外の世界から隔離された懲役たちにとって、手紙はありがたいモノです。
妻や子どもから来た手紙を、さりげなく自慢するヤツ・・・
彼女から来たカワイイ封筒を見せびらかして自慢するヤツ・・・
とにかく
手紙は、どれだけ外の人間から愛されているか「自慢」するモノでした。
くだらねぇ~とお思いでしょうが、
刑務所なんてしょせん虚勢と見栄の張合いです。
「いかに外にいたころは、オレはスゴイ人間だったか」
こんなどーでもいいことを示したくて、
手紙まで自慢するんです。
手紙はいつでも、誰からでもうれしいモノ、と思っていました。
ところが、
中には決定的に「絶望する」手紙もあるらしいのです。
今回は、自慢の手紙ではなく、そんな「届かなきゃよかった」手紙の話をします。
E.届かない方が良い手紙もあります
1.感動ではなく勘当の手紙
Dくんは、身体はデカいが気は小さい20代の若者。
なんだか強盗&殺人という凶悪犯罪セットで
懲役30年を喰らったらしい。
ちなみに有期刑の中では
懲役30年はMAXだ。無期懲役の次にキビシイわけです。
すぐ泣き言を言うし、同世代の懲役たちからはイジメられているし、
とても懲役30年を喰らった凶悪犯とは思えない。
周りに乗せられてとか、カッコがつかないからとか、で殺しちゃったのだろうか?
将来に希望を見い出せず、
家族からの手紙を唯一の心の拠り所にしていたようだ。
届いた手紙は、舎房に帰る際、更衣室から出たところで刑務官様から手渡される。
全員が着替え終わるまで、廊下に出られないので工場の出入口はごった返す。
その人混みに紛れて、懲罰モノの反則行為にもかかわらず、手紙を読むヤツもいる。
Dくんも、その日は待ちきれず、コッソリと家族からの手紙を読んでいた。
しかし、Dくんの様子がオカシイ・・・
声は出さないものの、
目を真っ赤にし、肩を震わせ、明らかに泣いているのだ。
翌日、気になって同じ雑居房にいる者に聞いてみると
―――Dくん、昨日手紙を読んで、泣いていたように見えたけど?
「あぁ、親から勘当されたらしいよ」
―――勘当?そりゃまた、キビシいねぇ
「迷惑だから、もう手紙を送ってくるな、お前とは親子の縁を切る、だって」
―――えぇ?このタイミングで?何かあったのかねぇ・・・
「近所や会社でアイツの家族だとわかると、ずいぶん嫌な目に遭ったらしいよ」
―――でも、今さら勘当しなくてもいいんじゃないの?
「アイツ、親にしょっちゅうカネとか本の差し入れをせびっていたからねぇ」
―――とうとう我慢していた家族も、ブチ切れたというワケか。
「昨日は、その話を聴いた後、しばらく泣いていたよ。荒れるかもね」
う~ん。他人の心配をしている余裕もないし、同情もするつもりはないが、
裁判も終わり、懲役生活も落ち着いた頃に、勘当されるのは予想外でショックだろう。
やはり親でも、懲役30年の息子はジャマ者になってくるのだろうか?
Dくん、実年齢も若いが、精神年齢はもっと若い。ていうか、幼い。
勘当の宣告の手紙の後、ぼ~っとしていることが多くなり、よく怒られていた。
現実を受け止められないDくんが、やったことはわかりやすかった。
まず、
毎月1回日用品や下着を所持金から購入することができるが、炸裂した。
普通は、チリ紙、石けん、ハブラシを買うくらいなので1,000円前後の出費だろう。
ところが、Dくん。
中国人の爆買いツアー客もビックリのまとめ買いをしていた!
下着だ、歯みがき粉だ、これでもかと買いまくり、
15,000円近くのお買い上げだ。
「いやぁ、たくさん買っちゃったよ。何か気分いいね」
Dくん、大量買いにご満悦。久々に笑顔も出て、周りの懲役たちも安心した。
「おい、D!担当台まで来い!」
笑顔もつかの間、刑務官様が怒号でDくんを呼び出した。何があった?
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「おい、D!おめぇ、なんでこんなに買っているんだ?あぁん?」
刑務官様は、工場全体に響き渡る大声で、Dくんを怒鳴りつけた。
シャバならば、自分のカネで買っているんだから、放っておけよ!と言いたいし
買い物でストレス発散、気分を変えることを狙ったDくんの行動もわかる。
しかし、そこは刑務所・・・である!
いくら自分のカネでも、
たくさん買い過ぎると、刑務官様から怒られるのだ!
刑務官様は、それらを同房の者にムリに買わされているのではないかと疑うのだ。
ましてや気が弱くて、搾取される雑居にいるDくんなら、なおさらだ。
「こんなにいらねぇだろ!カバンに収まりきるのか!あぁん?」
まったくついていない時は、何をやっても怒られるもんである。
しかし、刑務官様の読み通り、実際は買ったモノを同房の懲役たちに分けていたのだ。
これを一度やってしまうと、際限がなくなってしまうのよね・・・
「おめぇ、アイツに買ってやって、オレには買わないってどういうことよ!」
となって、
同房の者全員の分を買わされるハメになるし、
「おい!日用品だけじゃなくて、本も買ってくれよ」
となって、
週刊誌やスポーツ新聞を購入させられるのだ。
こうなると、刑務所であっても、いくらおカネがあっても足りなくなる。
こうやって、
イジメられっ子は刑務所に来てもどこまでもイジメられっ子。
Dくんはこうして搾取され続けるのだ
刑務所でも勝ち組・負け組はハッキリと分かれるのである。
もう行き詰まってしまったDくん。
それから2か月後、雑居にいることが、カネも精神的にも耐えきれなくなり
Dくんはある日まさかの
脱走をして、工場での最後の日を迎えることになる。
この話は長~くなるので、また改めて脱走劇をお話しさせていただきます。
まぁ、脱走と言っても、ものの5分で捕まっちゃって、カッコ悪かったけど。
それに、
雑居から逃げ出したかっただけだから、塀を乗り越える脱走ではない。
脱走したことで、
連行→調査→懲罰となり、工場を移籍するのが目的だからだ。
塀どころか、
真逆の方向、中心にある処遇棟の方に走って行った(笑)。
とにかく今の雑居から抜け出したくて、
追い詰められた最後の手だったわけだ。
懲役30年、親から勘当、舎房ではイジメ、こんな状況だったら逃げたくもなるわな。
もちろん、同情するつもりはさらさらない。
でも、自分の行動が招いたこととは言え、よくも悪いことが続くものだ。泥沼。
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