメが絶えない、トラブルの巣窟と思うでしょう。
何でそんなところに、わざわざ行きたがるのか？
雑居房が根強い人気なのはなぜか？お話しします。
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雑居房の方がツラい、というのは少年刑務所くらいかもしれません。
理不尽なルールと鬼のようなイジメがあるのは、
少年刑務所（27歳未満）の話。
成人刑務所では、フツーの受刑者であれば、そこまでのことは起きないです。
なぜなら、ほとんどの人間が、トラブルを起こして懲罰になることを恐れています。
懲罰になれば、仮釈放が遅くなったり、もらえなくなったりするんです。
初犯の刑務所の懲役たちは、仮釈放が欲しいので、おとなしくしているんです。
また、
オッサン受刑者たちは、ケンカをする、イジメをするほど
元気でもない。
「トラブルを起こすと、エネルギーを使って疲れるし、メンドくさいし・・・」
「トラブルで、人間関係が悪くなるから、工場に居づらくなり、困る」
「事後処理で頭下げたり、一からやり直しになったり、苦痛の方が多いよ」
初犯のオッサン受刑者たちの多くはそう考えるので、ガマンしておとなしくします。
だから、
初犯の成人刑務所では、雑居房はあまり荒れないのです。
さすがにオッサンになると、メリットとデメリットを天秤にかけて判断します。
「腹は立つことが多いが、ガマンしてでも、雑居にいた方が良い」
つまり、雑居はそれほど荒れないし、独居よりメリットが多いとの結論なんです。
意外かもしれませんが、イジメやトラブルはあるものの、
思うほど雑居は荒れるワケでもなく
雑居のメリットが多いので人気がある
と、刑務所に入ったことがない善良な皆様には、納得がいかない答えになりました。
じゃ、じゃあ、メリットって何よ？
このような話はどこの本にもサイトにも書いていないんですよね。
タブーか？
【雑居房のメリット】
仮釈放のためではなく、日々の懲役生活がラクになるのが、理由なんでしょう。
①時間が経つのが速い
免業日（お休み）といえども、舎房にブチ込まれ、一歩も外に出られないのが懲役。
出所後の目標があったり、孤独が好きという人なら、一人も耐えられるでしょう。
フツーの懲役たちは、この退屈さに耐えられないのです。
でも、雑居房であれば、しょーもないバカ話をしては、時間を潰し、
ヘボ将棋、ヘボ囲碁を指しては、時間を潰し、
雑居の他の者の雑誌や本を回して読んでは、時間を潰す
と、
独居房とは比較にならないほど、楽しめることもあり、時間を潰せるので
休日の一日など、あっという間。
さっき昼メシを食ったのに、もう夕メシを食うのかよ、という感覚です。
例えば・・・7時半に起床。8時に朝食。
シャバの頃の武勇伝を話していたら、あっという間に12時。昼食。
13時～15時は「午睡」の時間で横になれるので、ゴロゴロし
将棋でも一局指していれば、まだ明るい16時なのに、夕食。
「今日のメシはマズかった」とか、どーでもいい話をしているうちに18時。
フトンを敷いてTV視聴。みんなでクイズ番組のクイズに答えているうちに21時。
そうしてまた一日が終わっていく。
まぁ、休みといえば休みらしいのだが、何も得るものがない不毛な一日だ。
しかし、大事なことは、ここではない。
とにかく驚くほど時間が経つのが速い
でも、雑居房のメリットはこれだけではないんです。
まだまだ、
もっと現実的で、自分の利益に直結するメリットがあるんです。
すみません。長くなってしまうので、続きは明日、次回にお話しします。
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2015-07-03 17:00
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共通テーマ：日記・雑感
こんばんは(*ˊᗜˋ*)
色々検索して きりたんぽさんにたどり着きました。
元彼が捕まり、今は考査期間で、多分 希望通りにはならず飛ばされるだろうと手紙が来ました。面会が出来たら行きたいと思ってます。3年‥‥待つつもりです!!
色んな書き込みを見ていて、内縁や親族でないと面会出来ないとありましたが、きりたんぽさんのブログを見て 微かな希望を持ちました。
色んな話を 今後も教えてください。
更新 楽しみにしてます。
by いちご (2015-07-03 22:16)
いちごさん、はじめまして
コメントをいただき、ありがとうございます。m(__)m
そしていつもお読みいただき、本当に感謝しております。
いちごさんもツラい立場だとお察しします。
3年というのは長いですし、外の世界では状況がだいぶ変わってしまいます。
待つ方が覚悟がいり、大変だと思います。
私の場合は、刑務所に入ってからしばらくして、彼女の方がギブアップしてしまいました。当然です。
周りの懲役たちも9割が離婚、もしくは別れられていました。
彼氏さんはいちごさんのようなスバラシイ彼女を持ち、幸せですよ。
懲役3年ならば、事故なく無事に過ごせれば、2年半を切るくらいで出所できると思います。
面会に関しては、その刑務所の判断によって決まるんですよね。
どちらに移送されるかわかりませんが、初犯で言えば、川越少年刑務所、長野刑務所、黒羽刑務所は友人、知人でも面会できるようですが・・・
三重刑務所が親族でないとダメだったかな？
刑務所長が変われば、方針も変わるので定かではないのが申し訳ないところです。
また何かございましたら、お気軽にどうぞ。
こちらこそ、今後ともよろしくお願いいたします。
by きりたんぽ (2015-07-04 00:55)
こんにちは
ブログ拝見しました
仰るとおり少年刑務所の雑居は虐めが酷いらしいですね
僕は保護観察しかないのですが、少年刑務所に行ったことがあるレツが申してましたけど同室の人との人間関係が一番嫌だったみたいだし
by なお (2015-08-16 21:58)
なおさん、はじめまして
ブログをお読みいただき、ありがとうございます。
コメントをいただき、恐縮です。m(__)m
20代の若い人たちが集まる少年刑務所に、大人の対応を求める方がムリだと思います。狭くて退屈、そしてストレスフルな世界ですから、イジメが起きるのも当然ですよね・・・
刑務所で苦労することは、何と言っても受刑者どうしの人間関係でした。これは周りも同じことを言ってましたね。
またコメントをいただければ幸いです。
これからもお付き合いのほど、よろしくお願いいたします。
by きりたんぽ (2015-08-17 00:00)
はじめまして。
旭川で一緒だった人の名前を検索したら、こちらのブログがヒットしました。
私は初犯短期刑でしたが、何故か旭川に送られました。
冬はハンパなく寒かったけど、刑務官は温かい人が多かったです。
短期は外役が多かったですが、私は途中から炊場に転役になったので長期の方々と一緒に生活できたのが、とても良い人生経験になりました。
出所後に再犯でパクられた人も何人かいますが、一番残念だったのが、18年の刑を務めて出所後3年ほどで殺人事件の被害者になった方がいることです。
これからもこちらのブログを拝見させていただきます。
by masa (2015-12-01 22:36)
masaさん、はじめまして
コメントをくださり、ありがとうございますm(__)m。
初犯の短期でありながら、旭川に送られることもあるんですね！
貴重な体験談を教えてくださり、感謝いたします。
外役なんて、自分のいた刑務所ではほとんど聞かなかったですねぇ。釈放前の者たちだけが、清掃に行かされる程度でしたね。
この辺も施設によって違いがあり、オモシロいです。
炊場でのおつとめ、本当にお疲れさまでした。
そして旭川という尋常ではない極寒の地でのおつとめ、無事で何よりでした。
ぜひまたコメントをください！
こちらこそ今後ともお引き立てのほどよろしくお願いいたします。
お読みくださり、感謝です。
by きりたんぽ (2015-12-02 01:26)