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仮釈放には何がキクのか⑪・・・うっかり受けると仮釈放が遅れるモノ [仮釈放]

「いかに仮釈放を多くもらうか」

ホントかウソかわからない刑務所の都市伝説を信じて

振り回される懲役たちの姿を、ご紹介してきました。


前回は、懲役の終盤、とくに仮釈放の予備面接後は懲罰を受けない、という

いささか、消極的な「守りの手段」のご紹介でした。


やはり、なんとか人より仮釈放を多くもらうための

「攻めの手段」の方が知りたいし、試したい。


これまで、懲役たちが信じて疑わない都市伝説を4つ

①寄付金 ②教誨 ③行事参加 ④職業訓練 とご紹介しました。


しかし、まだあるんですよ。もう一つ、効果のありそうな?ヤツが。


1.「教育」を受けてアピールする
刑務所には、懲役の他に、「教育」というオプションがあります。

薬物犯罪や性犯罪の懲役たちには、「特別改善指導」という名の再犯防止教育を、

強制的に受けさせられます。


懲役たちはこれらを「教育」と呼んでいます。

「メンドくせえ」と言って、拒否すれば

仮釈放の対象からハズれてしまい、満期出所になっちゃいます。


強制的なので、受けるのが当然、他人より仮釈放が多くなるワケではない・・・

ところが、実はオープン参加の「教育」がいくつか実施していて

希望して受講すれば、仮釈放に有利になるらしい、という都市伝説があるんです。


このオープン参加の「教育」には

アルコールに問題のある者を対象とした、「酒害教育」

60歳以上のおジイちゃんを対象とした、「生涯教育」

なんだかよくわからない、「家族を主とした人間関係を改善する教育」

犯罪被害者の気持ちを考える、「被害者の視点を取り入れた教育」

なんかがあります。


年に2回ぐらい募集し、期間は数ヶ月から半年程度、週1回1時間程度です。

外部から講師を招き、話を聴き、たまに感想を提出する、といった

「座っていればなんとかなる」系のヌル―いものです。


「コイツを受けておけば、仮釈放の評価になりそうだ」という打算的な

ピンとくるものがないためか、懲役たちの食いつきは悪く

募集をかけても、応募する者は少なく、スカスカ。


「仮釈放が多くもらえる」都市伝説としては弱いんです(笑)。


ただ、効きそうなものは何でもやる、溺れる者はワラをもつかむ、

一部の貪欲な懲役にとっては、必須アイテムでありまして・・・


「自主的に参加する」ものだけに、評価されると言われりゃ、そんな気がする?

教育を受けて、良く反省し、社会復帰にも意欲的と言われりゃ、そんな気がする?

「仮釈放を多くもらうための条件」と言われりゃ、信じちゃいます。


ところが、このオープン参加の「教育」を受けたばっかりに

「仮釈放が遅れてしまった」

という、悲惨なパターンもあるのです。


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2.教育は時期を考えないと逆効果
Sくんは、少年刑務所上がりの20代でチンピラ風

その風貌に似合わず、仮釈放が多くもらえそうなことは貪欲に採り入れます。

刑務官様にゴマをすることはもちろん、都市伝説はすべて試します。


そんなSくん、長かった懲役生活も終盤に来て、

そろそろ、仮釈放に向けた準備面接が入るんじゃないか、という時期になりました。


こういう時期になると、

「ヘタに自分からは動かず、ひたすらおとなしくして、待っている」

これが、仮釈放を無事にゲットする『懲役たちの鉄則』です。


ところが、Sくん。じっとしていられません。

「酒害教育」の募集がかかり、なんと応募してしまったのです。


―――あれ?Sくん。酒にからんだ犯罪じゃないでしょ?

「そうだけどさ。教育受ければ、仮釈が多くもらえるって言うじゃん」

―――いや、でもさ。もうそろそろ仮釈の準備面接が入るでしょ?

「だったら、なおさらポイント上がって、出所が早くなるでしょ!」


周りにいた者はみんな、首をかしげました。

いやぁ、仮釈放間近に来て、余計なことはしない、というのは鉄則じゃあ?


さすが懲役。甘い期待は一切当たらないが、イヤな予感は当たるもの

Sくんの仮釈放の準備面接が、一向に入って来ないのです。


Sくんも慌ててきて、刑務官様に探りを入れます。

「先生!どうして自分の面接はまだ入らないんですか?」

さすが普段からゴマをすっているだけあり、こんなことも質問できます。


フツーなら「そんなこと知らねー」で門前払いなんですが、刑務官様は

「おめぇ、教育受けてるから、それが終わるまで、仮釈放ないぞ」

うおおぉぉっ!まさかの逆効果です。


仮釈放の時期が近づいて、面接→審査→合格→出所という段取りなんですが・・・


どーでもいい「教育」を受けてしまったばっかりに

「それが終了してから、仮釈放の面接にしましょう」

という、まったくありがたくない配慮をされてしまった!!


ということは、教育の期間がまだ3ヶ月はあるから、その間はフリーズ

なんと、仮釈放を多くもらうために、自主的に受けた教育のせいで

3ヶ月以上も出所が遅れちまった!


今までの、都市伝説を試してきた「セコイ努力」がすべて水の泡・・・


懲役の皆さん、仮釈放の予備面接がそろそろになったら、

これは刑期の3分の2を過ぎたころが目安ですが

「余計なことはせず、おとなしく」

これが鉄則です


やりすぎ注意!



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