刑務所用語の基礎知識⑪・・・舎房で注意・指導を受けた時：あやまり侍マニュアル

「刑務所の常識は世間の非常識」なんてことが言われますが

実際、あの閉ざされた空間の中では何が行われているのか？

これから懲役に行く本人、見守る家族は不安だと思います。


懲役どうしのもめごとも怖いし、刑務官様はもっと恐ろしい。

「何をされるかわからない！」

でも、実際の様子を知ってしまえば、ビビる必要もなくなります。


そんなことを思い、このところ「ムショ用語」を続けてお伝えしております。


今回は「舎房内」で刑務官様に注意・指導を受けた時についてお話しします。

傷口を広げないためにも、刑務所用語を説明しながら

「ケツの拭き方」マニュアル的にまとめました。


K.舎房で注意・指導を受けたら？


⑦ぱちられる（パチられる）
不正や反則行為、またはそれに近いものをしているところを

刑務官様に「現認」され、注意・説教されること。


その時の対応が重要で、やっていようがいまいが、その場で、即

「すみませんでした」とひたすら謝らないと

刑務官様のご機嫌を損ね、連行→調査→懲罰・・・となる。（謝り1回目）


直後には、部屋長に「～～のようなことで注意・指導を受けました」

と、報告し、ひたすら謝罪をする。（謝り2回目）

もちろん、他の部屋の懲役たちにも報告・謝罪をする。（謝り3回目）


舎房でパチられてしまったら、翌朝、朝一番で工場担当の刑務官様へ出向き

「昨日は～～にて注意・指導を受けました。すみませんでした」

と、さっそく謝りに行かないといけない。（謝り4回目）


その後、工場を取り仕切っている懲役たち、「計算係」と「衛生係」に

昨日注意・指導を受けたことを報告し、迷惑を掛けたと謝罪に行く。（謝り5回目）


そして、舎房に帰った後、部屋長に「謝り行脚」したことを報告し、

皆々様がたにご迷惑をお掛けしたことを謝罪する。（謝り6回目）

まったく、何回謝っているんだ？、というくらい謝る。メンドウ。


もし、朝一番で謝りに行かないと、さらにメンドウなことになるので注意。

不機嫌MAXの刑務官様から呼び出しを喰らい

「おめぇ、昨日何か注意・指導を受けなかったか？どうして報告に来ない？」

と、再び説教を喰らうことになる。怒鳴られることが多い。


この場合、舎房に戻った後、部屋長をはじめ部屋の懲役たちに

「おめぇ、どうしてすぐ謝りに行かなかったんだよ！」

「自分たちまで怒られたじゃねーかよ！」

「部屋長のメンツ潰しやがって！部屋に恥かかせることしてんじゃねーよ！」

と、さらに説教を喰らい、罵声を浴びせられる。


しまいには、

「できないんだったら、そして迷惑かけるんなら、部屋を出てけ！」

と、部屋を追い出されるピンチに追い込まれる。


たかが口頭注意とナメていると、傷口が広がり、大ケガをするので気をつけて。



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⑧しどうぼ（指導簿）
不正や反則行為、またはそれに近いものをしているところを

刑務官様に「パチられ」て、謝りまくったものの、

「口頭注意」だけでは済ませてくれないバージョンその１


「ちっちゃなことを気にする」器の小さな刑務官や

「おめぇのことは気に入らねぇんだよ」と個人的に嫌われている刑務官だと

「指導簿」という引継ぎの連絡簿に、注意されたことを密告されてしまう。


翌朝、工場担当は「指導簿」を必ず読むため、夜勤の刑務官のコメントがわかる。

昨日何をやらかしたか、夜勤の刑務官がどんな注意・指導したか

そして、注意された懲役がどんな態度をとったかまで書かれてしまう。


というワケで、口頭注意で済んだのだから、これでオシマイ、ラッキー！ではない。
メンツを特に気にする刑務官様は、ヨソから注意されることを嫌がる。

よって不機嫌になっているので、一刻も早く、報告・謝罪に行くべし。


指導簿の記述次第では、翌朝朝一番で、工場担当の刑務官様に呼び出され

「おめぇ、何やってるんだ！夜勤の先生にメンドウをかけるんじゃねぇ！」

と、めちゃくちゃ怒鳴られるので覚悟が必要だ。


懲罰にならなかったから楽勝だぜぃ、と気を抜いてはいけない。

この事態を避けるには、朝一番で工場担当の刑務官様のところへ、報告・謝罪だ。


「すみませんでした」としか言わないくらいがコツ

とにかくあやまり侍に徹するに限る！

鉄則は「絶対に言い訳をしないこと」です。


⑨せいやくしょ（誓約書）
不正や反則行為、またはそれに近いものをしているところを

刑務官様に「パチられ」て、謝りまくったものの、

「口頭注意」だけでは済ませてくれないバージョンその２


a.不正の一歩手前の迷惑行為や、ささいな反則行為を繰り返している場合

b.懲罰には当たらないが、個人的に「コイツは許せん！」という場合

c.本来は懲罰に当たるが、刑務官様の温情で「今回だけは許したる」という場合など

ま、刑務官様のさじ加減ひとつで決まるグレーな「おしおき」の一種。


調査・懲罰になる一歩手前の「イエローカード」である。

よって、同じことで誓約書を書くと、「累積」となり、懲罰になることもある。

よほど回数を重ねない限り、仮釈放に響くということはない。


ただし、優遇区分の累進に響いたり、毎日のテレビが見られなくなったりと、

日々の懲役生活の質は低下し、快適でなくなるので、なるべく避けたい。

雑居房で誓約書であれば、部屋の者全員がTV見られなくなるので、責められる。


「誓約書」の名の通り、文書であり、すぐに一筆書かされる。

自分のやらかした「所業」と「謝罪」を一言書くのだが、

大抵は納得のいかないことなので、自分で書くのが屈辱的である。



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タグ：刑務所用語 刑務官 懲罰